First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last
リアクション
第9章 魔道具の考案しちゃいましょ♪
「スキルの提案はもうないのじゃったら、魔道具のほうを募集するのじゃ♪」
「砂嵐のこともそうだけど、外的要因が詠唱の妨げになったりしないかな。瞬間的に使えるものがよいよね」
詠唱と止められてはまた唱え直しとなり、後手に回って相手の術の回避すら遅れそうだ。
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)はディレイのない守りが必要だと考えてのことだった。
「すぐに出現させられる擬似的な結界を、構築できたらいいなって思ったんだ」
「ふむ、じゃがそれだけではイメージが掴みきれんのぅ」
「結界はこんな感じに…、空気が膨れ上がるようにね」
魔道具を中心に膨れるイメージを、紙に大きく描いてみせた。
「お餅みたいで面白いのぅ♪初期の範囲はいかほどじゃ?」
「数メートルから十数メートルって考えたけど。消耗が厳しいなら数メートルくらいでね」
「ほう〜。…メモしたのじゃ!…次は誰かのぅ?」
「俺もやはり…、使い魔の能力を使うための消耗が気になる」
半分眠りかけていたグラキエスの意識が突然活性化した。
会議中も早く魔道具を提案したくってずっと待っていたのだ。
ベルクと同じくグラキエスも、やはり精神力の消耗を問題視していたらしく、宝石は諦めてパートナーのために考えるべきかと思った。
「本当は別のことを提案したいのでしょう?なぜ…」
「どうにもアウレウスの負担が大きい気がするからな」
「な、なんと。いやしかし、主が提案したいもののほうがよろしいかと!」
「そうか…?じゃあ…新しい宝石を」
氷や水の宝石はまだないと思い、今回は氷系の魔道具を提案する。
「―…攻撃面だが、宝石で発生せた氷柱で魔性の動きを封じるか、氷柱を飛ばすこと。守りほうは、冷気の幕を張り魔性が吐き出す毒素などを防御できるものだ」
「むー。効果は、他にもあったりは?」
「そうだな…範囲や持続時間などは、術者の能力によるものとするくらいか。氷なら暑さもしのげるだろう」
火山で暑さにやられたことを思うと、その対策もしたかったようだ。
「暑さガードとな?む…まだ2案なのじゃ」
「ジュディちゃん、私もいい?」
「歌菜か、遠慮なく言いがよいぞ」
「長屋での解呪が大変だったのよね、動き回っちゃうから」
「それは解呪の魔道具というわけかのぅ?」
「一応そうかも。えっとね、レイン・オブ・ペネトレーションとカエルソングで思いついたの。癒しの力を音符の雨に乗せて飛ばすのよ」
歌菜はアイデア術と呪術で閃いた魔道具について説明する。
「ハープに宝石をはめて音を鳴らすことで発動するの」
「ぬぅー…」
「難しそうかな。…ジュディちゃん?」
眉を寄せるジュディの顔を不安げに歌菜が覗き込む。
「判断は2人がするじゃろう、検討として書いておくのじゃ」
「お願いね♪」
「…歌菜は優しいわ。私なら、問答無用で拘束する魔道具を提案するかも」
「だな、まさかの無鉄砲な案を出したしな」
記憶に新しい砂嵐の中へ突撃のことを羽純が言う。
「万が一成功したとしてもだ、中にいるやつらに全員バレるだろ」
「敵は私達が侵入したかなんて、直ぐに分かると思うわよ?」
ばれないかもしれないとカティヤは反論する。
「ド派手にやれば誰だって気がつく。プライパンを耳の傍で叩かれて起きるのと同じくらいにな」
「そんなことしたら鼓膜が破れちゃいそうよ。って、そこまで言うの?」
「一般人を拘束するとかも酷いな。手段が乱暴すぎる」
「ちょっと羽純、人を鬼畜扱いしないで頂戴!一般人相手に拘束は流石にヒドイかな〜と思って、提案しなかったんだからねっ」
“まずいと思って提案しなかっただけよ。”と言うが、羽純に信じてもらえず呆れ顔をされてしまった。
「妾のほうは、宝石なのじゃが」
言い出すタイミングを見計らっていた草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)が言う。
「2つ目の宝石とな?」
グラキエスと合わせて、エレメンタルケイジに入れる宝石が2案となった。
「姿を消すことができる宝石じゃ。見つからなくすれば、アイデア術や治療などを行いやすかろう」
「実用化されれば素晴らしいのぅ♪して、範囲は?」
「一定の範囲にまで術者の調整で、効果が及ぼせるようにできないかと思うのじゃ」
「ううむ、効果対象があったりするのかのぅ」
「個人だけではなく範囲にいる者を、対象がよいと考えておる」
まさか…とかぶり振り、限定はしていないと告げた。
「他にもうなければ、締め切りじゃ」
「あ、私もよろしいでしょうか」
ノートに書きながら考えを纏めていた綾瀬が言う。
「もちろんじゃ!」
「と…その前に。エリザベート様、主従契約を行わなくても協力していただければ、その力を借りることはできますよね」
「本人たちに聞いてみないとですけどねぇ」
「ポレヴィークにその属性を付与させることはできますか?」
「うぅん、無理ですねぇ。後、ニュンフェグラールで使役できるポレヴィーク、クローリス、ニクシーの属性を付与できないと考えてくださぁ〜い」
使役して能力を行使できるような魔性の属性付与や、またそれに対しての付与はできないと告げた。
「提案する者はおらぬかのぅ?おらぬのなら、これで締め切りじゃ。刀真、入力の頼むのじゃ♪」
スキルや魔道具、それぞれの書き纏めたメモを刀真に渡した。
刀真が全て打ち終わった頃、時刻は午後14時すぎを回っていた。
プリントした用紙をエリザベートに渡す。
「ふぅ、手がシヌかと思った…」
「ありがとうございますぅ〜♪」
「エリザベート校長、皆が不得手だと思えることなどを纏めてみた」
和輝は授業や任務を通し、客観的に見た情報を纏めたコピーを2人の教師に渡した。
「一応言っておくが、これは他者へは開示しないものだ。覚えた場合、できれば燃やしてしまったほうがいい」
「分かりましたぁ〜。頑張って記憶しますねぇ」
「よく観察できてるね」
「俺の場合は主に、状況の情報伝達などが役割だったからな」
「会議はこれでひと段落ですが、地下訓練場のほうには行くんですかぁ?」
「出発のための準備もあるからな、これで帰宅するとする」
「はぁい、お疲れ様でしたぁ〜!…ではっ、アイデア術の考案や見学する方は、地下訓練場へ移動してくださいねぇ」
ようやくひと段落つき、資料に使った本などを片付け始めた。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last