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学生たちの休日15+……ウソです14+です。

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学生たちの休日15+……ウソです14+です。
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リアクション

    ★    ★    ★

「待たせたな。もう大丈夫だ」
 ティー・ティーからの連絡を受けて駆けつけた源鉄心が、マルコキアスIIでイレイザー・スポーンに相対した。
「にしても、ちょっとやりにくいな」
 半裸のイレイザー・スポーンを見て、源鉄心がつぶやいた。
「そんなの関係ありませんわ。あれを馬鹿うさぎだと思えば、なんの遠慮もなく必殺技を叩き込めますわ」
 ドきっぱりと、イコナ・ユア・クックブックが源鉄心に言った。
「そう言われると、ティー・ティーに似てもいるような……」
 なんだ勝手にイレイザー・スポーンがティー・ティーに見えてきて、源鉄心はますますやりにくくなった。
 リーフェルハルニッシュの大剣を手に持ったイレイザー・スポーンの攻撃を、ブレードビットで牽制しつつ、ダブルビームサーベルで斬りつけようとするが、無意識下での躊躇が敏感にBMI2.0に反映されてしまい、攻撃をあてることができない。
「こうなったら、投げを試してみるか」
 肉弾戦なら避けられることもないだろうと、源鉄心がイコンでイレイザー・スポーンにつかみかかっていった。
 むにゅ。
 イレイザー・スポーンのむきだしになっている肌の部分が、マルコキアスIIの装甲に押しあてられた。その感触が、BMI2.0を伝わって、ダイレクトに源鉄心の脳髄を直撃する。
「はうあっ」
 生々しい感触に、源鉄心の動きが瞬間止まった。
 次の瞬間、マルコキアスIIが、逆にイレイザー・スポーンに投げられた。
 転倒したマルコキアスIIにむかって、イレイザー・スポーンが大剣を振り上げる。
 まさに、その剣がマルコキアスIIに振り下ろされようとしたとき、突然イレイザー・スポーンの足許で目映い閃光が走った。
「じゅわっ!!」
 閃光の中から、みるみるうちに巨大化する小鳥遊美羽が現れた。その手には、巨大化カプセルが握られており、それで間一髪、イレイザー・スポーンの剣を弾き飛ばしたのだった。
「もう許さないんだから」
 巨大化した小鳥遊美羽が、ブライドオブブレイドを抜き放った。その姿は、巨大化したイレイザー・スポーンよりも頭一つ大きい。
「ううん……」
「気がついた? もう、これで決まっちゃうよ」
 意識を取り戻したコハク・ソーロッドに、遠野歌菜が言った。
「えっ、ああ、美羽!! スカート、スカート!! ミニスカート!! ぷはあっ!!」
 状況をなんとなく把握したコハク・ソーロッドが、ミニスカート姿の巨大小鳥遊美羽を下から見あげて、また鼻血を噴いてぶっ倒れた。
「えっ、ちょっと、みんななんで上を見あげているのよ!?」
 今さらながらに自分のスカート丈に気づいて、小鳥遊美羽があわててミニスカートの後ろを手で隠した。だが、もう手遅れである。
「こ、これは!? シャッターちゃーんす!」
 すかさず、アキラ・セイルーンが、カメラのシャッターを切る。
「何をしてるネ!」
 有無をも言わさずに、アリス・ドロワーズが渾身の力でアキラ・セイルーンのどたまを蹴飛ばした。
「うげ……ああ、カメラが……」
 その衝撃で、思わずアキラ・セイルーンがカメラを落としてしまう。
「ピヨ?」
 目の前に落ちてきたカメラを、ジャイアント・ビヨが餌かと思ってぱくっと呑み込んだ。
「うあああああ……」
 アキラ・セイルーンがガックリと肩を落とすころ、小鳥遊美羽はピンチを迎えていた。体勢を崩したために、イレイザー・スポーンに押し倒されて、今にも斬りかかられようとしていたのである。
「しまった……」
 だが、そのとき、天空の一点がキラリと光ったかと思うと、巨大な人の姿が舞い降りてきた。そのままイレイザー・スポーンにキックをみまい、勢い余って大地を削りながら飛んでいった。
 もうもうたる土煙が消えると、大地にウィスタリアが突き刺さっていた。
 どうやら、鷽の影響で鋭敏になったアルマ・ライラックの身体能力にウィスタリアが反応して、人間さながらにイレイザー・スポーンにキックを放ったらしい。中にいた者たちが衝撃でどんな目に遭ったかは、あまり考えたくはない。まあ、契約者であれば、死ぬことはないだろうが。
 さすがに、全長300メートルの巨艦がぶつかったのでは、イレイザー・スポーンもひとたまりもない。鷽を取り込むことによって得た人型を維持することもできずに、巨大な饅頭のような肉塊に変化して動かなくなっていた。
「これで終わりよ!」
 立ちあがった小鳥遊美羽が、ミニスカートも気にせずにプライドオブブレイドでファイナルレジェンドを放った。巨大な光条兵器の光に呑み込まれて、イレイザー・スポーンが完全に消滅する。直後に、時間切れとなった小鳥遊美羽が、シュルシュルと元の大きさに戻っていった。

    ★    ★    ★

「銀砂は? イレイザースポーンの残骸はないのか!?」
 イレイザー・スポーンの最期を見届けた大神御嶽が、敵の残骸を求めて走ってきた。あれだけ巨大化したところを見ると、以前イルミンスールに現れた鷽本体の大きさに匹敵する。おそらくは、この鷽の巣にあった銀砂を全て取り込んでしまったのではないだろうか。
「跡形もなしか」
 イレイザー・スポーンがいた場所を調べて、大神御嶽が溜め息をついた。小鳥遊美羽は、手加減など考えなかったらしい。だが、これでは、ケンちゃんを復活させるためのアイテムもなくなってしまったことになる。
「鷽さん、全部死んじゃったの……?」
 ノーン・クリスタリアが、凄く淋しそうに言った。
「まだ大丈夫です。鷽はいなくなったとしても、銀砂なら、ここに確保しました」
 まだ貧血でふらふらしながら、コハク・ソーロッドが手に持った袋を差し出した。
「私たちも、ちゃんと集めておいたわよ」
 遠野歌菜と月崎羽純も、戦闘になる前に集めることのできた銀砂を持ってきた。
 それら以外の銀砂は、イレイザー・スポーンや鷽と共に消滅してしまったらしい。
「足りますか?」
 ちょっと心配そうに大神御嶽が散楽の翁に訊ねた。
「これだけあれば大丈夫だろう。ケンちゃんの身体を再構成した上で、仲間の三人の子たちとアラザルクの強化定着も可能だ」
 散楽の翁の言葉に、その場にいた全員がほっと胸をなで下ろした。
「ただし、まだこれはグランツ教の放ったプログラムに汚染されているから、実際にはそれを除去してからと言うことになる。
それが終わるまで、メイちゃんたちとアラザルクは、私と一緒に来てもらおう」
 散楽の翁の言葉に、大神御嶽とアルディミアク・ミトゥナが、つきそいとして同行することを申し出た。
「なあに、時間はほとんどかからないから、葦原島を往復する程度ですむだろう」