リアクション
同日 某時刻 シャンバラ教導団本校
「さて、引き渡しも無事完了したことですし」
禽竜の追加武装を入れたコンテナを抱え、飛び去っていくフィーニクス・NX/F。
それを見送りながら、イーリャと白竜に説明を行った技術者は呟いた。
「この度はご協力感謝します」
敬礼してその場を去ろうとする白竜。
だが、技術者は彼を呼びとめた。
「叶大尉。申し訳ありませんが、もう少しお時間よろしいですかね?」
「構いませんが」
「助かります。まあ、いずれは他校の人々の目にも触れることになるんでしょうが、なにぶん今『それ』……いえ、『それら』が置かれている場所は最重要機密扱いの区画なもんで。だからといって賓客待遇の相手を蚊帳の外にして……ってわけにもいかんでしょう。だから、待ってたってわけです」
彼の言葉から何かを察した白竜。
白竜が無言で頷くと、技術者は歩き出す。
ややあって二人が辿り着いたのは、最重要機密区画の一つ。
「最後の一機……もとい一対が起動したもんで。叶大尉がいらっしゃると聞いて、ここに運び込んでおいたんですよ」
カードキーにパスワード、そしてバイオメトリクス――。
数々の承認を突破し、地下深くまでエレベーターで降りた先。
格納庫へと続く道を歩きながら、技術者は白竜に言った。
「かつて、超能力者や魔法使いを新人類と考え、いつか現生人類が彼等に取って代わられるとも考えた博士が教導団にいましてね。そして、その博士も大宮博士のように行方不明となった。研究中の装置と一緒にね」
それを聞き、白竜は僅かに驚きの色を見せる。
「まさか――」
「ええ。この先にあるのは最後の『竜』。『それ』……いえ、『それら』は――」
技術者が語っていると、丁度二人は重厚な扉の前に辿り着く。
最後の認証を終え、扉を開ける技術者。
最重要機密用の格納庫に『それ』もとい『それら』はあった。
扉の向こうへと足を踏み入れた二人を出迎えたのは、二機のイコン。
「――念竜と彩竜。最後の『竜』は双子です」