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【2022修学旅行】2022月面基地の旅

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【2022修学旅行】2022月面基地の旅

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第4章 エイリアン・コンタクト

「はーっはっは!! 銀河系の蒼フロユーザーの諸君、待たせてしまったな!! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの幹部にして天才科学者、ドクター・ハデス(どくたー・はです)であるぞ!! 苦しゅうない、ちこうよれ、ひざまずけい!!」
 ハデスは、自ら宇宙服を着用して、基地に侵入したエイリアンたちの前に姿を現すと、洪笑とともに見下した語りを始めた。
「ギギ?」
 エイリアンたちは、首を傾げてハデスをみつめている。
「ちょっと、兄さん!! エイリアンを相手に何をやろうっていうんですか?」
 同じく宇宙服を着用した高天原咲耶(たかまがはら・さくや)が、真っ青な顔で兄の後ろに立っていた。
「決まっておろう! 奴らのオリュンポスの傘下に加えるのだ!! ちょうど、木星支部をつくろうと思っていたところだからな!!」
 ハデスは、咲耶をみて、得意げに笑いながらいった。
「傘下にって、今度こそ死にますよ!?」
 咲耶は例によって呆れたが、今度ばかりは本当にヤバいのではないかという予感に震えていた。
「ハデス様! 何なりとご命令を!! 私は、相手が何であろうとやってみせます!!」
 アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)は、このような状況でも決してひるむ様子をみせない。
「うむ。咲耶よ、心配するな。我々の科学力を信じるのだ。例の発明品も持ってきてある」
 ハデスは、アルテミスにうなずいてみせると、妹を再びみて、安心させようとした。
「ギー!!」
 エイリアンたちは、とりあえずハデスに襲いかかろうとした。
「ええい、人の話を聞け!! いいか、まず、お前たちのボスを出せ!! 宇宙王とかいったな。今後のオリュンポスとの提携について、ビジネスライクに話しあおうではないか」
 ハデスは、エイリアンたちを一喝して、宇宙王との会談を要求した。
 意味不明なまでに自信過剰で強気なハデスを前に、エイリアンたちも戸惑ったのか、動きを止めた。
 そして。
「提携、といったが? どのような提携を考えているのかな?」
 どこからか、宇宙王の声が響きわたってきた。
「うむ。まず、この兵たちを、オリュンポスの最新の科学技術により、『宇宙怪人エイリアン』に改造しようではないか。残念ながら、この兵たちは現時点ではまだ不完全であるからな。そのうえで、貴公が宇宙怪人たちを操って、オリュンポスの作戦を遂行すればよかろう。功績によっては、アフリカ大陸の統治権を与えてもよい、と大首領はおっしゃっておられるぞ」
 ハデスは、滔々と語った。
「だ、大首領って何ですか?」
 咲耶の突っ込みは、無視された。
「むう。それは、提携には聞こえんな。まるで、我々をオリュンポスとやらの下部組織として組み込もうとする提案に思えるぞ」
 宇宙王は、厳かな口調でいった。
「まあ、傘下に入るという話であるのは事実だが、貴公たちの得るものは大きいはずだ。オリュンポスの技術を応用する機会を得られれば……」
「ギー!! ギー!!!」
 ハデスの言葉は、エイリアンたちのうなり声によってかき消された。
 宇宙王が、ハデスたちへの攻撃を指令したのだ。
「冗談にはつき合ってられんな。妄想だけ一人前の弱小組織には、利用価値すらないとみた。せめて邪魔にならないよう、葬りさってくれよう」
「おのれ!! 刃向かうか!! 何と不敬な!! 許せん!! 目にものみせてくれよう。ゆけ、咲耶、アルテミス!!」
 ハデスは怒りにまなこをかっと開き、忠実な(?)しもべに攻撃を命じた。
 ここに、宇宙王とオリュンポスの全面戦争が始まったのである。
「あー、もう!! 死なない程度にやるしか!!」
 咲耶は、ヤケクソになって、エイリアンたちに突進していった。
「ハデス様、一命にかえてでも、彼奴らを葬りさります!!」
 アルミテスは、ノリノリで斬り込んでいく。
「はっはっは。頼もしい奴らだ。よし、ここは、我が発明品を特別に投入してやろう!! ゴー!!」
 ハデスは、突然英語で指示を出した。
「ウイイイイイイ。命令ヲ確認シマシタ。コレヨリ、敵ノ排除ヲ開始シマス」
 ハデスの発明品(はですの・はつめいひん)が起動して、咲耶たちの援護を行う……かに思えた。
 だが。
 ハデスの発明品は、突如、動きを停止した。
 そのスーパーコンピュータが、一瞬にして演算の結果を出す。
「ピコピコ。解析ノ結果、自分ト同ジ触手ヲ持ッタえいりあんハ、自分ノ味方ト判断シマス!!」
 そういうと、ハデスの発明品は、エイリアンたちとともに、咲耶たちに襲いかかっていた!!
「きゃ、きゃああ」
 咲耶は悲鳴をあげる。
「くう」
 触手に絡まれて、アルテミスも苦しそうだ。
「おお、これは!? 何ということだ、我が発明品はあまりに精緻であった。自我に目覚め、反逆さえ仕掛けられるようになるとは!! 我ながら、天才すぎる業績だ!! だが、これでは負ける!! ああ!!」
 ハデスは、頭を抱えた。
 実際には、ハデスの発明品の制御プログラムに重大なバグがあったというだけの話なのだが。
 エイリアンたちの触手は、情け容赦なくハデスにも襲いかかっていく。

