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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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31)

空京にて。
うらぶれた、観光ふれあい施設、「ゆるパーク」。
マリカ・ヘーシンク(まりか・へーしんく)は、
キロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)を誘って、
ここへやってきていた。

「ゆるパーク」を見学した後は、
ゆる族が太平洋に飛び降りる場所、ジャッパンクリフへとやってくる。
執事として、お嬢様をエスコートする訓練を受けているマリカは、
その応用として、キロスをエスコートしてきたつもりであった。
(うまくできているかなあ?)
そう思いつつ、お弁当を用意して、
ジャッパンクリフで広げることにする。
「お、すげーうまそうじゃねえか」
キロスが、マリカのお弁当を見て言った。
「どうぞめしあがれ」
「おう!」
キロスは、マリカの手作りのサンドイッチやおにぎりを、
勢いよく食べていく。
「お、なかなか美味いな!
けっこうやるじゃねえか!」
「どういたしまして」
マリカは、お弁当が好評だったことに安心した。

「そういえば、ここって、ゆる族が生身のままで飛び降りる場所なのよね」
「ああ、そうだな」
「龍騎士だってここから飛び降りたら無傷じゃすまないのかと思うのだけど、
平気で飛び降りるゆる族ってある意味すごいよね」
「なんだと?」
マリカの発言に、キロスは眉間にしわを寄せる。
「俺はそこらの龍騎士とは違う!
海面に激突したくらいじゃ痛くもかゆくもないぜ!」
「じゃあ、飛び降りてみる?」
「な……」
マリカの挑発にまんまと乗せられ、キロスは口をぱくぱくとさせていたが。
「また上がってくるのが面倒だから、そんなことはしねーよ!」
そう言って、そっぽを向いてしまった。
そんな様子がかわいくて、マリカはくすくすと笑った。

ちゃんとしたデートになっていたかどうかは、わからなかったけれど。
それでも、2人にとって、楽しく穏やかな時間が過ぎていったのだった。