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第十二章 まさかのオチで大団円?

「よーし、全員動くなや!」
 その声に、戦いを終えた正義の味方一同がそちらを振り返る。
「下手なマネしてみぃ、姫さんの安全は保証せえへんで!」
 彼らが見たのは、いつの間にかラブ姫の入った鳥かごを手にした裕輝の姿であった。
「ど、どこまでも卑怯な……!」
 一応「姫を救出する」という建前がある以上、下手に動けなくなってしまった正義の味方一同。
「い、いや、何もそこまでやれとは……!」
 見かねて悪代官も止めに入るが、裕輝はにやりと笑ってこう返した。
「あんたの命令は聞かへんで。雇い主は『あんたやない』からなぁ」
「……え?」
 きょとんとする悪代官。
 その横をすり抜けて、裕輝の方へと向かったのは……もちろん、越後屋である。
「そういうことですわ。それでは皆様、またお会いしましょう」
 くすりと笑って、越後屋が勢いよく扇子を閉じる。
 それと同時に、二人の立っていた部分の床が持ち上がり、ロケットのように上昇し始めた。
「に、逃げるなっ!」
 ルカルカがそう叫んだが、彼女を含め、今の状況で仕掛けられる者はいない。
「ああ、オレらが安全な場所まで逃げたら、ちゃんと姫さんは返したるからな。ちゃんと受け取りや?」
 その意味深な言葉を残して、二人は空高く逃げ去り……。

 少し遅れて、鳥かごが「降ってきた」。

「……姫様っ!?」
 その鳥かごを、最も身の軽いルカルカが飛び上がってキャッチし。
 そのルカルカごと、姫の護衛に戻ったハーティオンがしっかりと受け止めた。
「姫、お怪我は?」
 ルカルカの言葉に、ラブは少し蒼白になりながらこう答えた。
「本当、死ぬかと思った……けど、ありがとう」
 ともあれ、こうして無事に話は大団円を迎えたのである。

「……で、終わると思うか?」
 おっと、そう言えば悪代官を忘れていたが、正義の味方の皆さんはちゃんと忘れていなかったようである。
「え、あ、いや、ほら、もう姫は救出されたわけだし、黒幕の越後屋は逃げたわけだし……」
「それで? 『越後屋にのせられていいように使われてましたごめんなさい』なんて言い訳が通じるとでも?」
 残った四人の正義の味方に包囲される悪代官。まさに絶体絶命である。
 はたして悪代官はこの状況をどうやって打開するか?

 答え:打開できない。現実は非情である。

「成敗!」
 とりあえず四人の得意技フルコースで成敗される悪代官。
 それをバックに、鳥かごから出て少し落ち着いたラブ姫がエンディングテーマ――もちろん、演歌である――を歌いだし……かくして、今度こそこの物語も無事に終わりを迎えたのである。

 ……無事かどうかはわりと謎だが。