リアクション
「雅羅ほら、こっちも食べて」
白波理沙は、雅羅の隣に座り、お弁当を分けて上げていた。カイル・イシュタル達他のパートナーも、それぞれにお弁当を広げて居る。
理沙のお弁当の中身はミニコロッケやタコさんウィンナー、玉子焼きなどのごくオーソドックスなもの。
「ありがとう、悪いわね」
「気にしないで」
私と雅羅の仲じゃない、と理沙が微笑むと、雅羅も嬉しそうに笑う。じゃあ遠慮無く、とおかずをつまみ、舌鼓を打つ。
「雅羅のお弁当かぁ、きっと美味いんだろうな」
四谷大助が憧れるような口調で言ってみるが、残念ながら今日のお弁当は既にひっくり返ってしまっている。
そう言う大助の本日のお弁当は、固形のカロリーフレンドとゼリー飲料のみだ。
「それで足りるの?」
「いつもこんなもんだよ。あ、お弁当の差し入れならいつでも歓迎……でも、雅羅のお弁当なんて、勿体なくて食べられないかな」
ははは、と笑う大助の横で、四谷七乃がもぐもぐとチョココロネを食べている。
「七乃、今回あんまり活躍出来なかったです……」
しょんぼりと項垂れる七乃に気づき、大助はその背中をぽんぽんと叩いた。
「そんなこと無いって、ちゃんとアルセーネさん達の所まで案内してくれただろ? 七乃が居なかったら見つけられなかったよ」
大助の言葉に、七乃は本当? と顔を上げて、少し表情を明るくした。
「でも本当、無事で何よりだよ」
そう言いながら、想詠夢悠が、アルセーネや那由他、そして雅羅に紅茶を振る舞う。
どこから用意したのか、立派なティーセットにクッキーまで添えてある。執事としてのスキルがあればこそだ。
「それにしても、災難だったわね」
夢悠が淹れてくれた紅茶を傾けながら、雅羅が那由他に声を掛ける。
雅羅に言われたくないなぁ、と那由他は茶化す。が、ふと理沙が呟いた。
「今回の件、本当に雅羅の災難体質のせいなのかなぁ」
「どういうこと?」
「ほら、ガーゴイルがやたらと私達をつつき回していたじゃない? いくら雅羅が災難体質だからって、ちょっとおかしいなって。最初に石化させられたのも、雅羅じゃなくて那由他だったし……」
「あたしを狙ったのかも、って?」
まさか、と那由他は笑い飛ばすので、理沙もそうだよね、と笑った。確証はどこにも無い。
「……やっぱり私の災難体質のせいよね」
「あ、やだ雅羅、そんなつもりじゃないよー!」
はあ、と肩を落とす雅羅に、那由他と理沙が慌ててフォローを入れる。
遅めのランチタイムはそのまま、日が暮れるまで続くのだった。
――おわり――
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
ご無沙汰しておりました、常葉です。久々のマスターシナリオですので、大丈夫かなぁとドキドキしながら執筆に望みました。
さて、少々ネタばらし。
舞台となった木が非常に広大だったため、手がかりの無いままの探索は難航したことと思います。
また、ガーゴイルは一定の意図を持って動いていましたので、関係の無い人間はこちらから攻撃しない限り攻撃をしてこない仕様でした。
(ですので、「ガーゴイルに連れ去られた」というアクションは「カラスに連れ去られた」と読み替えて採用させて頂きました)
ガーゴイルの意図については謎のまま……となっています。
また、最後のランチタイムについてはあくまでも「後日談」ということで、基本的には描写は少なめとさせて頂いて居ます。ご了承下さい。
ところで、お腹の子どもに蹴っ飛ばされまくりながらこのマスコメを書いています。
出産予定は12月ですので、それまでにもう数本、マスターシナリオを出せたらいいかなぁ、と思っています。(産後は少しお休みを頂いて、また戻ってくるつもりです)
次回もご参加頂ければ幸いです。
お付き合い、ありがとうございました。