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リアクション
★ ★ ★
『さあ、レースも第二ターンです』
「準備よし、発射するよ」
シャレード・ムーンの放送を聞いて、フレロビ・マイトナーとニルス・マイトナーが、フリングホルニから無数の新旧ジェイダス人形を発射しました。今回のレースでは、人形たちも一緒にコースを回るようです。はっきり言って、邪魔以外の何物でもありません。
『現在のトップは遠野歌菜選手&月崎羽純選手、ぶっちぎりです。これは凄い。かなり遅れてそれを追う第2グループは接戦となっています。すばらしい加速で2位に上がったのはクリスティー・モーガン選手。続く3位は小鳥遊美羽選手。順調に順位を上げてきています』
「コハクったら、追い抜いちゃったわよ、頑張ってー」
健脚を見せつけて、小鳥遊美羽が自転車を加速していきました。
『4位はエリシア・ボック選手。加速フィールドで加速した』
「加速ですねえ〜」
加速器付近で待機していたタイモ・クレイオが、装置を稼働させました。展開された加速リングが発光し、ちょうどそこにさしかかったエリシア・ボックを瞬間的に加速して前へ押し出します。
「ラッキーですわ!」
『エリシア・ボック選手に取り残された5位も激戦です。コハク・ソーロッド選手、イコナ・ユア・クックブック選手&ミラボー選手、スープ・ストーン選手&ナウディ選手がならんでいます。イコナ・ユア・クックブック選手、早くも息切れか?』
「スープに追いつかれましたわ。屈辱ですわ!」
「すーすー」
イコナ・ユア・クックブックが悔しがりましたが、スープ・ストーンは半分寝ているので気にもしていません。
「もう、美羽ったら、立ち漕ぎなんかしたら、危ないのに……」
前方を走る小鳥遊美羽の翻るスカートをチラチラと気にしながら、コハク・ソーロッドがつぶやきました。
『8位には、一気に速度を上げたノーン・クリスタリア選手と、それをさらに上回る最高スピードで一気に最下位からのし上がってきたティー・ティー選手&リラード選手が上がってきました』
「ふふふ、これぞ本気リラ」
「これが、私たちの本気うさ!」
一気に成り上がったリラードとティー・ティーが叫びます。
『10位には、風森巽選手&ココ・カンパーニュ選手が順位を落としています』
「何やってるんだよ、もっとスピード出してよ!」
「わ、わっかりましたあ!!」
ココ・カンパーニュに胸を押しつけられた風森巽がスピードを上げました。でへへと緩んだ顔が仮面で隠れているのはありがたいです。
『11位には、ルカルカ・ルー選手、源鉄心選手&トレリン選手が上がってきました』
「ティー・ティーに抜かれた? マジで!?」
「マジだリン」
唖然とする源鉄心に、トレリンがさらっと言いました。
『おおっと、最下位だった御神楽舞花選手、加速ゾーンに滑り込んだあ!』
「またあ♪ 加速ですねえ♪」
リクゴウ・カリオペが再び楽しそうに装置を稼働させました。
『御神楽舞花選手、一気に13位に浮上しました。ダリル・ガイザック選手とならびます。各選手、やっとエンジンがかかってきたのか?』
「よし、今のところは、このまま速度を合わせて、チャンスをうかがうぞ」
「うん、分かったわ」
作戦通り歩調を合わせて、ダリル・ガイザックとルカルカ・ルーが互いを確認し合いました。
『他の選手の好調のあおりをくらって、綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手は15位に順位を落としています。さらに、ミルディア・ディスティン選手が16位へと後退しています』
「りゅーちゃん、どうしたのー、頑張ってー」
なんだか機嫌を損ねたらしいレッサーワイバーンをミルディア・ディスティンが励ましました。生き物に乗っている選手は、結構大変です。
『さあ、最下位はクリスティー・モーガン選手です。ジェイダス人形に追いつかれて、周りを囲まれています。はたして、今回も完走できるのでしょうか』
「う、うっ……。ジェイダス様の人形じゃ無下にはできない。積み込むしかないのか……」
さすがに排除するわけにもいかず、クリスティー・モーガンがジェイダス人形を後部座席に据えました。重たくなったのか、スピードが鈍ります。
『それでは、現在の順位です』
1.37 遠野歌菜&月崎羽純
2.27 クリスティー・モーガン
3.26 小鳥遊美羽
4.23 エリシア・ボック
5.22 コハク・ソーロッド
イコナ・ユア・クックブック&ミラボー
スープ・ストーン&ナウディ
8.21 ノーン・クリスタリア
ティー・ティー&リラード
10.18 風森巽&ココ・カンパーニュ
11.17 ルカルカ・ルー
源鉄心&トレリン
13.16 ダリル・ガイザック
御神楽舞花
15.14 綾原さゆみ&アデリーヌ・シャントルイユ
16.11 ミルディア・ディスティン
ジェイダス人形群
17. 4 クリストファー・モーガン
「あれ、あれれれ……?」
「はははは、まだまだ分からない……かもしれない」
一気に順位を落としたイコナ・ユア・クックブックに困惑するフィリシア・バウアーに、ジェイコブ・バウアーが言いました。でも、ジェイコブ・バウアーの買ったクリスティー・モーガンは未だ最下位です。