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【祓魔師】アナザーワールド 1

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【祓魔師】アナザーワールド 1

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第11章 糸の先にいる者 Story7

「報告にあった“鍵”というものは、触れたら分かるみたいだな」
 グラキエスは民家の中で大時計や窓などに触れて鍵を探す。
「ん、誰かくる…」
 調査の手を止め玄関のほうへ目をやった。
「どうなさいました?」
「こっちにいくつか気配が近づいているようだ」
 ペンダントの中のアークソウルを見ると、それほど強い気配ではなさそうだった。
 やってきた気配の元はドアを前でうろつきだした。
「水魔だとかじゃなさそうだぞ」
 そう判断したベルクがドアを開けてやった。
「皆さん、こんばんは!」
「その服…イルミンスールのやつか?」
 なぜこんな危険地帯にやってきたのかと目を丸くする。
「はいっ、夕食を届けにきました」
「危なくねーのかよ」
「いやぁ届けて戻るのがやっとでしょうね。ここの魔性と戦う力もないですから」
 夕方なら落ち着いてくるだろうと思ったのか、タイミングを見計らって入ってきたのだ。
「セシリアさんのお手製ですよ」
「ほー、気が利くじゃねぇか。そいや連絡ないけど、向こうはなんか情報掴んだのか?」
「いえ、言伝は預かってませんので…。そういえば、何か魔法学校の中で聞き回ってましたね」
「収穫はなしということか」
「かもしれませんね?では、ボクたちはこれで失礼します!」
 学生はぺこりと頭を下げて去っていった。
「まふたぁ、美味しいでふ(訳:マスター、美味しいです)」
「もう食ってるのかよ。おーい、終夏。治療終わったか?メシだってよ」
「うん、今行くよ」
 住人の解毒治療を行っていた終夏はベルクに呼ばれ、スーを抱えてリビングへ行く。
「ごはんって、持ってきたの?」
「いや、さっき魔法学校のやつが届けにきたんだ。セシリアからだってよ」
 フレンディスに全部食われる前に、とっておいた彼女の分を渡してやる。
「美味しそうだね!スーちゃんも一緒に食べよう。鮭、梅、焼きタラコ…どれがいい?」
「たらこー!」
「はむ…。美味しいね、スーちゃん」
「おいしいー!!」
 スーは喜びながら終夏の腕の中で足をぱたぱたさせる。
「あー、お茶がもうねーや」
「私が持ってきたのは救助用だから使えないし…」
「おりりんのどかわいたのー?のんでー!」
 手の平に花の形をしたポットを出し、葉のコップに注いで終夏にあげる。
「ありがとうね、スーちゃん。ん…凄く美味しい!皆もどうぞ」
「お、どうも。うまいけどちょっと甘いな」
「ベルク…アウレウスからだ」
 召喚した者の好みに合わせて作るのだろうから、ベルクはビターな味がいいだろうと思い、グラキエスはウィオラにお茶を淹れてもらうようアウレウスに頼んだようだ。
「さすが分かってるじゃないか。おっ、いける…渋さが丁度いいな」
「うん…美味しい」
 スーが淹れたお茶は甘くてグラキエス好みだが、ビターなほうも美味しいと満足そうに微笑んだ。
「グラキエス様、お菓子もどうぞ」
 出発前に容易してきたのかエルデネストはクッキーを差し出した。
「―…はむ。いっぱい食べたい気がするな」
 エルデネストが作ってくれるお菓子はどれも美味しいが、久々に食べられたことに満面な笑みを浮かべた。
「ふふ、お褒めいただき感謝します」
 “給仕の座は渡しませんよ?”とアウレウスのほうへちらりと目をやった。
 彼のほうも負けまいとウィオラと一緒になって張り合うような顔をした。
「休憩はこれくらいにして仕事に戻ろう」
「はい、グラキエス様」
 暗闇の中、手探りで調査を再開した。
「砂漠で米粒探している気分だわ」
 グラルダも床や棚の裏などを探してみる。
「砂の中の一粒よりマシかと思います」
「まったく、一般人の家の中にどうやって設置したやら」
「物理的な作用ではないのでしょう。建造物など作れば、魔法学校に知られますから」
「長年見つからない理由がそれってわけか」
 事件の片付いた領域にいるとは気づかず立ち寄らない可能性も高い。
 ―…が、未来の涼介はそれに目星をつけて的を絞り、ここへ辿りついたのだろう。
「後は…、棚の奥はまだ見てないわね」
 見落とさないように隅々まで調べようと本を床におろす。
「俺も手伝うか」
 グラキエスも本をどけて鍵がないか棚に触れて探す。
「姿が映るもの、時間にかかわるもの、知識にかかわるもの。これらは境界線して繋がりやすいはずだから、きっちり調べなさい」
「ここ……手に感触がないな」
 グラルダの袖を引っ張り、そこを指差した。
「ん……確かにね。ここで間違いないと思うわ」
「どうやって使うんだろうか」
 見つけたはいいが、いざ開錠する時にどうしたらいいものやらと悩む。
「何故か知らないけど、校長が来ているようだから指示を待つことね」
「そいや、タイミングを見計らってやんなきゃいけないんだったな」
「そうね、ベルク。先走れば相手に気づかれる。そうなってしまえばフリダシよ」
「一度で成功しなきゃいけないってことだね」
 傍で聞いていたコレットもなるほどと頷いた。
「発見したことだし、俺たちは合図待ちだな」
 ベルクは鍵を発見したと和輝にメールを送り、合図を待つことにした。