「大丈夫か!! いま助けるぞ!!」
 桐ヶ谷煉(きりがや・れん)は、絶叫とともに駆け出していた。
 触手に襲われ、宇宙服を引き裂かれ、その下の下着も引き裂かれていく咲耶たちを放っておくわけにはいかなかった。
「あたしも行くよ!! 何とかしないと、殺されちゃう!!」
 エヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)も煉とともに駆け出していた。
 だが。
 煉たちは、ひと足遅かったようだ。
「きゃ、きゃあああああ」
 エイリアンたちを押しのけ救出に向かう煉たちの目の前で、咲耶はエイリアンに四肢をがっしりと拘束され、勢いよく下着を剥ぎ取られて、生まれたままの姿にされてしまったのである。
「あ、あれは!!」
 煉は、丸見えになった咲耶のお尻を目の当たりにして、思わずみとれそうになった。
「煉、ダメだ!! みるな!!」
 エヴァが叱責する。
「お、おう、そうだな。しかし、みないで助けるのか?」
 煉は歯ぎしりして欲情を抑えると、目をかたくつぶって、進もうとして、転んだ。
「咲耶お姉ちゃん!! くっ」
 アルテミスは、エイリアンの触手を斬り裂き、何とか咲耶を助けようとした。
 だが、うまくいかない。
 むしろ、自分も同じ目にあいそうだった。
「な、何とかして、ハデス様だけでもお守りしなければ!!」
 既に失神しているハデスをかばうように、アルテミスは剣を振るい続けた。
 多勢に無勢の中、アルテミスが死を覚悟したとき。
 エイリアンたちの動きが、ぴたっと止まった。
「あ、ああ、兄さーん!!」
 何もかも丸見えの状態で触手に四肢を拘束され、悲鳴をあげる咲耶の周囲から、エイリアンたちが徐々にひいて、空間をつくっているように思えた。
 やがて。
「おお……美しい。これが、この星の女か」
 宇宙王の、うっとりしたような声が響いてきた。
「や、やめて!! みないで下さい!!」
 咲耶は身体をうごめかして情け容赦ない視線を避けようとするが、かえって宇宙王を興奮させるだけだった。
「実に素晴らしい。是非コレクションしたいものだ」
 宇宙王は、心からの賛嘆の意を表して、咲耶を鑑賞していた。
「うおお、助けなければー!!」
 一方、煉は、目をつぶったまま宇宙王の声のする方へ行こうとして、また転んだ。
「へ、変態エイリアンが!!」
 エヴァも、触手にがんじがらめにされてしまっていた。
「く!! これは、ある意味チャンスです。決心しました!!」
 一連の光景を目にして、アルテミスは、覚悟を決めた。
 さらしものにされている咲耶の側に、自ら歩を進めていく。
「む? お前も、この星の女か?」
「はい。お願いがあります。私も、身体をみせますので、どうかハデス様はお助け下さい」
 屈辱をこらえて、アルテミスはいった。
 これも、オリュンポスのため、いや、ハデスのためであった。
「ほう。では、みせるがよい」
「はい」
 アルテミスはうなずいて、自ら宇宙服を脱ぎ、そして、下着を脱ぎ去った。
 生まれたままの姿で直立して、視線に舐められるままとなる。
 自分の身体の隅々まで、宇宙王に鑑賞されているのを感じた。
「むう。素晴らしい。では、ハデスとやらは見逃そう。お前たち2人は、こっちに来るのだ。コレクションとして、拘束させてもらう」
 宇宙王は、満足していった。
「ダ、ダメだ!! そんな変態たちのいいなりになっちゃ!! あー!!」
 言葉の途中で、触手に四肢を強く引かれて、エヴァは悲鳴をあげた。
 ビリビリビリ
 エヴァの衣も引き裂かれ、白い肌が露となる。
 妖精のようなエヴァの裸もまた、宇宙王に鑑賞された。
「道を、選べ。おとなしく、我々のコレクションに加えられるか、それとも、抵抗して殺されるか?」
 宇宙王は、冷酷な口調でいった。
「どっちも御免だ!!」
 エヴァはペッと唾を吐き捨てると、激しく身体を動かし、拘束から抜け出そうとした。
 だがその身体は、いよいよ強く引き絞られる。
「あー!!」
 エヴァは一層悲鳴をあげた。
「ふふふ。殺すには、やはり惜しいな。よし、3人とも、コレクションに加えよう。光栄なことだと思え」
 咲耶、アルテミス、エヴァ。
 3人の女性を触手で拘束し、宙に吊り下げて四肢を広げさせると、その美しい光景を、どこにいるとも知れない宇宙王は、こころゆくまで鑑賞した。
「ダ、ダメだ。もうダメだ!! 我慢できない!!」
 煉は、ついに目を開いてしまった。
 すると、眼前には、3人の女性のはかなくも美しい姿が浮かんでいたのだ。
 あまりにも刺激の強い光景だった。
「わ、わー!! 素晴らしい!! 特にアルテミスの身体が!! エヴァっち、ごめん!!」
 煉は、興奮して頭に血がのぼったのか、そのまま失神してしまった。
「あ、ありがとうございます」
 アルテミスは、一応御礼をいった。
 恥ずかしさで気が狂いそうだったが、これでハデスが助かるのだから、何とか耐えようとしていた。
「バ、バカ!! 何がごめんだよ!!」
 エヴァは、あまりの情けなさに、怒りを通り越して呆れてしまっていた。
 しかし、自分たちはエイリアンたちにコレクションされたままになるのだろうか?
 もう、普通の生活を送ることはできないのだろうか?
 一抹の不安が、エヴァの胸にはあった。

