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ブラウニー達のサンタクロース業2023

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ブラウニー達のサンタクロース業2023
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リアクション

 夜、ツァンダ。 あおぞら幼稚園。

「ふぇぇぇえん」
「ほら、もう泣かないの」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は床で転び大泣きする泣き虫少年しおを宥めていた。本日は幼稚園の招待で昼から夜までのクリスマス会に参加していた。ちなみに保育士ナコは御手洗いの補助で教室にいない。
 困った美羽はふと窓の外に何気なく目を向け、
「……困ったなぁ……ん? 星? でも、何か見覚えがあるような」
 広がる光景に驚きつつも覚えを感じた。
 園庭に降る雪がカラフルな星に変わり、次々と地面に積もり輝きを放っていたのだ。子供達は次々と園庭の不思議な光景に気付き、釘付けになる。
「きれい」
 大泣きしていたしおも他のお友達と同じように魅入っていた。
 そして、園児達は戻って来たナコに外に出たいと騒ぐが意味不明の現象のため安全を確認してからと対応し、美羽はその安全確認のために外に出た。

 園庭。

 幼稚園に招待を受けた双子が
「おー、上手く行ったぞ」
「まさか、上手く行くなんてな」
 こっそりと何やら作業をしていた。
 その背後から
「何してるの?」
 聞き知った声がし、双子は勢いよく振り向き
「!!」
 声の主を確認して硬直。
「そんなに驚かなくても……それでこれは?」
 美羽は双子の反応に苦笑しながら地面に立つ小さな雪だるまを指さした。
「この雪だるまの頭から噴射している液体で幼稚園に接近する雪を星に変えるんだ」
「驚かせようと思って内緒で設置した」
 双子は丁寧に説明した。ちなみに昼間作製した魔法薬である。
「悪い悪戯じゃないんだ。ヒスミとキスミも、やればできるじゃない!」
 美羽は降る星から双子に目を向け、思いっきり褒めた。
「当然だろ」
「一日で作ったんだぞ」
 褒め言葉を頂いた双子はドヤ顔。完全に調子に乗っている。
「で、まさか、とか言うのはもしかしヒスミが」
 美羽は来た時に耳にした単語を忘れずに問いただした。
「設置の時に余計な事をしたんだ。また失敗すると思ったら上手く行った。これってクリスマスの奇跡とかだよな」
 気分が良いキスミが美羽に出会った際に驚いていた理由を話した。ブラウニーのおかげとも知らずに。
 とにかく安全確認を終えた美羽は教室へ戻った。それにより園児達は貰ったばかりのマフラーを巻いたりと防寒着を着込んで園庭へと飛び出した。

「うわぁ、星だぁ」
「星が積もってるよ!」
「きれーい」
 園児達は楽しそうに走り回ったり星の上に寝転がったり投げ合ったりと楽しんでいた。

 そんな楽しい中、
「あそこの雪だるま、唸ってるよ?」
 園児達と遊んでいた美羽は妙な音を立て星変化が出来ない雪だるまを発見し双子に確認を頼んだ。
「直った?」
 美羽は作業を見守りながら訊ねた。
「どこもおかしな箇所が無い。ヒスミが余計な事をするから」
 キスミが落ち込んだ顔で報告するなりじろりと隣の兄をにらんだ。
「キスミも調子に乗っただろ」
 ヒスミは口を尖らせ、言い返す。
「ほらほら、子供の前で喧嘩しない」
 呆れた美羽の宥めにより双子は大人しくなるが、
「……」
 今度はじっと何事かを考える。
 そして、解決策でも思いついたのかぱっと顔を上げ、
「よく、古いテレビって叩いたら直るって言うよな」
「得意の足技でいいから試してみてくれよ」
 解決策とは思えない策を口走った。
「私?」
 美羽は、まさかのご指名に思わず聞き返してしまう。
「頼む!」
 双子は同時に両手を合わせ必死に頼み込む。
「そこまで言うならやってみるけど。必ず直るとは限らないからね」
 双子が可哀想になり美羽は頼みを引き受ける事にした。
「……(壊さないように威力を抑えつつ鋭い一撃で)」
 美羽はじっと雪だるまをにらみ、集中する。相手は凶悪な敵ではないが園児達の笑顔が懸かっている点では強敵である。集中する美羽の周りにはギャラリーが出来上がっていた。
 集中力を最高まで高め、呼吸を整えた後、
「はぁぁ」
 手加減有りの強烈な蹴りを雪だるまに喰らわせた。
 途端、バフンと音を立てるもすぐに唸り声は消え、正常に動き出した。
「すげぇ」
「直ったぞ」
 機械が直り小躍りする双子。
「……まさか直るなんて」
 この展開に少々驚く美羽。
「お姉ちゃん、すごーい」
「かっこいい」
「キックで直したよ」
 美羽のキックに魅せられた園児達の拍手。

「サンキュー」
「助かったぜ」
 双子は改めて助けてくれた美羽に礼を言った。
「直って良かったけど、今度はクリスマスの奇跡に頼らなくても発明を成功させるように頑張ってね。ただし、今日みたいにみんなを笑顔に出来るようにだよ」
 美羽は注意と応援を双子に贈った。
「それは言われなくてもだぜ」
「そうそう。楽しいのが一番」
 双子はケラケラと笑いながら言った。当然悪戯込みの楽しいである。
 そこへ
「お姉ちゃんってすごいね!」
 しおがやって来て美羽を輝く尊敬の眼差しで見上げた。
「ありがとう、しお君」
 美羽は笑顔で返した。
 そして、美羽は園庭にて双子と一緒に子供達と存分に遊んだ。双子が発明した機械はクリスマスを終えると同時に力尽きた様に壊れてしまったという。というか、ブラウニーの奇跡を含まない本来の末路を迎えた。