「鍵かー…。なかなか見つからないね」
 探し方は分かってもこの広い町で、いったい民家は何軒あるやらと気が遠くなりそうなほどだ。
 和輝は狭間になりそうな媒体を触れ、手の感触から非物質的な存在感がないか調べる。
「いくつかもう見つかっているんですよね、北都」
「うん。グラキエスさんたちも一箇所発見したみたい」
「だとしたら俺らは入り口のほう探さないか?」
「でも的を絞れてないからどうすれば…」
 小さな町でもないし水魔との戦いを避けることよりも、自分たちの体力が限界にくるのではと不安になる。
「あぁ、ここにいましたか!」
「えっと君は…イルミンスールの人?何でここにいるの」
「セシリアさんたちに皆さんへ夕食を届けるように言われたんです。といっても、魔性たちがだいぶ大人しくなってきてからですけどね…」
「ありがとう。でも、いろんなもの触ったから手が…」
「先輩、お手拭をどうぞ!」
 祓魔師を目指す若い女のほうが、石鹸の香りがする紙の手拭を北都たちに渡す。
「ありがとう。じゃあ、いただきます。…はむっ」
 キレイに手を拭いた北都は鮭おにぎりを口にした。
「それにしても皆さんお若く見えますね?というより…なんだか若返ったような…」
「んー、それは…」
 話せば長過ぎるし理解はしてくれるだろうが、過去のことをあれこれ聞かれて答えている時間もない。
 上手くごまかせないだろうかと考えてると…。
「へぇそんなにかっこよく見えるのか?それはだな、祓魔術を長く学んできたから若く見えるんだ」
 ソーマが嘘八百を並べて説明してしまった。
「すごいですね!ボクらも極めれば皆さんのようになれますかね」
「あぁ、頑張れっ」
「はい!では、他の人にも配らないといけないので失礼します」
「ばいばい…」
 北都は手をひらひらさせ見送った。
「ねぇ、ソーマ?」
 いくら離れてもらうためとはいえ、信じさせてしまったことにムッとして睨む。
「しょーがないだろっ!あーでも言わねーと…」
「いいえ、よくないですよ」
「おいおいリオンまで。誰か〜俺の味方はいねぇのかよ、はぁ…。―…ん?」
 気落ちしてしまいうっかり手から滑り落とし、バラバラになったメモ用紙に目を落とす。
「これって繋げると…へぇ。なるほどな」
「囲っているように見えるわね?」
 美羽も見下ろし指でなぞるように鍵のポイントを繋いでみる。
「あぁ、さすがに無秩序ってわけじゃないみたいだな」
「この中心を探しましょう」
 民家から出た美羽たちは鍵の中心ポイントへ向った。
「さすがに水魔との戦いはもうないか」
「だいぶ大人しくなったみたいね」
「もう日が沈んでしまいますわ」
 ミリィは不気味な夕焼け色の空を見上げると…。
 どこかで時計の音が鳴り響いた。
 ゴーン、ゴォオオンッ。
 カチカチカチ、…カチ。
「この音…まさかサリエル!?」
「また何か時を操作するつもりか」
 涼介は不安がる娘の手を握って辺りを警戒する。
「木が…枯れていく」
 北都は町中の木々が枯れていく様を目にし、いったい何が起こっているのか理解できなかった。
 まるで悪い夢でも見ているのかのように、元気に空を飛んでいた鳥さえもボトリと地面に落ちてしまう。
「まずいよ、早く入り口を探さないと!」
「けど北都、中心部にも民家は複数ありますよ。鍵を見つけた皆さんはポイントから動くわけにはいきませんし…」
「うーん…」
 腕組をしながら悩んでいると…。
『こちら和輝。定期連絡の時間だ。報告を頼む』
 和輝からテレパシーが送られてきた。
「あ、和輝さん。使い魔を呼べる人を呼んでもらえる?」
『呪い対策か?』
「ううん。入り口の手がかりを見つけたんだ。どうしてもすぐ見つけたいんだ、お願い。場所はメールで送るよ」
『了解』
「えっと…今送ったよ」
『5分後、書店路地にて到着予定。以上』
 そう告げると和輝はテレパシーをきりエリシアとコンタクトをとった。
 北都たちも急ぎ中心ポイントへ向う。
 彼らが到着するのとほぼ同時にエリシアたちの姿があった。
「その様子からすると、テスカトリポカの力が必要なんですわね。いきますわよ、ノーン」
「はい、おねーちゃん。…お願い来て!!」
 エリシアとノーンは木の聖杯を掲げ、幻魔の魔性トラトラウキ・テスカトリポカを召喚する。
「あたしを呼んだのはあんたたちかい?」
「うん。北都さんが何かお願いしたいことがあるんだって」
「ふむ?」
「えっと、ここに僕らでは見えないものがあるんだ。一緒に探してもらえるかな」
 鍵のポイントを繋げたメモをテスカトリポカに見せる。
「分かった。こっち」
 それをじっと見ること数秒、眼星をつけたのか先に歩いていく。
 幻魔の後を追い、一件の民家に入ると…。
 何やら古い大時計を見上げていた。
「ここだわさ」
 テスカトリポカは抱えている鏡を時計へ向けた。
 鏡の目玉が大きく見開き大きく空間が歪んだかと思うと…。
 だんだんと歪みが戻り、時計だったものはステンドグラスへと変わった。
「これがあんたたちが探してた“入り口”。結界を解除すれば通れるんださわ」
「ありがとうね。あ、消えちゃった」
「頼みごとが終わったらではないでしょうか?」
「―…ん、和輝さん。入り口見つけたよ」
『了解。直ちに向う』
「うん、待ってるね。ふぅ、和輝さんがきたら合図待ちだね」
 “ここで決着をつけなければ、世界の全てが堕ちてしまう…。
 今、僕らがしなければならいのは、サリエルを止めること。
 そして…彼を操るシスターも……”
 皆、無事に元の世界へ戻れるように祈りを込めて、北都はハイリヒ・バイベルを開いた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、大変お待たせしました。
公開される時はガイドが先かもしれません。

