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とある魔法使いと巨大な敵

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とある魔法使いと巨大な敵

リアクション


・Giant

 1

 巨大アッシュ阻止組が巨大アッシュと接触する少し前まで戻る――

巨大アッシュを止めるための作戦会議をしている輪を抜け出したルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、校庭に倒れたままになっているエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)を見てどうやって運ぼうか考えていた。
「巨大化して動けなくなってるって事は、ルカも巨大化したら運べるかな?」
 そう呟いたルカルカは、ポケットから【巨大化カプセル】を取り出すと、カプセルから出た光を浴びてエリザベートと同じように巨大化した。
 巨大化したルカルカは、【ドラゴンアーツ】で筋力を強化すると倒れたエリザベートをお嬢様抱っこで持ち上げる。
 エリザベートを持ち上げると、次は何処に避難させようかと辺りを見渡す。すると、キマク側に丁度横たえるにはいい窪地が目に入る。
(森の入口で直射日光は避けられないけど、少しの休憩ぐらいならできそうね)
 そう思うとルカルカはすぐに街から離れようと歩き出した。が、街の建物が邪魔で思う様に進めなかった。
(三分しかないのにー! 残り一分。間に合って!)
 焦ったルカルカは、建物を飛び越そうと前に兆躍した時だった。背後から誰かの「避けて!!」と言う叫び声と共に、一本の樹が二人に迫ってくる。
 地面に立っていればまだ樹を避ける動作が取れたかもしれないが、兆躍している今は樹一本かわす事さえ不可能に近い。
 ガッ! っと後頭部に鈍い衝撃が走り思わず抱えていたエリザベートを空中へと放り投げる。それと同時に、三分が経ったようでルカルカの身体が通常の身体のサイズへ急激に戻ろうとしていた。
 ルカルカはあわあわと両手で空中を掻くが、できたのは飛んできた樹の枝に手を掛ける事ぐらいだけで、掴んだ樹もぶつかった事により、その場に落下しようとしていた。
 イルミンスールの住宅街にルカルカの捕まった樹が。森の入口の荒野にエリザベートが落下するのは同時で、落下の衝撃でルカルカは目を回してしばし気絶をしたのだった。