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無人島物語

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第五章:クルーソーもびっくり!?


 夕日は傾き始めていた。
 騒動はあったものの、今や浜辺では皆が集まり力を合わせて、思い思いに島での時間を楽しんでいる。あまりいつものノリと変わらなくなってきていた。特に深刻で重大な事件は起こっていない。
 たった一つの懸念といえば、あの後自分の衣装に着替えなおした雅羅がぱんつをはいていない、というだけのことだ。しかし、それも今後は重大なトラブルを発生させそうになかった。彼女の周りにはすでに守ってくれる仲間たちがいるのだ。
 海は今や平穏で、救援すらやってくる気配はなかった。だが、誰も困ってはいない。しばらくのんびりと楽しむつもりだったし、
 太陽は、わいわい楽しんでいる契約者たちを見つめながら、水平線の彼方へとゆっくりと沈んでいく……。
 みんな力を合わせれば怖くない。
 取ってきた魚や動物を上手く調理し、談笑しながら一緒に食べた。不便だがこんなのもたまには悪くないだろう。
 少量だが、井戸水が沸いていたのが大きかった。真水が手に入る。
 集めてきた木々でキャンプファイヤーもやったが、長くなるので描写は省略しよう。それは、楽しい時間だった。
「なんか不思議。私たち、別の世界にいるみたい」
 すっかり暗くなった空を眺めながら遠野 歌菜(とおの・かな)は感嘆の声を上げた。パートナーの月崎 羽純(つきざき・はすみ)と二人きりで草原に座り星を見ていたのだった。
 夜空には満天の星が輝いていた。周囲に何もない無人島ならではの光景は、街中では見れない素晴らしさだった。
 どれくらい時間がたったろう。
「……羽純、寝てるの?」
 ゆっくりともたれかかってきた羽純に歌菜は微笑む。
 彼は、今日一日、皆と一緒に火を起こし水をつくり、食べ物を取って忙しかったのだ。難破船から泳いできたこともあってかなり疲れていたらしい。歌菜と一緒に空を見ているうちに、ほっと気が緩んでしまったようだった。
「ふふ……」
 歌菜も羽純に優しくもたれかかった。神秘的で幻想的な二人だけの時間。しばらくこうしていよう、と歌菜は思った。

 離れたところで、他の皆も夜空を眺めていたが、今夜は誰も邪魔が入らないことは確かだろう……。
 どこか遠くで、獣のような遠吠えが聞こえた。密林の奥がざわめいている気配がする。だが、それすらも、大自然の中なのだという雰囲気をかもし出していた。

 そして、静かに夜が明ける。


 では、この辺で、浜辺から場面を移そう。