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学生たちの休日12

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学生たちの休日12
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    ★    ★    ★

「プリン、プリン♪」
 騒ぎを逃れてきたデメテール・テスモポリスが、台所に潜入中の冷蔵子を開けようとしました。
「いやん、ワタシの中身は乙女の秘密です」
 なんだか艶めかしい声で冷蔵子がバタンと扉を閉じました。
「なんなのよ、中に入っているプリンを渡すんだもん!」
 チラリと中に見えたプリンを、デメテール・テスモポリスが要求しました。
「だめデス。ひとたびワタシの中に入った物は、全て私の物デス。誰にも渡さないデス! もしなくなったとしたら、常識的に考えて、犯人はヤス、デス!」
 断固として冷蔵子がプリンを渡すことを拒否しました。ここに、プリンを巡るデメテール・テスモポリスと冷蔵子の戦いが勃発です。
 そこへ、女王・蜂がやってきました。広間の戦いを避けてきたのです。ところが、ここでも戦いです。
「勘弁してほしいでございます」
 そっと部屋の角に身を隠す女王・蜂でした。
 さらに、あろうことか、ボコにされていた紫月唯斗が台所に逃げてきました。どうやって脱出してきたのでしょうか。顔中青痣だらけですが、なんとか生きてはいるようです。
「何をやっているんだ……んぐ、うぐぐぐ……」
 冷蔵庫を壊そうとしているようにしか見えないデメテール・テスモポリスを止めようとしたときでした。紫月唯斗に何か白いスライムのような物が貼りつきました。
「うぐぐぐぐ……」
 息をとめられて暴れる紫月唯斗が、ちょうど扉が開いていた冷蔵子の中に倒れ込みました。暴れた拍子に、中のプリンが外に飛び出します。そのまま、バタンと、扉が閉まりました。
「わーい、プリンー」
 脇目もふらずにプリンに飛びつくと、デメテール・テスモポリスがそれを持っていって、隅っこで食べ始めました。
「ああっ、唯斗さんがワタシの中に……。ポッ」
 冷蔵子が、ちょっと、顔を赤らめて言いました。
「なんなんですか、このお餅は!」
 いきなり襲いかかってきた鏡餅を見て、イブ・シンフォニールが叫びました。
「どうだ、活きがいいだろう」
 ちょっと自慢げにマネキ・ングが言います。
「おかしいでしょうが!」
 マネキ・ングに言い返しながら、イブ・シンフォニールが持っていた包丁で、襲いかかってくる鏡餅に次々と止めを刺していきました。息の根を止められた鏡餅が、次々にお雑煮の大鍋の中に落下して煮られていきます。
「ふう、やっと全滅しましたか? でしたら、さっさと運んでください!」
 お雑煮を銘々碗に盛りつけながら、イブ・シンフォニールが言いました。

    ★    ★    ★

「結局、紫月はとんずらしたままか」
 お土産の酒瓶をかかえながら朝霧垂が言いました。
「ええ。見つけたら、締めておきます」
 さらりと、エクス・シュペルティアが言いました。
「チッ、次は逃がさないわよ」
 懲りていない紫月結花です。
「世界征服はだなあ……」
「うう、うるさいですな」
 酔いつぶれたドクター・ハデスを、マスク・ザ・ニンジャがおんぶして運んでいます。マネキ・ングの命令ですので仕方ありません。
「皆さん、気をつけてお帰りくださいね」
 紫月睡蓮が、お客さんたちを送り出します。
「うん、またね。次は、別の不倫写真よろしく」
「ねえねえ、不倫ってなあに?」
 帰りの道々、川村玲亜が川村詩亜に訊ねています。
「ええっと、忍者さんの得意技」
 そう言って、川村詩亜がごまかそうとします。
「不倫か? ごにょごょごにょ」
 そんな川村詩亜を無視するように、何やら川村玲亜に耳打ちする辿楼院刹那でした。
「面白かったね、お仕置き」
 ユーフェミア・クリスタリアたちは、何かを充分堪能したようです。
 そのころ、誰もいなくなった台所で、冷蔵子が何やらガタガタとゆれていました。