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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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エピローグ5

 ツァンダ上空での戦闘より数時間後 機動要塞Arcem 格納庫

 機動要塞Arcemの格納庫。
 そこには帰投した数々のイコンの姿があった。無論、その中に禽龍の姿もある。着艦して停止すると同時に待ち構えていた救護班によってコクピットからパイロットが担ぎ出され、ストレッチャーに乗せられて医療本陣へと緊急搬送されていった為、今の禽龍は格納庫でただ静かに屹立しているだけだ。
「解析結果……性能を実現するには数十年単位の技術革新が必要……。どういうこと……いえ。一つ心当たりがあったわね。一連の事件で確認された敵機体の技術レベルは普通ならばあり得ないけど、数十年先の技術を使っているなら――現在のイコン技術が順当に進歩を続ければ数十年後にはちょうどあれだけの技術レベルになるのかもしれない」
 戦いを終え、格納庫に運び込まれた禽龍を見上げながらイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)何かに思い至った様子で一人ごちる。
「どんなに奇想天外な結論でも、最後に残った結論ならそれが真実である……って、名探偵はいうけどね……」
 そして、イーリャは意味深長な含みを持たせてそう呟いた。
「そうした謎と真実が相手なら、オレは紙巻きタバコじゃなくてパイプに変えるべきですかね」
 背後から声をかけられてイーリャが振り返った先にいたのは、ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)だ。
「ご足労頂き感謝しますよ。アカーシ博士。ま、今回もひとつよろしくお願いしますよ」
 人当りの良さそうな笑みを浮かべると、ルースはイーリャに敬礼してみせる。
「今回もオブザーバーとしてのご依頼に応じて参りました。こちらこそよろしくお願いしますね」
 敬礼するルースに歩み寄ると、イーリャはルースと握手を交わす。
「それでですね。今回はオレが分析のお手伝いや意見交換の相手を兼ねた護衛みたいなもんだと思ってください」
 リラックスした調子で言うルースだが、イーリャの方が逆に恐縮してしまっていた。
「そんな……私に護衛だなんて」
 恐縮するイーリャに対して小さく笑いかけると、ルースは頭をかきながら言う。
「アカーシ博士は今回の事件を解決する上で貴重な頭脳ですから教導団にとっては要人ってことになります。それなら、軍人である俺が要人を警護するのは当然の流れっちゃ当然の流れってわけです」
 ほどよい会話によって場が和んだところで、それを見計らったルースはイーリャに持ちかける。
「それじゃ、そろそろ始めましょうか。この機体を分析なさるんでしょう? アカーシ博士」
 ルースの提案に一度頷くイーリャ。
「ええ。ですがその前に少々、お時間よろしいですか? 今回、分析を行うにあたって意見を聞かせてもらいたい人が二人いるんです」
「構いませんが。その人たちもこのArcemに?」
 静かに頷くとイーリャは格納庫を出ていく。しばらくして戻ってきたイーリャは二人の女性を連れていた。一人は彼女と同じく白衣を着ており、ぼざぼさのセミロングの後髪と目が隠れるほどの前髪が特徴という若い女性。そしてもう一人はメタリックな質感をしたボディースーツを纏う少女だった。