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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線!

リアクション

 ある程度倒され、数が減ったかと思いきや、再び大群となって現れるナラカのモンスター達。
「来たか……。あんだけ倒されたってのに、一体どこから沸いて出て来るんだか……」
 ゆっくりとだが、確実に迫ってくるモンスターの大群を見てうんざりそうに呟く柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)
「主、準備はよろしいですか?」
 恭也の元へやってくるエグゼリカ・メレティ(えぐぜりか・めれてぃ)
「俺はいつでもいける。そっちこそどうだ?」
「こちらもいつでもいけます」
「じゃあ、行くとするか」
「はい!」
 二人が『レプリカデュエ・スパデ』を手に敵の大群へと突っ込む。
「邪魔だ!」
 恭也が先陣のスケルトンをなぎ払う。
「はっ!」
 その上を飛び越え、エグゼリカが更に前のスケルトン達に向けてジャンプ斬りを見舞う。
「ふんっ!」
 姿勢を低くしたエグゼリカを中心に恭也が回転斬りを行い周囲の敵を一掃。そんまま、敵の軍勢のど真ん中へ。
「大した力を持たない俺が出来るのは、ひたすらに斬り捨てるだけ……」
 お互いに背を向け、正面の敵を斬る。
「有象無象の区別無く……」
 二人がお互いのほうを振り返り、剣を突き出す。二人の剣は交差し、お互いの顔の目の前を通り、その先にいたスケルトンの顔面を貫いていた。
「斬り尽してやるからかかってこい! 阿呆共!」
 二人がカバーしながら振るう剣はまさに剣の舞。精確にそして荒々しく剣を振るい敵を斬り捨てていく。
「……っ!」
 その時、突如として、エグゼリカの動きが止まる。足元を見ると、地面から骨の手が這い出て、エグゼリカの足を掴んでいた。
「(カタカタカタ!)」
 その隙を逃さず、スケルトンがエグゼリカめがけ、剣を振り上げる。
「くそっ!」
 すぐさま、恭也がスケルトンを撃破。だが、ここは敵のど真ん中。全方位からの攻撃を恭也一人ではカバーしきれるものではない。
「くっ!」
 エグゼリカも眼前の敵の対処で、足に纏わりつく手を振りほどくことが出来ない。
「困っているみたいですわね!」
 苦戦する二人へ届く声。その声の主は、敵をなぎ払いながら二人の元へ近付く。そして、盛大にスケルトン達を吹き飛ばし現れたのはローザ・セントレス(ろーざ・せんとれす)
「何をしているのですか。しっかりなさい。ここは私が引き受けますから貴様は、その足に纏わりつく邪魔な骨でも斬っていなさい」
「あ、ありがとうございます」
「そちらの貴様もしっかり援護しなさい」
「あぁ、はなからそのつもりだ」
 ローザと恭也がエグゼリカの周囲の敵の掃討を始める。
 恭也が連撃による戦法に対し、ローザは両手剣『緑竜殺し』による一撃必殺のパワー戦法。その一振りで眼前の敵をことごとくなぎ払っていく。
 その間に、エグゼリカが足を掴む手の対処をしようとするがなかなか離れない。
「これなら……!」
 地面に剣を突き刺し始める。
「本体がこの下にあるとするならば、今ので確実に仕留めているはず……」
 本体を倒して手の力が抜けたところを振りほどこうとしていたエグゼリカだったが、手にこもった力が抜けることはなく振りほどけなかった。
「…………」
 手はぴったりと足にくっついており、剣で解こうにも下手すれば足を傷つけてしまう。少し悩んだ末、エグゼリカは意を決して手に狙いを定める。
 だが、その剣が手に振るわれる前に、飛んできた銃弾が手を撃ち抜いた。
「大丈夫か?」
 飛んできた銃弾の先には神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)。そして、翡翠を守るように山南 桂(やまなみ・けい)レイス・アデレイド(れいす・あでれいど)の二人がいた。
「ずいぶん前まで攻め込んだものだ。ここまで来るのに苦労したぜ」
「ですが、ローザ殿のおかげで比較的はやく来ることは出来ました」
「私たちも援護する。心置きなく戦うと良い」
「サンキュー。んじゃ、どんどん行くぜ!」
「私も行きますわ」
 恭也、エグゼリカ、ローザの三人が翡翠達を守るように、周囲の敵を掃討開始。翡翠達は銃や、魔法で三人の支援をしていく。
「支援お願いしますわ」
 ローザが『銃型HC』で飛行艇に乗り上空を飛んでいる天城 一輝(あまぎ・いっき)に連絡を取る。
