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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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 ■ 年越しは寒い場所で ■
 
 
 
 新年を迎える前にと、酒杜 陽一(さかもり・よういち)は妹と家族の眠る墓を訪れ、弔った。
 そこにあるのは冷たい墓石だけで、かつての妹を思わせるものは何も無い。
 妹が鏖殺寺院のテロの犠牲になって命を落としたと知った時……陽一は心のどこかで悦んだ。
 それまで妹とは仲が良いつもりでいたのだけれど、その実、内心では自分と違って周りから好かれていた妹のことを妬み、そんな自分の惨めさを憐れんでいたからだ。
 その後陽一が傭兵になったのは、そんな歪んだ自分が赦せなかったからなのか、それとも自暴自棄になったが故の逃避だったのか、それは自分自身にも分からない。
 こんな自分が妹になんと声をかければ良いのだろう。
 それすらも解らずに、陽一はただ墓に花を供えた。妹の好きそうな明るい色の花を。
 
(かわいそうなお兄ちゃん……)
 無言で花を供えた後、墓を後にする陽一の背中を見て、酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)は胸を痛めた。
 なんとか元気づけてあげたい。そう思った美由子は陽一の腕に腕を絡ませた。
「ね、お兄ちゃん、居酒屋に行こうよ。美味しいものを食べてお酒を呑んだらきっと気分も晴れるよ」
 そんなことを言いつつも、美由子の頭にあったのは全く違う計画だった。
 
 
 陽一がどこかぼんやりしているのを良いことに、美由子は居酒屋でどんどん酒を勧め、泥酔させた。
 そして、歩くことも覚束ないほど酔っぱらった陽一を、美由子は路地裏に連れ込む。
「ちょっと寒いかもしれないけど……ごめんね」
 陽一の服を全部脱がせると、美由子は自分も全裸になった。
「さあ、お兄ちゃん、私が慰めてあげる……」
 これで陽一もきっと元気を取り戻してくれるだろう。自分の思いついたアイデアの素晴らしさに感動しつつ、美由子が陽一に覆い被さろうとした……その時。
「こら! 何をしているんだ!」
「ぬわーっ! お巡りさんのエッチ!」
 巡回中の警察官に懐中電灯で照らされて、美由子は思わず叫んだ。
 
 
 そして――。
「……てなワケで、お兄ちゃんと2人仲良く警察署の保護室に放り込まれてしまいましたとさ、チャンチャン☆」
 てへ、と語る美由子に、目を覚ました陽一は絶叫する。
「チャンチャン☆じゃなああああぁぃ!」
「お兄ちゃん、あけましておめでとう!」
 
 一年の計は元旦にあり。
 今年も……な年になることだろう。
             ……きっと。