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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(後編)

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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(後編)

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【6】有終完美……1


「師・王龍。黒龍、飛龍、大龍、石龍、清龍、砕龍……。みなの無念、この白龍と」
「小龍が果たしましてございます」
 白龍と九龍は霊廟の一画に師と仲間の遺骸を埋葬した。無論、その中には白龍自身の骸も含まれている。
「……そろそろおまえともお別れのようだ」
「師兄……」
「あの夜、オレが死に物狂いで使った不死の秘術は、自身ではなく仲間に使ったものだったと言うのに、何の因果かオレだけ蘇ってしまった。しかしそれももう終わりだ。目的を果たした今、白龍をこの世に繋ぎ止める理由は消えた」
 不死の術を支えていたのは彼の執念だ。もはや生死の理を侵してまで現世にしがみつく必要もない。
「小龍、最期におまえに会えて良かった」
「師兄、わたしは……」
「何も言うな。おまえの姿を見れば、この20年に何があったのかは察しはつく」
「…………」
「今更、死者が言葉を遺そうとは思わん。おまえはおまえの信じる道を歩め」
 九龍は何も答えず、ただ静かに俯いた。


「そして、異国の友人よ。おまえたちにも世話になったな」
「ううん、お疲れ様。きっともうみんな許してくれてると思うよ」
 桐生円は微笑んだ。
「許しを乞う気はないさ。オレの過ちは許されることじゃない。恨まれても仕方のないことだ」
「でも、君のお師匠や仲間はそんなことをする人じゃないんじゃない?」
「……そうだな」
 その傍らで、樹月刀真はすこし羨ましく思っていた。
 復讐に全てを賭ける。それだけ失ったものが大きかったんだろう。
 そして、それを果たせたことを羨ましく思う……。果たせなかった俺は……。
 右腕と背中に痛みを感じる……しかし、支えてくれる相棒を思い出し、刀真は頭を振った。
「しかと見届けたよ。おまえの生きざまって奴を……」
 日比谷皐月は白龍と固く握手をかわす。
「皐月と言ったな。おまえには一番世話になったようだ。死して尚、新たな友に巡り会えたことを嬉しく思う」
「な、なんだよ、照れるだろ。オレ、こういうのダメなんだよ。やめろよ……」
 皐月はずずーっと鼻水をすすった。
「白龍……」
おまえの行く道に龍の加護を……。いずれまたナラカで会おう」
 握る手から感触が消える。
 白龍の身体は砂のように崩れ、風に乗ってコンロンの闇に消えた。あとにはなにも残らず。


 九龍はまだ俯いたまま、じっと立ち尽くしていた。
 その背中を見つめるのは、彼の護送を担当するクローラ・テレスコピウム
 すこし離れた場所で、九龍の気がすむのを待つ。
 風にそよぐ真紅の外套、九匹の龍が揺れる。




 

担当マスターより

▼担当マスター

梅村象山

▼マスターコメント

マスターの梅村象山です。
本シナリオに参加して下さった皆さま、ありがとうございます。


今回、戦闘は前回で解明された弱点等を元に判定しました。
キョンシーは光輝属性と炎熱属性、不浄妃は光輝属性が弱点となっています。
九龍とキョンシー戦の難易度は前回である程度、戦闘を経験している(慣れた)ので下がっています。
不浄妃は前回ほとんど接触がなかったので戦闘難易度は高いままです。
頑強な肉体と再生能力、それから黒い霧をどうにか出来るかがポイントになったと思います。
夜明けがタイムリミットでしたが、不浄妃討伐には多数のPCが参戦していたので、
若干の余裕を残しつつ討伐達成出来たかな、と言うのがマスターとして感じたところです。

探索隊の軋轢の解消法は、事前にあまり想定していませんでした。
こういうアクションが来たら、このぐらい解消されるようにしようとか、考えておくパターンですね。
基本的に皆さんのアクションが理にかなってるかで判定した次第です。
ただひとつだけ、これをしたらむしろマイナスになると言うアクションは頭の中にありました。
それは『指揮権を奪う』と言うものです。
うっすら考えている人はいましたが、積極的に行う人はなかったです。
奪うと言ってもメルヴィアが折れるわけないので、結果指揮系統が無駄に増えるだけになります。
そうなると余計混乱して軋轢が増すだけですので。

それから、前回のマスコメで言っていたシナリオの全貌を一発で明らかにするアクション。
これは何かと言うと、九龍の前で白龍の名を出すと言うアクションでした。
失った仲間のことを引きずっている九龍なので、この名前を出されると素直に話さざるを得なくなるんです。


次回シナリオガイドの公開日はまだ未定ですが、事前にマスターページで告知出来たらいいな、と思ってます。
告知するする詐欺になってきてるので、ハードルを自ら下げました。
と、前回書いたらまったく告知してませんでした;