『了解』
 一輝は、地上のメンバーの位置を確認すると、すぐさま急行。メンバーの前方へと飛ぶと、飛行船の後方を下に傾け、操縦桿から手を離し、後ろの助手席についている『機関銃』を乱射。そして、飛行艇が落ちる前に、再び操縦桿を握り、上空へ離脱。
 地上メンバーの周囲の敵に銃弾が降り注ぐ。一気に敵を殲滅する。
「さすがですわ!」
『もう一度行くぞ』
 縦横無尽に空を翔る一輝が『弾幕援護』で地上メンバーを援護する。だが、その弾幕の中、ビクともしていない敵を発見。
『銃弾が効かない敵が向かっている。気をつけろ』
「銃弾が効かない? 貴様達、気をつけなさい!」
 一輝の連絡の後、地上メンバーの前に現れたのはスケルトンより一回り大きい首なし騎士……デュラハンだった。
「なるほど、鎧だったから効かなかったわけか」
「くらえっ!」
 レイスがデュラハン向けて魔法を放つが、持っている盾に弾かれる。
「エグザリカ行くぞ!」
「はい!」
 恭也とエグザリカがデュラハンへ走る。
「私達は邪魔な敵を倒すぞ」
「了解です」
「任せろ」
 翡翠達は、デュラハンの周囲にいるスケルトン達を攻撃する。
「一輝、準備しておきなさい」
『いつでも大丈夫だ』
 ローザは少し待機し、様子を伺う。
「行きます!」
 エグゼリカが真正面からデュラハンを攻撃するが、盾により防がれる。
「後ろががら空きだ!」
 恭也がデュラハンの上を飛び越え、背後から攻撃。だが、その攻撃は鎧によって弾かれる。
「ちっ、硬い鎧だな……」
 デュラハンがゆっくりと剣を振り上げる。エグゼリカはその間に素早く足の間を通り回避。そのまま、振り向きざまに背中に攻撃。攻撃した部分がわずかばかりへこむ。
「これは……」
 更に剣を振り下ろしたモーションのデュラハンの腹部めがけ恭也が攻撃を繰り出す。鈍い音と共にその部位もわずかにへこむ。
「喰らってないわけじゃないみたいだな……」
 二人は更に攻撃を加えていく。鎧の様々な場所がへこみ始める。それにあわせ、デュラハンの動きが鈍くなる。
「あと少し!」
 デュラハンは捨て身とばかりに盾を構えて突撃してくる。
「二人ともどきなさい!」
『行くぞ!』
 ローザの声に二人が左右に散開。デュラハンの真正面からローザ、背後から一輝が地上すれすれを飛び『機関銃』で背中を撃ち抜く。
「行きますわよ! せいやぁ!!」
 『緑竜殺し』による横払いで盾を構え突撃してくるデュラハンを盾ごと弾き返す。
「私達もいくぞ!」
 そこにつかさず、周囲の敵を掃討していた、翡翠達が仰け反ったデュラハンに銃と魔法を放つ。
「今だ、合わせろ」
「了解です!」
 背後に回った恭也と正面から突撃するエグゼリカによるクロス斬り。デュラハンの身体がバラバラになり崩れ落ちた。
「よし、倒したか……」
「ですが……」
 デュラハンに時間をかけすぎたせいか、周囲には再びスケルトンの群れ。
「きりが無い様だな……。少し数を数を減らすか?」
 翡翠が桂を見る。
「久しぶりにやりますか、主殿?」
「皆の技より、威力は無いけどな……桂、準備は大丈夫か?」
「はい、行けます。大丈夫です。レイス殿、皆さん、援護お願いします」
「ホイホイ、了解」
「任せろ」
 翡翠達が準備を始める。
「近付くんじゃねぇよ……」
 翡翠達に近付くスケルトンをレイスが魔法で撃ち抜く。
「援護お願いしますわ」
『話は聞いた。任せろ』
 上空から一輝も『弾幕援護』で支援する。
「エグゼリカ」
「承知しています」
 恭也とエグゼリカも二人に近付く敵を斬り捨てる。
「よし、行くぞ。桂」
 翡翠と桂がお互いに背中合わせに立ち、自分達の周囲に防御結界を展開。そして、敵の周りには攻撃結界。
「行きます!」
「……!」
 結界を発動する。翡翠が手の平をかざし、集中する。それに応じて攻撃結界の中では吹き荒れる嵐が如く風の刃が渦巻き敵を切り裂いていく。
「……ふぅ、久しぶりに使用とすると疲れますねぇ……」
 翡翠が手を下ろした時には周囲の敵は跡形もなく消え去っていた。だが、翡翠は技を使って疲れているのか顔色があまりよくない。
「綺麗にいなくなりましたね。しかし、主殿。休まないと倒れますよ?」
「しかし……、皆さんも疲れているでしょう?」
「しかしも何もないって。翡翠お前は座っていろよ。ただでさえ自分の事は後回しだろうが」
「私達なら大丈夫ですわ」
「そうですね。翡翠さんのほうが休まれてください」
「……ならお言葉に甘えるとしましょう」
「ある程度休んだら一度離脱しましょうか」
 メンバー達は翡翠の回復を待ってから戦線を一時離脱した。