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リアクション
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『さあ、レースも中盤、第5ターンに入りました。トップは、相変わらず遠野歌菜選手&月崎羽純選手です。2位の小鳥遊美羽選手が、それを追いますが、その差は大きい。はたして、追いつけるのでしょうか』
「もうちょっと頑張れ。優勝したら、キスの一つでもしてやるから」
「ほ、本当ですか、ココさん!!」
ココ・カンパーニュの言葉に、風森巽がシルバージョンの全力を叩き出しました。
『おおっと、ここで風森巽選手&ココ・カンパーニュ選手が、破竹の勢いで追い上げてきた。一気に3位に浮上します。それを追うのは、覚醒したクリストファー・モーガン選手。引き離されずに、風森巽選手にぴったりとついていきます。綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手とならんだ。2位争いは、熾烈になってきました』
「ガンガン行くわよ、優勝よ!」
「ちょっと、さゆみ、落ち着いて、いろいろとめくれてる、めくれてる!」
ガンガン行こうぜ状態続行中の綾原さゆみにむかって、アデリーヌ・シャントルイユが叫びました。バイク型の小型飛空艇に前傾姿勢でお尻を上に突きあげて走っているわけですが、急加速によってもろに風が身体に当たってきます。もともとそんなレース用の小型飛空艇ではありませんから、大した風防などついていません。さらに、レーシングスーツではなく、ただの撮影用の水着ですから、風の抵抗を受けてとんでもないことになっています。
「ううっ……」
なんとか自分の身体を使って中継のカメラのアングルから綾原さゆみを守りつつ、気苦労の絶えないアデリーヌ・シャントルイユでした。
『おおっと、ここでルカルカ・ルー選手、加速器に飛び込んだ』
「加速ですね。御武運を」
タンサ・メルポメネが、ルカルカ・ルーを加速しました。けれども、それほどの加速が得られません。
『加速によって、ルカルカ・ルー選手、御神楽舞花選手に追いつき、同率6位に順位を上げました。クリスティー・モーガン選手、8位でエリシア・ボック選手とともに中央グループを維持しています。少し遅れてそれを追うのは10位のイコナ・ユア・クックブック選手だ。さらに、11位は源鉄心選手&トレリン選手、12位はティー・ティー選手&リラード選手と、パートナー同時の戦いが繰り広げられています。その間に、ミルディア・ディスティン選手は、さらに順位を落として13位となりました。たくさんのジェイダス人形に追いつかれてとても迷惑そうです。避けないで、ちゃんと拾ってあげてください。14位はノーン・クリスタリア選手、最下位は、ダリル・ガイザック選手となっています。やはり、ジェイダス人形が障害となっているのでしょうか。はたまた、乗せてしまった人形が重いのでしょうか。はたして、彼らの巻き返しはあるのか。それでは現在の順位です』
1.76 遠野歌菜&月崎羽純
2.65 小鳥遊美羽
3.63 風森巽&ココ・カンパーニュ
4.62 クリストファー・モーガン
綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手
6.53 ルカルカ・ルー
御神楽舞花
8.52 クリスティー・モーガン
エリシア・ボック
10.47 イコナ・ユア・クックブック
11.42 源鉄心&トレリン
12.41 ティー・ティー&リラード
ジェイダス人形群
13.33 ミルディア・ディスティン
14.31 ノーン・クリスタリア
スープ・ストーン&ナウディ
16.25 ダリル・ガイザック
★ ★ ★
「ちょっと待て、俺は何ももふもふをいじめたわけじゃ……」
なんだか理不尽な非難を受けて、紫月唯斗が解説のドクターハデスたちに抗議しようと近づいていきました。
「迂闊者め。やれ、ペルセポネ」
「はい、ハデス先生。えいっ!」
ドクター・ハデスに命じられて、ペルセポネ・エレウシスがパンツァーファウストを発射しました。
「しまった……」
戦闘の最中であることを一時忘れてしまった紫月唯斗がちゅどーんと吹き飛ばされていきます。
「オリュンポスに迂闊な者はいらん」
冷たくドクター・ハデスが言い放ちました。
「ええっと、聞かなかったことにしてあげるよ」
思わず鏡を探しながら、お菊さんが言いました。
「ふっ、まだまだあであります。考えてもみるであります、自分たちがため込んだ煩悩の数を。まだまだ、伊勢はあと10分は戦えるであります」
「立った10分なの!?」
ほとんど半壊しながらも、まだまだやる気満々で言う葛城吹雪に、コルセア・レキシントンが頭をかかえました。
とりあえず、生き残っている伊勢のレーザーマシンガンで、葛城吹雪がちっちゃな小ババ様を攻撃します。
この間、カイザー・ガン・ブツは堕天のクールタイムでした。