「にゃがあ!! 触手に捕まってしまった!! くううう」
 不動煙(ふどう・けむい)は、悲鳴をあげた。
 基地に侵入して一般生徒を襲い始めたエイリアンたちの触手が、煙の全身にも食い込んでいた。
 服を引き裂かれ、みるも無惨な姿にされていく。
「あ、あああー!! もてあそばれるアル!!」
 古代禁断死者の書(こだいきんだん・ししゃのしょ)もまた、煙の隣で悲鳴をあげていた。
「く、食い込んでくる!! 入ってくるよぉ!!」
 不動冥利(ふどう・みょうり)も、触手のおもちゃにされ、身悶えている。
「た、耐えなきゃ!! 負けちゃダメだよ!!」
 コール・スコール(こーる・すこーる)は、不思議な感触に気をとられることのないよう、歯を食いしばって耐える覚悟を固めていた。
「美しい。この星の女性たちを、みな、我々の前にひざまずかせよう」
 どこからか、宇宙王の声が響いてくる。
 煙は、自分の恥をえぐりとられていくように感じていた。
「み、みないで、もう!! いやあああ!! ペ、ペット出動!!」
 煙は、辛うじて動く片手を使って、不動明王のランプからキングゾンビを呼び出した。
 すさまじい悪臭が周囲に漂う。
 もっとも、空気が薄くなりつつある基地内の状況で、悪臭がどこまで有効か、そして、エイリアンたちが悪臭をどこまで気にするかはまったくの未知数だった。
「ぼおおおおおお」
 キングゾンビは、エイリアンたちを見下ろして、崩れた感じの声で叫ぶと、煙を拘束する触手を次々に引きちぎっていった。
 エイリアンたちの攻撃はキングゾンビの腐敗した身体には通じなかったが、一方で、キングゾンビがどんなにがんばっても、無数に伸びてくる触手を刈り取れるものでもなかった。
 そして、10分が過ぎた。
「ぼおおおおおお」
 キングゾンビは、出現したときと同じ叫びをあげながら、ランプの中に消えていく。
「ちょ、ちょっと、もう」
 煙は、エイリアンの触手に完全に絡めとられ、身動きできない状況の中で、宇宙王のされるがままになることを覚悟するしかないように感じつつあった。
 それだけではない。
 露な肌をこすりあげる触手の何ともいえない感触を、快いとさえ感じ始めている自分に、煙は気づいていた。
「この感じは……? たまらないなぁ、うわあ、はあ」
 煙は、熱い吐息をもらした。
「ほお。面白い反応を示すのだな」
 どこかから、宇宙王の感心したような声が降ってきていた。

「ほう。とびきりのコレクション対象がいるようだな。是非是非、とらえて鑑賞しようではないか」
 宇宙王は、地球征服という主目的からやや逸脱しながら、基地内部から匂ってくる、えもいわれぬ香りの根源を捕獲しようと、部下であるエイリアンたちに指示を出した。
 しゅうううううう
 恐るべき触手が、まっすぐに伸びてゆく。
 その先にあるものは?