天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【創世の絆】冒険の依頼あります

リアクション公開中!

【創世の絆】冒険の依頼あります
【創世の絆】冒険の依頼あります 【創世の絆】冒険の依頼あります

リアクション


◆エピローグ◆


 荒野の中に、堂々とそびえたつ大アンテナ塔。
 荒野の色である茶を基調とした、円錐形の形をしている。この形は風を受け流せるよう、ち密な計算を元に決められたものだ。
 塔の中央と、アンテナ部分のすぐ下には柵のついたデッキが設置され、そこから掃除や点検がしやすくなっている。眺めも良いので、一般に開放するのもいいかもしれない。
 下から順に見ていくと、入口の左には満月と餅つきをする兎。右には荒野に咲く鮮やかな花が描かれている。入口の上にはアーチ状にステンドグラスがあり、このデザインはジェイダスが行ったという。
 視線を上にあげていけば、塔が細くなる。そして茨の棘のような突起物が生えている。その棘に支えられるように薔薇のオブジェがいくつか飾られ、攻撃的な見た目の中に優雅さがある。
 さらに上には、鋭い鷹の目が描かれ、瞳の部分は鏡になっており、塔へと近づく外敵を威嚇。それでも近寄ろうとするものに対しては、鏡の部分が左右に開いて中から大砲が現れる。そこから放たれた砲弾が、外敵を追い払う。

 という、なんとも『時代の最先端の最先端の最先端』ぐらいをぶっちぎりで突っ走るアンテナ塔だが、できあがってみると何とも感慨深い。

「みんな。本当にありがとう。まだまだこれからだけど、今日ぐらいは騒いでもいいよね」
 アンテナ塔を背にしたラクシュミ(空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん))が、やや涙ぐんだ声で言うと、誰もが励ますように大きな声を上げた。
「じゃあ、アンテナ塔完成を祝して、カンパーイ!」
 笑顔でコップを天へと突き上げたラクシュミの声に合わせ、「カンパーイ」と皆コップを天へと突き上げた。
 今日はアンテナ塔完成のセレモニー。
 テープカットと挨拶とジュースだけ、というシンプルなものだが、そんなことは関係ないといわんばかりに誰もが笑みを浮かべていた。


* * * * * * * * * *



「ここと学校を足がかりに、パラミタ崩壊回避を探る探索隊の活動は本格化していくのね」
 セレモニーの発起人、ルカルカが呟いた。帽子を深くかぶっていてその顔は見えないが、先ほどのラクシュミと似た響きの声だった。
 そんなルカルカを横目で見たカルキノスは、彼女の肩を軽く叩き
「じゃ、ちと空の見回り行ってくるぜ」
 空へと飛びあがる。そこから、セレモニーを見下ろす。

「おサルさん、変態さんじゃなかったの」
「製作者が変態だったみたいね」
『……? へんたい、って何ですか?』
「そうですねぇ〜」
「悪い人のことですよ」
『……僕、悪いですか?』
 サル型ギフトとそんな会話をしているものがいたり。

「どういうことだ! 我がノートだけが消えている、だと?」
「ん、ノート? ってことは、これお前さんのか?」
「やっぱりお菓子食べてる時が一番幸せね」
 とあるノートが持ち主の手元に戻ったり、お菓子を食べてご満悦だったり。

「どうしよう。捕まえられたのはいいのですけど」
「なんだかここで名乗りを上げるのは、難しい、ですね」
 綺麗に並べられた盗品を前に、顔を赤くしてたたずんでいたり。

「ねぇアキュート。ネジ、巻いてもらってもいい、かな?」
「ん? しゃーねぇな。ほら」
 ある機晶姫がほっこりしていたり。

「だからヤメロ! この恰好で人前にはでないって、ヤメローーー!」
「はーい、どうぞご主人様。たくさん飲んで食べてってね」
「(またこの恰好を拝めるとは……たまにはいいことをするな)」
 メイド服で給仕をしたりしなかったり、叫んだり。

「アンテナ塔ができたか。我輩も負けておられんな」
「ぐぁぎぃぐぐぅ〜」
「まったく、人使いがあらいでありんすよ。エージェント・Tの応援があるから……」
「うんうん。ドロテーアがんばるから、見ててね、テラー!」
 決意を固めたり、それを真似してみたり、そんな姿に頬を緩めたり。

「ったく、ひどい目にあったぜ」
「といいつつ、手に持った本が増えているのはなぜだ」
「とりあえず、処分しなくてよさそうですね」
「だから一体何が書いてあるんだよ、それ」
「だから秘密です」
 えっちな本やら日記やらを抱えながら話し合ったり。

「騒がしいな」
「うむ。アンテナ塔の落成セレモニーでござるよ」
「へぇ〜。後で行ってみるか」
「休憩も必要じゃしな」
 土に汚れつつ、そんな日があってもよいだろうと呟いたり。

「その、ニコーラさんが良ければ、私とお友達になって貰えませんか?」
「わ……私なんかでよければ、ぜひ!」
 友情が芽生えていたり。

 楽しげな様子を眺め、カルキノスもまた、笑みを浮かべたのだった。