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【2022修学旅行】2022月面基地の旅

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【2022修学旅行】2022月面基地の旅

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第5章 激戦

「はーい、ここからエイリアンが侵入してくると、気づいたですぅ」
 佐野ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)は、基地の外壁付近に移動しつつあった。
 安全な場所に篭城しているだけでは、いずれ、壊滅させられる。
 その前に、敵の拠点を探し出し、討って出るべきだとルーシェリアは考えたのだ。
「確かに、エイリアンの動きはこのポイント付近で特に活性化していますね。それだけ危険なところですが、ルーシェリア殿の意向を最大限に汲んで、サポートいたします」
 アルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)は、ルーシェリアに忠実に寄り添いながらいった。
 ルーシェリアの動きは、期せずして、アルトリアに決死の覚悟をかためさせていたのだ。
 うにゅううううう
 エイリアンたちの無数の触手が、ルーシェリアたちに向かって伸びてきた。
「いくですぅ」
 ルーシェリアは、両手に武器を持ち、目にも止まらぬ速さで次々に攻撃を繰り出し、触手を打ち払って進んでいく。

「おっ、いいねぇ。そうやって攻撃を食い止めながら進んでもらえると、俺のようなスナイパータイプは助かるんだよぉ」
 キルラス・ケイ(きるらす・けい)は、ルーシェリアの攻め方に感謝しながら、光条兵器のライフルを召喚して、慎重に狙いをつけ始めた。
 キルラスもまた、こもるよりは闘うことを選んだのだが、遠距離から攻撃するタイプだったので、押し寄せる大軍を前に攻めあぐねていたところだったのだ。
 ズキューン!!
 キルラスの精確無比の射撃が、エイリアンたちを次々に撃ち据えていく。

「サポートありがとうですぅ。あ、あああああ」
 キルラスの援護射撃に礼をいったルーシェリアの足首に触手が巻きついた。
 瞬く間に、ルーシェリアは逆さ吊りにされた。
 ドレスの裾がたれて、太ももが露になる。
 その太ももの表面を、触手が怪しくうごめいた。
「こ、これは、何ともいえない感触ですねぇ。けど、頭に血が昇るのは勘弁ですぅ」
 ルーシェリアは呻いた。
 抵抗して太ももをばたつかせればするほど、触手が身体に食い込んでくる。
 不思議なことに、このままエイリアンに征服されてもいいのではないかとさえ思えてきた。
 触手の感触には、精神を洗脳する作用もあるのであろうか?
「ルーシェリア殿、それ以上その感触にハマってはいけません!!」
 アルトリアは、剣をひらめかせて、ルーシェリアを逆さ吊りにする触手を断ち切った。
「はあ」
 床に落ちたルーシェリアは、そのまましゃがみこんで、腰をおさえて熱い吐息をついていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ。ちょ、ちょっと、余韻がぁ」
 ルーシェリアは、思わず笑みを浮かべそうになるのをこらえながら、しばらくしゃがみこんでいた。
 触手が、かなり深いところまで食い込んでいたようだ。
「このエイリアンは、かなり危険ですね。きゃあ」
 アルトリアも悲鳴をあげた。
 しゃがんだルーシェリアに気をとられている隙に、触手が、アルトリアの足首に巻きついていた。
 すってーん
 転ばされたアルトリアの鎧の継ぎ目から、触手がその神秘の内部へと潜り込んでいく。
「ダメです!! やめ、やめ!!」
 アルトリアは、もがいた。
 ルーシェリアは、ぼうっとした表情でその様を眺めている。
 アルトリアも、自分と同じ感触を味わうのかと思うと、なぜか、うらやましかった。
 ズキューン!!
 キルラスの放った銃弾が、アルトリアを拘束する触手を伸ばすエイリアンに炸裂した。
「大丈夫かい? しばらくそこで休んで、身体の熱をさましてねぇ」
 キルラスは、アルトリアたちに片目をつぶってみせた。
「はあ。ふうう」
 アルトリアは、拘束から解かれたが、ルーシェリア同様、腰をおさえていて、すぐには起き上がれなかった。
「くう。いけません。ルーシェリア殿を、お守りしなければいけないのですから」
 アルトリアは気力を振り絞ると、ティッシュで身体を拭いて、起き上がった。

