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なし

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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三日目

 『人材発掘プログラム』も中間にささしかかる。校舎内では、複数の学校の生徒が集まって、雑談をしていたり、模擬戦の約束をしていたりと、だいぶ賑やかになってきた。
「…………」
 そんな中、教室で一人座って、ボーっと外を見ているテレサ。
「はふぅ、未だ情報はなし……。わたしは無事に任務を完遂できるのでしょうか……?」
 ため息をつくテレサ。
「あのシスター服っぽい制服は……アカデミーの子か」
「ん? どうしたの? あの子がどうかした?」
 そんな哀愁漂うテレサを見かけるレオナーズ・アーズナック(れおなーず・あーずなっく)アーミス・マーセルク(あーみす・まーせるく)の二人。
「天学の姉妹校でこっちに留学生も来てるっていうけど、話したことはなかったな」
「へぇ……、それでどうする? 話しかけてみる?」
「まぁ、こういう場にいるんだし……。そうだね、声をかけてみようか。ちょっと物思いに耽っているみたいだし」
「了解。それじゃ、行ってみましょう!」
 二人は、テレサの下へ。
「こんにちは」
 急に話しかけられてビクッと反応するテレサ。
「あ、こ、こんにちは、です」
「俺はレオナーズ。こっちはアーミス」
「よろしくね!」
「はい、わたしは、テレサと言います。よ、よろしく、お願いします。それで、何か、ご、御用でしょうか?」
「いや、用事というほどではないんだけど、少し物思いに耽っていたみたいだから」
「……そんなに思いつめた顔をしていたのでしょうか……?」
 指摘されて、自分の頬を引っ張るテレサ。
「どう、少し散歩にでも出ない? 大人しくしているより、少し歩いたほうが、気分も落ち着くだろうし」
「いつまでもジッとしてたら、どんどん落ち込んじゃうからね。気分転換しなきゃ!」
「……そうですね。そのお誘い、お受けします」
「とりあえず……、そうだね、外にでも行こうか。晴れて風も気持ちよさそうだし」
 二人の言葉に少し考えた後、お誘いを受けたテレサ。そんな三人は、雑談を交えつつ外へと向かった。

「良い天気で、風も涼しいねー」
 テレサ達三人は、目的もなく中庭をゆっくりと散歩していた。
「どうかな、少しは気分も良くなった?」
「はい、悩んでいても、しょうがないですよね。少しでも行動するべき。ですね」
 レオナーズの言葉に頷き返すテレサ。
「おやおや、お三方。お揃いでお散歩かな?」
「やっほー」
 そこにやってきたのは、レイ、桐生 円(きりゅう・まどか)リーゼロッテ・フォン・ファウスト(りーぜろって・ふぉんふぁうすと)フィア・シュヴェスター(ふぃあ・しゅう゛ぇすたー)の面々。
「こんにちは」
「……こんにちは」
「やぁ、みんな。そっちも散歩かな?」
「うん、レイちゃんと遊ぼうかなって」
「別にあたしは良いって言ってるのに……」
「そんなこと言わないでさー。ねっ?」
 レイの後ろからギュッと抱きつく円。
「うがー! 抱きつくなー!」
 暴れるレイだが、結局離してもらえず諦めて大人しくなった。
「あたしは生徒じゃないぞ、これでもオブザーバーなんだから少しは敬えー……」
「それでも十歳の女の子だもの。楽しく遊んでもバチは当たらないよ」
「そうだね。少し遊んでみたらどうかな? 案外楽しいかも知れないよ」
「えぇー……」
「そうそう。お友達とかと遊ぶと楽しいよ?」
「別に友達なんて……、って何をする!」
 途中まで言いかけたレイの頭を撫でまくる円。
「そういうこと言わないの。ボクも小さい頃は同じこと思ってたよ。でもね、今は友達とかに支えられている。実際作ってみると良いものだよ、友達は」
「わ、わたしも、そう思います」
 テレサがレオナーズ達を見る。
「まだ、友達とは言えないかも、知れません。でも、このお二人は、悩んでいるわたしを連れ出してくれた。おかげで元気が出ました」
「テレサにそう言ってもらえたら、連れ出したかいがあるってものさ」
「というわけで、あそぼ?」
「……少しだけ、ね。お仕事もあるから少しだけ!」
 円の言葉にプイッとそっぽを向きつつ、答えるレイ。
「そうこなくっちゃ! さて、何して遊ぼうかなぁ……。人数もいるし、外だから……、鬼ごっことか良いかも! よし、早速やろう! 鬼はボクがやるね」
「俺は見ているよ。アーミスは遊んできなよ」
「えっ! 私、参加なの!?」
「フィア、せっかくだから遊んでおいで」
「……うん」 
「ほらほら、キミも!」
「ふぇ!? わたしもですか!?」
「やるからには本気でやるんだから!」
 こうして、テレサ達も巻き込んで鬼ごっこが開始された。

「……タッチ」
「はぅ、捕まっちゃいました……。次はわたしが鬼ですね。行きますよー!」
「鬼さんこちらー!」
「ほらほら、こっちだよー!」
「むむむっ……、逃がしませんよー!」
「……捕まり……ませんよ」
「よし、タッチです!」
「このあたしが捕まるなんて……。覚悟しなさいよー!」
「うわっ、こっち来ないでー!」
「そこの魔女! とまれぇー!!」
「鬼に止まれと言われて、止まる人はいないわよ!」
「……と、見せかけて!」
「ありゃ、フェイクをかけて油断しているところを捕まえるとは……、やるねレイちゃん。さぁ、サクッと捕まえちゃうんだから! それっ!」
「……ささ」
「おぅ、フィアちゃん。ナイスステップ! でも甘い!」
「捕まり……ました。今度は……捕まえます」
「うわっ! こっち来た!」
「……逃がしません」

「なんだかんが言いながらも楽しそうに遊んでいるね。みんな」
 ベンチに座りながら楽しそうに鬼ごっこをやっている光景を見ている、レオナーズとリーゼロッテ。
「そうね。平和な景色に癒されるわ」
「天才と言えど、女の子ってところかな」
「そうだね」
 その平和的な光景はしばらくの間続いたのだった。