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【祓魔師】大掃除には早すぎる…葦原の長屋の泥棒掃除屋

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【祓魔師】大掃除には早すぎる…葦原の長屋の泥棒掃除屋

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第13章 エリドゥ・調査 Story4

 葦原の長屋での依頼である、物取り事件…猫又誘拐未遂が無事解決した頃。
 エリドゥの近辺では、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)たちはボコールに黒魔術を教えた者の、行方の手がかりを探していた。
「災害を誘発したり…破壊活動したりと、いったい何の目的で…」
「んーと、楽しいからって言ってたよね?強い魔術を使って、暴れたいってことかな」
 尋問の様子をノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が思いしながら言う。
「もちろん、それもあるでしょう」
 愉快犯的思考もあり、悪意を持って人を…この地に住む生命を殺したい。
 エリシアにはさらに何かもっと、深い……闇があるような…と感じられる。
「―…支配し、穢す。まるで、この世の全ての悪意のようですわね。頭が子供という点からすれば、やや“幼稚”さも見える気がしますわ」
「遊んでるってこと?」
「そう、子供の遊びの感覚は時に、限度を知らず残酷なものでもある。人の迷惑だとか、悲しみだとかお構いなしに。だからこそ、より始末が悪いものになりそうですわ」
「てことはプリンって呼ばれるのもそう?」
「さぁ…それはどうでしょう。他の者の話も聞いてみませんとね」
「うーん、手がかりになりそうなのがないね」
 ノーンも一生懸命に探しているが、砂ばかりで行き先の痕跡すら見つからない。
「強い力を求めれば、使いたい好奇心。人の欲望につけこんで、それをつつく…というのも?」
「でも、それで寿命が縮まっているのに。気にしないのって不思議だね」
「一度手にして使ってしまえば、後戻りはできない。それで、感覚もマヒして蛮行に走る。確かに、ほとんどの魔法は使い方によって、破壊をもたらすものですのよ…」
 “壊す”魔法は扱い方によっては連中が使う、黒魔術となんら変わりないと呟く。
「魔法は人を幸せにするものでもあるよ?壊すだけなんて、間違ってる!」
「えぇ…本当はそうなんですのよ、ノーン。わたくしたちの能力は傷ついた者を助け、大切な誰かを守るもの。それを、忘れないようにしてかないといけませんわ」
「授業でいっぱい学んだよ!」
「ノーンには今更のことでしたわね、フフフッ」
 この子なら何があっても動じず、立ち向かえるだろうとノーンの成長を喜ぶ。
「はぁ、またイチャイチャメールかしら」
 ため息混じりに言い、御神楽 陽太(みかぐら・ようた)からもメールを開く。

 -調査、進んでいますか?-

 エリドゥの気候は、日中と夜では寒暖差があるようですね。
 体調を崩さないように頑張ってください。

 今日は、ツァンダの自宅で、妻とメイドロボ2体と一緒に、麻雀をしています。
 あ、賭け麻雀はしていませんよ?
 財産は夫婦の共有ですから、お金をかける遊びはしていません。
 代わりに、勝利ポイントを貯める感じです。
 貯めたポイントを使って、夫婦間で何かをリクエストできるということです。
 勝率は…はははっ、俺のほうはかなり負けていますね、妻のほうが勝っていますね。

 それと、毎回エリシアとノーンからもらっている、メールや画像ですが。
 夫婦一緒に楽しませてもらっています。

 では、任務頑張ってくださいね。

 陽太

「ふぅ、相変わらずのイチャイチャぶりですわね」
 また遊園地であることないこと、陽太の妻の前で言ってやろうと思ったが…。
 当分はその時間はこなさそうだ。



 町や海側を調査している者たちが何か情報を掴んでいないかと、エリシアとノーンはエリドゥの町の前へ行き、フレデリカたちと合流する。
「こちらはこれといったものは、ありませんでしたわ」
「私たちのほうは…。砂嵐のようなものが発生したと聞いたわ。場所は、町の外らしいの」
「外…?気づきませんでしたわ」
「地図を描いてもらったから、そこを見に行ってみましょう」
「えぇ。何があるか、一目でも見ておきませんとね」
 フレデリカに頷き彼女に案内してもらう。
「(アークソウルには何も反応ないわね)」
 やっぱりすぐ発見できるものでもないか…と、フレデリカはペンダントの中の宝石を見る。
「風……?」
 髪を揺らされた感覚がした綾瀬は足を止めた。
「はわわ、綾瀬様。すごい風がっ」
「私に捕まってください、リトルフロイライン!」
「砂嵐でなにも見えないよー」
「わたくしたちが踏み入れたら、まずい何かがある可能性がありますわね」
「(ニクシーが言っていた名の者が、そこにいるのでしょうか)」
 レイカは目を凝らして情報を得ようとするが何も見えない。
「突破はむりか」
「飛び込んでみますか、グラルダ」
「まさか、そんなバカで無謀なことはしない」
 シィシャの言葉に飛び込むほど、無知ではないと告げた。
「テスタメント、ちょっと入ってみなさいよ」
「イヤですっ。断固拒否します!」
「あいたっ!?…手に傷が」
 手に痛みが走りスクリプトが手の甲を見ると、鋭利なもので斬られたように、じわりと血が滲む。
「進入して調査したいところですが、私たちだけでは難しそうですね」
「でも、ルイ姉。アークソウルに気配はないわ。魔性の仕業ではないと?」
「それはどうでしょう。もっと、奥のほうにいるのかもしれません。何か、手を考えなくてはなりませんね」
「ここで話していても仕方ないわ。いったん、学校に戻りましょう。葦原の長屋のほうを担当した人たちの、話も気になるもの」
 視界ゼロの砂嵐の先が気になるが、自分たちだけでは危険だと判断して魔法学校へ帰還する。