「おお、これはまた、粋な展開じゃのう。修学旅行にきて異星の勢力との手合わせができるとは、思い出づくりにもってこいじゃ」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)は、エイリアンと生徒との激突の光景を、わくわくしながら見守っていたが、ついに芭蕉扇を構えて自ら歩を進めた。
「やれやれ。目のやり場に困るな。触手にとらわれた女生徒が、いちいち悶えているすがたときたら!! まあ、みてないで助けないといけないんだが、何だか楽しそうに悶えてるもんだから」
 ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)もまた、ルファンと並んで歩を進めていく。
 その手には、獣槍レヴァ・クロディルが握られていた。
「兄ちゃん、ワタシもやる!! でも、服を引き裂かれた女の人たちのことは、あまりみないようにして欲しいアル」
 シルヴィア・シュトロン(しるう゛ぃあ・しゅとろん)が、ウォーレンの後から進みながらいった。
「おう。でも、みないで助けるというのも難しいしな。それよりシルヴィア、お前も触手には気をつけろよ。一度感触を味わうと、なぜかハマってしまうみたいだからな」
 ウォーレンが、シルヴィアの背中を叩いていった。
「大丈夫!! ワタシはあんな気持ち悪いものにやられて快感だと思ったりしないアル!!」
 シルヴィアは、元気な笑いを浮かべていった。
「というか、お前はさがっておれ。ここは俺様に任せるのだ」
 ギャドル・アベロン(ぎゃどる・あべろん)が、豪快に歩を進めてシルヴィアを追い抜きながら、言い放った。
「何で!? ワタシは兄ちゃんを守らなければいけないアル!!」

「きゃああああああ!!」
 ルシアは、悲鳴をあげた。
 基地の奥深く、他の生徒もたてこもっている安全な場所に避難し、とりあえずこもろうと思っていた矢先だった。
 どこからか、非常に長いエイリアンの触手が伸びてきたかと思うと、ルシアの足首をとらえて、ものすごい力でひきずっていったのだ。
 明らかに、エイリアンはルシアをピンポイントで狙っており、まさか触手がそんなに伸びるとは誰も思っていなかったので、隙をしっかりつかれたかたちとなった。
「ル、ルシアー!!! くそっ」
 神条和麻(しんじょう・かずま)は、引きずられていくルシアを追って、駆け出した。
「た、助けて、和麻ぁ!! お願い、私、宇宙王のコレクションにされて、鑑賞されるのは嫌だわ!! 和麻、和麻ぁ!!」
 ルシアは、恥も外聞もかえりみず、ひたすら和麻の名前を叫んだ。
 エイリアンの触手の大群にとらえられたら、その後、どんなことをされるか。
 それを考えると、気が狂いそうだった。

「やや、あれはルシアだ。とらわれたか」
 エイリアンたちと闘っていた夜刀神甚五郎(やとがみ・じんごろう)は、ひときわ長い触手に引きずられてきたルシアをみて、戦慄を禁じえなかった。
 長距離を引きずられている間に、ルシアの衣服はビリビリに避け、下着が露になっている。
 無惨な光景だった。
 ルシアは、高速で引きずられて、さらに基地の外へ連れていかれるかに思えた。
「ルシアの身に大変な危険が迫っている。ただちに救助すべきだ」
 草薙羽純(くさなぎ・はすみ)がいった。
 羽純もまた、エイリアンとの闘いで衣服が避け、異様に露出の多い姿となっていたが、彼女自身は少しも動揺することなく、エイリアンたちの闘いを淡々とこなしていた。
「わー、触手がまだまだ来るー!! 助けてー!!」
 一方、ホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)は、すっかり肌が露になった身体に片手をまきつけて必死に隠しながら、続々と迫りくる触手と、目に涙を浮かべながら闘っていた。
「基地の外にまで引きずりだすつもりでしょうか。であれば、ワタシが月面の空間に出ていった方がいいかもしれませんね」
 ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)が、落ち着いた口調でいった。
「とにかく追おう。宇宙王の行動はエスカレートしている。ルシアも、鑑賞されるだけではすまないかもしれない」
 甚五郎の言葉に、一同はうなずき、ルシアの追跡に入った。

