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リアクション
★ ★ ★
「これは、なんだ?」
伊勢の攻撃をいったん回避した紫月唯斗でしたが、周囲を飛び回っているもふもふした物に気づいて足を止めました。
やっぱりなんだかもふもふしています。
「ていっ!」
とりあえず邪魔なので、数機手刀で叩き落としてみました。
「こ、こば〜!!」
小ババ様が悲鳴をあげます。同時に、解説席近くで酒を飲んでいた朝霧垂も悲鳴をあげました。
「あ、あいつ、もふもふを叩き落としやがった。なんという、まさに外道!」
もう、完全に決めつけます。でも、もふもふをいじめたのですから、しかたありません。
「大きいから外さないよ!」
カイザー・ガン・ブツに狙いを定めた鳴神裁は、撃針でアウトレンジから攻撃を加えていました。
「ふふふふふ、調子にのりおって……。準備はいいか?」
「えー、ホントにやるの、あれ高いんだよー」
キレかかっているマネキ・ングの言葉に、メビウス・クグサクスクルスが渋い声をあげました。
「やるの! 請求書は経費扱いでオリュンポスに回しておけ!」
「じゃあ、まあ、ポチッとな」
そういうことならと、セリス・ファーランドが気兼ねなく堕天の発射ボタンを押しました。
カイザー・ガン・ブツの背光のリングから無数のミサイル発射口が口を開けました。そこから一斉にミサイルが発射され、さらにそれが空中で分裂して鳴神裁の頭上から降り注ぎます。
「ご、ごにゃ〜ぽ!?」
全速力で退避しようとする鳴神裁でしたが、あまりに敵の攻撃範囲が広すぎます。さらに、近接信管でも仕込んであったのか、鳴神裁がいる高度で一斉にミサイルが爆発して連鎖誘爆していきました。これは、避けようがありません。
「き、きゅう〜」
爆発が消えると、地上には鮑三娘の下敷きになった鳴神裁の姿がありました。なんとか直前で、呼び寄せた支援機の下に逃げ込んだようです。とは言っても、かろうじてそれぞれが鮑の殻とプロフィラクセスと超人的肉体とリジェネーションで助かったという状態でした。
「ふっ、鮑に命を救われたな」
なぜか、満足そうにマネキ・ングがつぶやきました。
「今がチャンスかもしれません」
左舷から煙をあげる伊勢にむかってペルセポネ・エレウシスが攻撃を加えました。
「ああ、また狙いが定まらないでありますー」
ペルセポネ・エレウシスからの攻撃をいいことに、葛城吹雪がまた棒読みセリフで言いました。艦首荷電粒子砲をまたジェットコースターの方へとむけます。
「荷電粒子砲、発射であり……」
「させぬ!」
まさに発射しようとしたそのときでした。地表の石や土を削るようにして突き進んできたグレート・ドラゴハーティオンが、グレート勇心剣で伊勢の艦首を切り裂きました。さすがに、艦首荷電粒子砲が使えなくなります。
「なんと、また乱入だよ。いいのかい?」
「何でもありだ」
お菊さんに聞かれて、ドクター・ハデスがしれっと答えました。
しかし、乱入してきて伊勢の攻撃を防いだまではいいのですが、その後グレート・ドラゴハーティオンがぴくりとも動きません。
「どうしたのかしら?」
不思議に思ったペルセポネ・エレウシスがツンツンとつつきました。とたんに、どんがらぐわしゃんとグレート・ドラゴハーティオンが横倒しになります。どうやら、エネルギー切れのようです。
「まったく、いきなり飛び出していったりするから……。チェック中だったから、エネルギーをフル充填してあるわけないじゃないのに。まったく、回収しに行くこちらの身にもなってほしいものだわ……」
いきなり飛び出していったグレート・ドラゴハーティオンの後を追って、小型飛行艇でシャンバラ大荒野を走る高天原鈿女でした。