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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

リアクション

「さて、次なのですが……これは一体どういう事でしょうか?」
 なななが次に示したのは【我以外契約者】【【協力し愛】とか愛が足りない】という物であった。
「ふっ、それは言葉通りなのだよ」
「その通りさ!」
 其々の発言者であるマネキ・ング(まねき・んぐ)マイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)が立ち上がる。マネキは勝ち誇ったように胸を張りつつ、マイキーは「アオッ!」と甲高い声を上げてポーズをとる。
「えーっと……発言に関して詳しく」
 なななに対して「よかろう」とマネキが頷く。
「先程から任務失敗、と言っていたな……だが、我は失敗などしておらぬ!」
 ドヤ顔でそう宣言するマネキに皆が「お前は何を言っているんだ」といった目で見る。
「この世の支配者たる我に失敗などない。我が進んだ道こそが、平和と秩序が生まれているのだ! それを妨害した愚かな人足共が勝手に場を乱したのである! 故に、我以外全員が契約者なのだよ……ふっ、完璧であろう?」
 マネキの顔は『ドヤァ……』という効果音が付きそうなドヤ顔であった。逆でもなんでもなく、完全にそう思い込んでいるようである。
「ちなみに容疑者マイキーのこれは一体どういう事で?」
 なななは深く突っ込まなかった。
「ボクのターンだね! 何故失敗したか、ボクが思うにはボク以外のみんなに【協力し愛】の精神が無かったからからなのさ! つまりは契約者とは愛がないボク以外の人たちの事だよ!」
 マイキーがポーズを決める。甲高い声を上げながら。
「ふむ……ところでお聞きしたい事があるんですよ」
 ななながVTRを再生させる。それは先程のハデスが挙げていた一つの研究室の場面である。
「ここ、最後に爆発しているんですが、爆発の原因が貴方方の新兵器だということに関しては何か申し開きはありませんか?」
 なななの言葉に、マネキとマイキーが少し考える仕草を見せる。そして口を開いた。

「アワビが足りなかったな」
「愛が足りなかったね」

 直後、真顔でほざいたマネキとマイキーが爆破させられた。残機は捨てる物だった二人は復活などできるわけもない。
「さて、この件に関して保護者である容疑者セリスはどうでしょうか?」
「え!? 俺にも振るのかよ!? ってか保護者!?」
 完全に「ああ、あいつらアホだなー」と第三者目線になっていたセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)は、突然話を振られて慌てた様子を見せる。
「勿論ですよ。保護者である以上、責任があると思いますが?」
「ちょ、ちょっとタイム! 俺よりもっと疑わしいのいる! いるから!」
「そうですか。それでは疑わしい者とは一体誰なのでしょうか?」
 少しセリスは考える仕草を見せたが、やがて口を開く。
「いや、VTR観ていて思ったんだが……所々で『アイツが契約者だ!』って言って襲っている奴や武装している奴がいただろ? 常識的に考えてアレはヤバいと思うんだが……どう思う?」
 セリスはそう言って他の面々に振ると、何人かが手を挙げる。ヘスティアとレナリィ・クエーサー(れなりぃ・くえーさー)であった。
「あの、ヘスティアはある人に殴り殺されたんですが、その人が疑わしいと思います」
「ボクも……意志で殴り殺されたんだけどその人が怪しいと」
「ほう、誰ですか?」
 なななに言われて、ヘスティアとレナリィが指を指す。
「「葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)さんです」」
「じっ、自分でありますか!?」
 まさか疑われると思っていなかったのだろうか、吹雪が慌てふためく。
「じっ、自分は悪くないであります! ちゃんと契約者を処刑しただけでありますよ!」
「見苦しいですよ! ちゃんと証拠もあるんですから! なななお嬢様……じゃなくてななな捜査官、でもなくってななな様! VTRを! 研究室のVTRをお願いします!」
 ヘスティアがそう言うと、ななながVTRを再生する。それはヘスティアが背後から吹雪にフルボッコにされている場面であった。
「ほら見てください! 銃を持って構えるヘスティアを葛城お嬢様が背後から……あ」
 それを見てヘスティアは気づいてしまった。そしてなななも気付いたようである。
「ふむ、確かにそうですね。兵士がもつような物とは思えない銃を構えた容疑者ヘスティアを、背後から容疑者吹雪が襲っていますね」
 なななの言う通り、VTRに映っていたのは【機晶魔銃マレフィクス】を構えたヘスティアを、吹雪がフルボッコにしている場面であった。
「容疑者ヘスティア、何か反論は?」
「ぐうの音も出ません」
 そしてヘスティアが爆破された。残機ゼロのガメオベラだ。
「見ての通りであります! 自分は積極的に契約者を狩っただけでありますよ!」
「それはどうかなぁ?」
 勝ち誇る吹雪に、レナリィが言う。
「ボクも吹雪さんに処刑されたんだけど、その時ボクが使っていたのって【打ち上げ花火】なんだけど……なんでこれで処刑されたのかなぁ? ただの遊び道具だよね?」
「それに関しては俺も同意」
 そう言って遠部 明志(えんぶ・ひろし)が手を挙げた。
「一瞬で見ただけでそれを契約者だけが使える物だと判断できるのか普通? 詳しすぎね? 怪しくね?」
「確かにそうだよな。何か見てると、言い訳する為だけにやってるような感じがするんだよな」
 明志の意見にセリスが同意するように頷く。
「そうそう……そう言えば、他にも同じような理由で殺害してた人がいたよーな?」
 レナリィがそう言うと、自然と皆の視線はある人物へと注がれる。
「……ああ、俺だって言いたいのか?」
 それは柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)であった。