「あれ、ルシアじゃないか。何だか、既にすごい姿になっているな」
 ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)もまた、引きずられてきたルシアを目撃してしまっていた。
 下着姿のルシアは、ウォーレンたちのいる付近にまで引きずられてきたが、そこでいったん動きが止まった。
 うねうねうね
 他の触手が次々にルシアにまとわりついてきて、抵抗するその身体をがっしり拘束して、無理やり引き立たせる。
「ううっ、やめて」
 ルシアは、低い声で呟くが、その意向は完全に無視されていた。
 直立の姿勢になると、剥き出しの、傷だらけの白い太ももがひどくなまめかしかった。
「これは、まいったな。ルシアがここまで色っぽくみえるなんて! 近づいて、あの身体に触れなきゃ、助けられないわけだが」
 いけないと思いつつも、普段の学園生活ではなかなか拝むことのできない艶姿に、ついつい見入ってしまうウォーレンだった。
「兄ちゃん、だから、そういうのはみないで!! ワタシがルシアを助けるアル!!」
 シルヴィアはウォーレンの背中を叩いて警告すると、ルシアに向かって走った。
 そして。
「コラ、お前!! ルシアの悲惨な姿をみて喜んでるんじゃない!!」
 怒りに燃える和麻が、ウォーレンに詰め寄ってきた。
「待て。別に喜んでなんかいない。ここは、協力してルシアを助けよう」
 ウォーレンが慌ててそういったとき。
「きゃ、きゃああああああ!!」
 シルヴィアの悲鳴があがった。
 みると、ルシアを助けようとしたシルヴィアも、触手に絡めとられている。
「シルヴィア!! まったく、特攻精神だけ旺盛なんだから!!」
 ウォーレンは、シルヴィアに駆け寄っていった。
 そこに、エイリアンの大群が襲いかかってくる。
「はっはっは!! いわんこっちゃない!! 足手まといになるなといったろうが!!」
 ギャドルが豪快な笑いをあげながら、エイリアンたちをつかんで投げ、拳や蹴りで痛めつける。
「に、兄ちゃん、ごめん! 助けてアル」
 触手に拘束されたシルヴィアが、涙目でウォーレンをみた。
「ああ。じっとしてろ」
 ウォーレンは、シルヴィアにはりついている触手を引き剥がしにかかった。
 すると、触手を剥がすと同時に、シルヴィアの衣服も一緒に引き裂かれてしまった。
「ダ、ダメアル!! それじゃ、ワタシ、裸になってしまうアル」
 シルヴィアは慌てた。
「仕方ないだろ」
 ウォーレンは諭すが、シルヴィアは嫌がった。
 そこに。
「空気は薄くなってきているが、これを試してみるかのう」
 呟きと同時に、ルファンが芭蕉扇をひとあおぎした。
 ごおっ
 突風が巻き起こり、シルヴィアを襲っていたエイリアンと触手を、残らず吹き飛ばしていく。
「おお、うまくいったのう」
 ルファンはほくそ笑んだ。
 だが。
「あああー!!」
 シルヴィアは、両手で胸を覆って、しゃがみこんでしまった。
 結局、突風の影響で、シルヴィアの着衣はすっかり飛んでいってしまったのだ。
「これをつけろ」
 ウォーレンの差し出したタオルを、シルヴィアは慌てて身にまとう。
「うん? しまった。シルヴィアに気をとられていたら、ルシアがどこかへ消えてしまったぞ」
 ウォーレンは、舌打ちした。
「ルシアー!!」
 和麻が、絶叫しながらルシアを追っていく声が響いていた。