▼能力の上昇(敬称略)

■佐々木 弥十郎
・アークソウルI
探知能力:不可視の者の属性が分かる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲1kmに拡大。

■ミリィ・フォレスト
・アークソウルI
探知能力:不可視の者の属性が分かる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲900mに拡大。

■ソーマ・アルジェント
・アークソウルI
探知能力:不可視の者の属性が分かる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲800mに拡大。

■リーズ・ディライド
・アークソウルI
探知能力:不可視の者の属性が分かる。


■七枷 陣
・エターナルソウルI
▼瞬間的に上昇
最高時速(効果対象1人の場合):400kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:20秒。(瞬間的効果/10kmプラス20km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。
▼長く持続させる場合
時速(効果対象1人の場合):300km、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
速度上昇、対象の人数によって、疲労感・精神力の負担が増減する。
発動限度(効果対象1人の場合):20分間。(速度上昇/20分÷2km)


■日堂 真宵
・エターナルソウルI
▼瞬間的に上昇
最高時速(効果対象1人の場合):400kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:20秒。(瞬間的効果/10kmプラス20km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。
▼長く持続させる場合
時速(効果対象1人の場合):300km、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
速度上昇、対象の人数によって、疲労感・精神力の負担が増減する。
発動限度(効果対象1人の場合):20分間。(速度上昇/20分÷2km)




■ダリル・ガイザックラ
・裁きの章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。


■結和・ラックスタイン
・哀切の章II
効力上昇:詠唱後、形状変化による術を2分間留めることができる。


■ベリート・エロヒム・ザ・テスタメント
・哀切の章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。


■フレンディス・ティラ
・哀切の章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。


■小鳥遊 美羽
・哀切の章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。


■ベアトリーチェ・アイブリンガー
・哀切の章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。


■グラルダ・アマティー
・裁きの章II
効力上昇:効力を落とさず略式詠唱で唱えることができる。




次回、シナリオで会える日を楽しみにお待ちしております。