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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

リアクション

 イコン同士の戦闘用に作られた会場。その場に集う四つの機体。
「……機体チェック完了。何も細工はされていないようだ」
「システムチェック完了。こちらも何もありませんでしたわ」
 模擬戦前に不審な物がないか、入念に陣風のチェックする湊川 亮一(みなとがわ・りょういち)高嶋 梓(たかしま・あずさ)の二人。
『こちらゼノガイスト。今回はよろしく頼む』
 ゼノガイストに乗る柊 真司(ひいらぎ・しんじ)ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)から通信が入る。
『あぁ、こちらこそよろしく』
『よし、全員準備は出来たか?』
 トーマスの乗るフリーダムから通信が入る。
『僕たち大丈夫ですよ』
『こちらも平気だ』
『合図は僕がやるよ』
 一人、安全な場所にいるケビンからの通信が入る。
『それじゃ、模擬戦スタート!』
 合図と共に、その高機動を活かし、一気に接近してくるフリーダム。
「一気に終わらせてやる!」
「フリーダムは突撃ですか……。姉さん、僕たちはどうしましょうか?」
「……牽制して、様子見、かな」
「了解」
 BMIを搭載するサーシャ達の乗るラードゥガはレーザーマシンガンを構え、牽制射撃をかける。
「前方よりフリーダム接近。ラードゥガは……様子を見ているようですわ」
 梓が、レーダーを見ながら情報を亮一に伝える。
「了解。飛行形態で上空回避する」
 陣風は飛行形態へと変形、一度空へと離脱。
「陣風は空に退避したようですね。真司、こちらはどうしますか?」
「牽制しつつ、相手の攻撃パターンを分析。しばらく様子を見よう」
「正面のフリーダムはどうしますか?」
「ウィングシールドを展開しつつ回避する」
「喰らえっ!」
 フリーダムはビームサーベルを抜き、ゼノガイストに迫る。
「そんな単調な動き、当たらないぞ」
 両肩のウィングシールドを展開し、素早く動きフリーダムの攻撃を回避。
「くそっ、まだまだ!」
 すぐさま、方向転換し、再度突撃する。それに対しゼノガイストが銃剣付きアサルトライフルで牽制し、再突撃を防ぐ。
「くそ……」
「フリーダム、有効射撃範囲内ですわ」
「了解だ」
 陣風が上空から大形ビームキャノンとでフリーダムへ攻撃をかける。
「おっと、簡単には当たらないぜ!」
 機動力を活かし、攻撃の間を縫うように回避するフリーダム。
「そこだ!」
 そして、ゼノガイストへ再度、攻撃をしかける。
「今ですね」
 更に、それにあわせるようにラードゥガがレーザーマシンガンをゼノガイストに集中させる。
「右より、ラードゥガの射撃。正面よりフリーダム。来ます!」
「任せろ」
 真司がアクセルギアを使い、体感速度を強化。瞬時に状況を把握し、フリーダムの攻撃を左に回避し、つかさずラードゥガの射線上から外れる。
「っと!」
 代わりにラードゥガの射線上に入ったフリーダム。瞬時にビームシールドを展開し、ラードゥガの射撃を防ぐ。
「技術は高いようですが、あまり、チームワークが取れていませんね」
「フリーダムは基本的に近接戦闘を狙い、ラードゥガは奇襲狙いなのか、消極的みたいだな」
『こちら陣風、そちらはどうでる?』
『相手の行動はだいたい読めた』
『こちらもだ』
『フリーダムはこちらで制圧する』
『言うと思ったよ。ラードゥガは任せてくれ』
「よし、一気に畳み掛けるぞ」
「了解です」
 ゼノガイストが武装をパージ。新式ビームサーベルのみを持ち、エナジーバーストで加速。
「させない……!」
 それに対しラードゥガがレーザーマシンガンを構える。
「そこだ!」
 そこに陣風が上空より大形ビームキャノンでラードゥガに攻撃。
「うわっ!」
「……右腕損傷」
 注意がフリーダムのほうにそれ完全に油断していたラードゥガの右腕にビームキャノンがヒット。陣風はそのまま離脱し、フリーダムのほうへ。
「終わりにしてやる」
「負けるかぁ!」
 突撃する、ゼノガイスト。負けじと真正面から突撃するフリーダム。
「いまだ!」
 上空を翔る陣風による援護射撃。
「なに!?」
 回避するために失速するフリーダム。
 そこにエナジーバーストで突撃するゼノガイストがフリーダムに体当たり。体勢を崩し倒れるフリーダム。
「この一撃に全てを全てを賭ける!」
 リミッター解除をしたファイナルイコンソード。
「くそ……!」
 倒れざまに振られたフリーダムの持つビームサーベルを弾き飛ばし、そのままソードをフリーダムに突きつける。
「俺の勝ちだな」

 右腕を損傷し、使用不能状態のラードゥガ。レーザーマシンガンを空を翔る陣風に対し乱射し、距離を保つ。
「姉さん、このままじゃ……」
「……うん」
 マシンガンを捨て、ブレイドランスを構え、陣風目掛けて飛翔。
「ラードゥガ接近。近接に持ち込むつもりですわ」
「ついに痺れを切らしたか。迎え撃つぞ」
 人型形態へ変形する陣風、スフィーダソードを手に、迫り来るラードゥガを迎え撃つ。
「このまま一気に行かせてもらいます」
 左腕だけとはいえ、巧みにブレイドランスを扱うラードゥガ。
 スフィーダソードでうまくいなしながら、機会をうかがう陣風。
『待たせたな』
 少ししてラードゥガの後方にゼノガイストが到着。
「来たか、転進!」
 今まで防戦一方だった陣風が攻撃を開始。
「……! 後方に敵影!」
「後ろ!?」
「こっちだ!」
 後ろに気を取られた瞬間、陣風のスフィーダソードがラードゥガのブレイドランスを打上げた。
 そして、ゼノガイスト、陣風がお互いの剣をラードゥガに突きつける。
「……降参ですね」
 
「くそっ、俺が一方的に負けるなんて……」
 休憩室に集まる一行。
「確かに腕は悪くない」
「僕達がもう少し援護できればよかったですね」
「……(こくり)」
「……今回のはたまたまだ! 次は絶対に負けない!」
 ビシッと突きつけるトーマスだった。