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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城

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第4章 突撃! 飛空艇!

 パラミタ内海上空を移動する巨大飛空艇。
 その火器と周囲を動き回っていた小型襲撃兵器の数が、生徒達の活躍で激減していった。
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は今が好機と飛空艇への突入を試みる。
「弓彩、行くぞ! ちゃんとつかまってろ!」
「オッケー」
 弓彩 妃美はダリルが駆る聖邪龍ケイオスブレードドラゴンに背に捕まる。
 突入部隊の先頭に立ったフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)が、ペガサス“ナハトグランツ”に跨りながら家宝の大斧を振り上げる。
「それじゃあ、皆――行くぜ!!
 フェイミィがナハトグランツと共に、≪バイオレットミスト≫の満ちた空を駆け抜ける。
 そんな生徒達の行く手を塞ぐように、大量の銃弾とミサイルが襲いかかる。
「その程度! オレ達の新しい力……見せてやろうぜ、グランツ!」
 フェイミィが声を挙げると、ナハトグランツが鼻を鳴らして呼応した。
 すると、フェイミィの背に3対の光の翼が生える。翼は呼吸でもするかのように大きく羽を広げ、フェイミィとナハトグランツを輝きに包みこむ。
「追いつけるものなら、やってみろ!」
 光に包まれたフェイミィの速度は、躍的に向上していた。
 目で追うことさえできず、瞬きする間に光の後を残して遥か遠くと移動していた。
「今のうちに」
 フェイミィが対空砲火を惹きつけている間に、妃美達は飛空艇に近づく。
 それに気づいた小型襲撃兵器が妨害に動き出す。
「リネン、援護に向かうわよ!」
「ええ、やらせはしないわ!」
 突入部隊を援護するため、ヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)リネン・エルフト(りねん・えるふと)が小型兵器の迎撃にあたる。
 リネンはペガサス“ネーベルグランツ”に騎乗し、慣れた身のこなしで後方から小型兵器を撃ち落としていく。
「こんな玩具にやられる空賊はいないわよ!」
 さらに、煙をあげる小型兵器にヘリワードの放った矢が直撃する。
「一機たりとも抜かせたらだめよ!」
 ヘリワードは両サイドに部下を従え、背後の突入部隊を守る。
 一機たりとも、一撃さえも、生徒達には届かせない。
 そんな彼らから少し離れた所で、アガレス・アンドレアルフス(あがれす・あんどれあるふす)リース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)に声をかける。
「リース、貴公も急ぐのじゃ。己の使命を……」
「あわわ、置いて行かれしまいます。お師匠様、行ってきます!」
「……うぬ」
 何か言いかけたアガレスを置いて、リースは妃美を慌てて追いかけて行く。
「さて、あたし達はリース達が安心して帰れるようにしないとね!」
「そうじゃな」
 アガレスは気を取り直して、マーガレット・アップルリング(まーがれっと・あっぷるりんぐ)と迎撃にあたる。

 生徒達が追い付いてきたのを確認して、フェイミィは弾幕を抜けて飛空艇の下部へと移動する。
 そして、装甲の薄そうな所に狙いを定めた。
「いくぜ!」
 気合を込めると光の分身が現れ、フェイミィが疾走する。
「そこだぁぁぁぁ!!」
 分身と共に一点集中で放たれた攻撃は、装甲をぶち破り飛空艇内部への道を作った。
「ここは……」
「飛空艇発進用のスロープみたいよ」
 隣に降り立ったローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が周囲を見渡して答えた。
 警報灯に照らされた鉄の檻のような空間。そこに飛空艇が数機置かれていた。
「脱出時に使えそうだわ」
 捕らわれている人が何人いるかはわからない。けれど、これを使えれば迅速に連れ出すことができるだろう。
 ローザマリアが飛空艇の状態を確認していると、妃美が声をあげる。
「敵が来たわよ!」
 内部へと続く通路から、騒がしいサイレンに混ざって、怒声と足音が近づいてくる。
「グランツは待ってな!」
 走り出したフェイミィは、魔法的力場を蹴りつけ、曲がり角を進んできた敵兵へ飛びこむ。
「邪魔するやつは吹き飛ばす!」
 大斧で薙ぎ払って一掃するフェイミィ。
 さらに向かってきた敵の攻撃を、武器で塞ぐ。
「ちぃ!」
「援護するわよ!」
 後方からローザマリアが機晶スナイパーライフルで敵兵の肩を撃ちぬいた。
「私も――」
 生徒達が戦闘を開始する中、自分も参加しようとする妃美。
 すると、彼女の前にリースが割り込んできた。
「弓彩さん、私が前に出ますから援護をお願いします」
「お、おう……あんた、前線いけるの?」
「だだだ、大丈夫ですよ? ボディーガードですから、少しくらい前へ出て戦えますっ!」
 必死に説得してくるリースに、不思議そうにしながらも妃美はしぶしぶ頷く。
 了承を得られて、リースはホッと胸を撫で下ろした。
こうでもしないと、弓彩さん突っ込んじゃいそうなんですから……
「ん? なんか言った?」
「い、いいえ!? 何も言ってません! ほ、ほら私達も急ぎましょう」
 リースは話をはぐらかしながら、敵兵を倒して通路を進みだしたフェイミィ達を追いかける。
 同じく通路を進んでいたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、隣を歩くルカルカ・ルー(るかるか・るー)に話しかける。
「ルカ、俺達はこの飛空艇を制圧するぞ」
「艦橋を目指すんだよね」
 二人はつい先ほど、動けなくなった兵士から聞き出した情報を確認する。
 そして、仲間達に事情を説明し、別行動をとることにした。
「捕らわれている人達は、そっちの通路だって。私達はこっちらだから」
 別れ道で、生徒達とお互いの成功を祈り励まし合った。
「それじゃあ、みんな気を付けてね。特に妃美は無茶しちゃだめだよ」
「ん、私? あ〜……うん」
 心配された妃美は、ジト目をリースに向けた。
「そっちも気を付けて!」
「や、やめ、やめてください、弓彩さん」
 妃美はなんだか嬉しそうに笑いながら、リースの髪をくしゃくしゃにし始める。
 そんな彼女達と。手を振って彼らと別れたルカルカ。
 暫く進むと、通路に敵兵が立ち塞がる。
「ルカ!」
「ん、なにダリル?」
「俺達なら問題ない。このまま正面から叩くぞ」
「……もちろん!」
 ルカルカはダリルの援護を受け、敵兵に【百獣拳】を叩き込んだ。