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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?

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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?
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stage2 それぞれの目的地に……


 甲板を切り抜けた生徒達は、それぞれの目的地に向かって艦内を進もうとする。
 しかし敵は生徒達の前に幾重にも立ちふさがる。
 
「そぉれ!」

 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が敵に向かって【さーちあんどですとろい】を放つ。
 艦内が汗の滲ばむような暑さになり、けたたましい警告音と共に上から大量の水が降り注いだ。

「シリウス、前に出ますわ! 援護を!」
「了解!」

 リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)が【光条兵器】対星剣・オルタナティヴ7を手にシリウスの脇をすり抜けていく。

「ここからはこいつでいくぜ! リリカル、変身!!」

 シリウスは取り出した魔法携帯【SIRIUSγ】の呪文アプリを起動し、妖精鳴弦ライラプスの弦で奏でるようにタッチする。
 するとシリウスの身体を輝き、衣装がリリカルコスチュームへと変化した。

「魔法少女シリウス リリカルヴァージョンだ!」

 シリウスは魔法でリーブラの援護を行う。
 リーブラは巨大な剣を薙ぎ払い、次々と敵を倒していく。

「よし相棒、今だ!」
「は、はい!」

 シリウスの合図で魔法少女ポラリス(遠藤 寿子(えんどう・ひさこ))が杖を構える。

「ポ、ポラリス・パニッシュメント!!」

 杖から放たれた魔法は敵を直撃して、後方へと吹き飛ばした。

「や、やった……」

 ポラリスは必殺技が決まったことが嬉しくて暫し呆然としていた。
 ――シリウスが叫ぶ。

「相棒、前!」
「え……」
「させるかよ!」

 ポラリスの目の前にカメのぬいぐるみとなった霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)が横から飛び込んでくる。
 泰宏は【ディフェンスシフト】を発動させながら甲羅の部分で敵の魔法を受け止めた。

 ポラリスの腕の中へ泰宏が着地する。

「あ、ありがとうございます」
「へへ、カメをなめんなっての!」

 瞳を潤ませるポラリスに、泰宏は首を伸ばしながら笑いかけていた。

「ハッ、後ろからこそこそ撃ってくるとはいい度胸だぜ」
「ヴァイスさん!」
「ああ!」

 魔法少女になったヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)と、コウテイペンギンのマスコットになった緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が魔力を集中させる。
 周囲の気温が急激に下がっていく。
 そして――

「ブリザァァド!!」「氷雪の翼よ!!」

 二人が一気に冷気を放出した。
 放たれた冷気は敵の足を地面に氷漬けし、降り注いでいた水滴を凍らせて天井に無数の氷柱を作り出した。

「芽美ちゃん!」
「はいはい。魔崩翔女ShootingStarにお任せよ!」

 陽子の合図で【魔崩翔女ShootingStar】月美 芽美(つきみ・めいみ)が駆け出す。
 芽美は横壁を強く蹴ると、空中へ舞い上がり尋常ならざる速度で回転する。
 風を切る音。空気が急速に上空へ巻き上げられる。暴風が芽美の足に集まっていく。
 そして、一瞬だけ時が止まったかのような動きが止まり――

「迅風流星鎌!」

 芽美の足に纏った暴風が、蹴りと共に巨大な鎌となって天井スレスレを駆け抜けていく。
 風の鎌は氷柱を根元から切り裂き、真下にいた敵へと襲いかかった。

「ほら、今のうちよ! 急いで!」

 動けなくなった敵を飛び越し、生徒達は先を急ぐ。

 艦内を進むうちに道は細くなり、同時に入り組んだ作りになっていく。

「ヴァイス! 敵だ!」
「ああ、もうしつこいな」

 ブルーの鎧をまとったアザラシ姿になったセリカ・エストレア(せりか・えすとれあ)が、ヴァイスの頭をペチペチと叩く。
 振り返ると生徒達が進む道とは別の通路から、敵が向かってきていた。

「じゃあ、今度は踊ってみる!?」

 ヴァイスが発動した【サンダーブラスト】は、鉄の壁を網目を描くように反射し、敵を一網打尽にしていく。
 
「てぇぃ!」

 ヴァイスは膝をついた敵の顎へ強烈な蹴りを食らわした。
 すると後方からシオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)が叫ぶ。

「ついでにおまけ! CQCパート1!!」

「ぎゃーーーーー!!」

 風を切り裂き、気持ち悪いくらいにリアルな黒い馬頭を持つニワトリのぬいぐるみ(?)がヴァイスの真横を通り過ぎていく。それはマスコットにされた月詠 司(つくよみ・つかさ)だった。

 その気持ち悪いくらいにリアル(以下省略)の司は敵の顔面に激突すると、ヴァイスの所へと跳ね返ってきた

「ああ、助けーーぎゃむん!?」
「よっと!」

 願いも虚しく、ヴァイスは見事なダイレクトキックで他の敵の顔面へと司を吹き飛ばした。

「ナイスシュート!」
「どうも」

 シオンが掲げた手に笑ってハイタッチを決めるヴァイス。
 すると、シオンがふと気になった質問をぶつけてくる。

「ねぇねぇ、その恰好なんか変じゃない?」

 この依頼を受けるに当たって、ヴァイスは魔法少女になっていた。
 肌にフィットするノースリーブに、片側だけ長いスカート。顔には半分だけのピエロのお面。
 装飾が施された可愛らしい衣装のシオンと見比べると、同じ魔法少女衣装としては少々奇妙な姿だった。

「そうか? ちゃんとスカートの中身は履いてるし、問題ないと思うけどな」
「そういうことじゃないんだけど……ま、いいかな。
 普段のむさ苦しいツカサの魔法少女姿より全然ましだものね」

 シオンはボロボロになったツカサを、ゴミ拾い用のトングで拾いながら一人納得していた。

「おーい、油売ってると置いてっちゃいますよ」

 声がした方を振り返ると、牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)が手を振っていた。
 ヴァイス達が慌てて元の通路に戻ろうとすると、アルコリアの背後から鉄パイプを手にした敵が忍び寄っていた。
 シオンが司を握りしめ投げつけようとする。
 だが――

「ひょいと……アルちゃんをなめるな」

 敵の気配を察したアルコリアは振り下ろされる鉄パイプを回避し、魔鎧となったラズン・カプリッチオ(らずん・かぷりっちお)の力を借りた【アイアンフィスト】のかかった手刀を相手の腹部に食らわせた。
 悶絶する敵に蹴りを食らわせ気絶させるアルコリア。

 ――別の通路からまたしても敵の集団が向かってくる。
 するとアルコリアはおもむろに艦内の壁を引っぺがすと、それを盾に敵の集団に突っ込んでいった。

「だだだだだー、ていっていっていっていっ!」

 金属板で敵を殴りつけるアルコリア。
 艦内に嫌な音が響き渡り、次々と敵が倒れていく。

「どうなもんですか!」

 全員が倒れたのを見て、金属板を手にアルコリアは満足そうな笑みを浮かべていた。