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2023春のSSシナリオ

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2023春のSSシナリオ
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リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「ふ、フリーダムだな。だが、リン・ダージのアクションは気に入った。何よりも、秘密結社というのが凄くいい。よし、これを無条件採用だ」
 モニタの前でそう叫ぶと、ドクター・ハデスはアクビを交えつつも調子に乗りながらリアクションを書き始めました。
 
    ★    ★    ★
 
「どれどれ、どんなアクションが来ているのかなあ」
 六面ダイスから二十面ダイスまでを持ち出して佐々木弥十郎が、やる気まんまんでゴチメイたちのアクションの判定をしていきました。
 コロコロコロ……。
「アルディミアクはと……。当たり障りのない行動か。NPC判定も……ころころ……、無難だなあ、つまんねえ」
 ダイスの目を判定表に照らし合わせて、佐々木弥十郎が言いました。面白くなくても、判定とはそう言うものです。乱数の女神様のお言葉は絶対なのです。
「ペコのは……、コイノボリを三枚におろすって、どういう意味だよぉ。普通没だわなあ、これってえ。とりあえず、コロコロコロ……。えっ、判定通っちゃった!? ううむ、しかたないか……。どう処理するか……」
「ねえねえ、それならNPCでバニラ・テシガチャっていうのがでるのはどう? それに処理させればいいじゃないですか。あっ、もちろん、モデルはボクですよ」
 考え込んでいる佐々木弥十郎を見て、横から仁科 響(にしな・ひびき)が口をはさんできました。
「ううん、ガイドにないNPCはなあ……」
 いちおう、無名のNPC以外だと、サプライズか、反則です。とはいえ、困った事態を収拾させるのに有効なことには間違いはありません。
「それじゃ、その方向で、お話をいじってみようかあ」
「わあい」
 登場できるというので、仁科響が喜びました。
「他に、判定が必要そうなアクションはと……。チャイの分を、やっとくかなあ。コロコロコロ……。げっ、ピンゾロかあ。うーん、どう処理するかなあ……。天の声で、魔法が暴走とでもするかなあ」
「天の声ねえ、思いつきだけで大丈夫?」
 佐々木弥十郎がどう話をいじくるのかと、仁科響が興味深そうにタイプする手許をのぞき込みました。
 
    ★    ★    ★
 
「こんな感じでどおでしょうかあ」
 リース・エンデルフィアが、だいたいの方針を話してパートナーたちに訊ねてみました。
「それじゃダメだよね、もっと、こう、派手でじゃなくちゃ面白くないんだもん」
 今ひとつインパクトが足りないと、マーガレット・アップルリング(まーがれっと・あっぷるりんぐ)が言います。
「なんだ、このアクションは、確定ロールばかりではないか。とくに、このココ・カンパーニュというのは酷いな。こういうアクションは、全て没でよかろう」
「でも、それでは、書くことがなくなってしまいます……」
 それは困ると、リース・エンデルフィアが桐条 隆元(きりじょう・たかもと)に言いました。
「できぬことはできぬと、きっぱりと切り捨てた方が、マスターにも、プレイヤーにも、お互いのためだとは思うがな。皆が読んで楽しいリアクションこそ大事であろう? その者だけが酔いしれても、それが他のプレイヤーにも面白くなければ、何にもならぬ。ピンポイントで、自分だけが面白いというアクションなど、論外であろう。どれ、こういう輩には、わしが個別コメントできっちりと説教をしてくれよう」
「ああっ、まだ書き上がってもいないんですから、待ってください、待ってください」
 いきなり先に個別コメントを書き出そうとする桐条隆元を、リース・エンデルフィアがあわてて押し止めました。
「リースよ困っておるようじゃな。ならば大英雄たる我が輩をNPCとして使うがよいッ! なあに、全ては、この我が輩がNPCで大活躍すれば解決するのじゃ」
 えへんと、鳩胸を張ってアガレス・アンドレアルフス(あがれす・あんどれあるふす)が言いました。
「作者のNPC無双は、一番やっちゃいけないことなんですよ」
「何を言うか、アクションによってストーリーが破綻するのであれば、それはシナリオの失敗ということではないか。その尻ぬぐいをするのが、我が輩のようなスーパー完璧なNPC様であるのだ」
 それってどうなのかと、パートナーたちが喧々囂々の議論を始めます。
「ええっと、みんなもう少し落ち着いてください。今どうにかして考えますから……。あんまり騒ぐと、部屋から追い出しますからね」
 うるさいとばかりに、リース・エンデルフィアがパートナーたちをだませてキーボードにむかいました。
 
    ★    ★    ★
 
「ヒャッハー。このガイドは、そう、最近パッとしないビュリ・ピュリティアを、卑劣で酷い処理してでも脚光当てろということだぜぇい? やってやるぜ、俺はやるぜ、俺はやるぜ!」
 なんだか、酷く勘違いしたまま、南鮪がモニタの前で叫びました。
「ヒャッハァ〜。よしデビュー済み作家様の俺が、魔星倫愚をして利悪詩四を作ってやるぜ。ビュリ強化月間物でな!」
 いったいいつ作家デビューしたのか分かりませんが、キマクでは適当な本でも出版できるので、その類なのでしょうか。中には、手書きの発行部数一部の本で、出版記念パーティーと称した略奪をする者もいるくらいです。
「全ては、俺様の指先一つでダウンだぜぇい」