「ちっ、やるじゃねえか」
 レグルス・レオンハート(れぐるす・れおんはーと)は、触手に殴られて口の奥ににじんだ血の塊をペッと吐き捨てると、再び銃を構えた。
 射撃で倒しきれないエイリアンには肉弾戦で挑んでいたが、敵の数は多すぎた。
 まさか修学旅行で武者修行させられるとは思っていなかったが、このまま果てることもありうるかとさえ思える苦境であった。
「おっ、がんばってるじゃないか」
 全身の筋肉から汗と血をしたたらせて闘っていたラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)は、ふと拳を止めると、レグルスに挨拶をした。
「まあ、ぼちぼちだな」
 レグルスはうなずいた。
 その間も、エイリアンたちは情け容赦なく襲いかかってくる。
 レグルスの弾は、尽きかけていた。
「弾がなくなったら、一緒にファイトしようぜ」
 ラルクは、拳をブンブンふるいながらいった。
「そうなるか。うおっ」
 レグルスはうめいた。
 次々に伸びてくる触手が、レグルスの四肢を拘束し、衣服をビリビリに引き裂き始めたのだ。
「大丈夫か。ああっ」
 ラルクもうめいた。
 触手は、ラルクもまた拘束することに成功した。
「くっ、離せ!! 宇宙王はそういう趣味もあるのか?」
 レグルスはもがくが、一度拘束されると、そう簡単に離れられるものではない。
「おおっ、前から思っていたが、本当にいい身体だな」
 レグルスの鍛え抜かれた肉体が露になるのを目にして、ラルクは胸のうちの激情を抑えることができなかった。
 思わず、自分も拘束されているという状況を忘れてしまった。
「じろじろみるな。気色悪い」
 ラルクの視線が変なところにいこうとしているので、レグルスは辟易した。
「おいおい、本当にたくましいじゃないか。マジでたまらなくなってきたぜ!!」
「どこをみていっている?」
 レグルスは、この状況で興奮できるラルクに呆れた。
「なあ、俺のもみてみろよ!!」
 ラルクは、堂々と胸をそらせ、すっかり剥き出された自分自身の肉体を誇示していった。
「まあ、素晴らしいといえば素晴らしいが」
 レグルスは、苦笑した。
「お互い、ひかれあうってことだな。よっしゃー!!」
 ラルクは絶叫した。
 レグルスとふれあいたい想いが爆発し、恐るべき力をわきださせる。
 ぶちぶちっ
 ラルクは、触手の拘束を断ちきった。
「いくぜぇっ!!」
 ラルクは、レグルスにつかみかかっていった。
「よ、よせ」
 レグルスはうめいた。
 操の危機に対し、覚悟を決めようと思った。
 だが。
 ぶちぶちぶちっ
 ラルクは、笑いながら、レグルスを拘束する触手を引きちぎっていた。
「あっ、ありがとう」
 予想された展開にならなかったことに拍子抜けしながら、レグルスは礼をいった。
「まったく隠さないんだな。ますます気に入ったぜ」
 ラルクは、生まれたままの姿で仁王立ちになっているレグルスに、賛嘆の念を禁じえなかった。
「ふっ、お前こそ」
 そういって、レグルスは笑った。
 二人は、しばしみつめあった。
 視線と視線の間に、通うもの。
「よし!! 同じ目にあってる女子を助けにいこうぜ!! いくら何でも、ここで全裸は寒いからな!!」
 二人は、肩を組んでニヤッと笑うと、互いに何も身に着けないまま、走り出したのである。
 敵が待ち受ける、さらに奥へと……。