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黄金色の散歩道

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黄金色の散歩道
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ずっとずっと

 日本の倉敷市。
 古く、落ち着いた街並みを残すこの地に、金元 シャウラ(かねもと・しゃうら)は、妻の金元 ななな(かねもと・ななな)と共に訪れていた。
 今日はなななの両親の元に子供達の成長の報告に来ていたのだ。
 お昼寝中の4人の子供をなななの実家に預けて、2人はポムクルさんたちと一緒に、倉敷の街を歩いていた。
「ううーん、やっぱりここで食べると落ち着く〜。ゼーさんも食べる?」
 なななは知り合いの店で購入したきび団子をひとつ、シャウラの口に持っていく。
「ん、いただきまーす」
 ぱくっと、きび団子を食べて、シャウラはうんと頷く。
「取り寄せも出来るけど、なんか違うよな。出来たてだし、やわらかさとか香りも」
「そうだね。シャンバラでも食べられるけど、本当に懐かしい味はここでしか味わえないんだよね」
 なななは美味しそうに、味わって食べてく。
「……うおお、何だあれは!」
「なななの戦友たちのお店だね」
 シャウラが目に止めたのは、特撮テレビ番組の、巨大変身ヒーローの店だ。
「なんだーなのだー」
「宇宙刑事なのだー」
「そうか、こんなところに拠点があったのかー」
 などと、シャウラはポムクルさんたちとヒーローショップへと駆けていく。
「説明しよう、この人はね。M76星雲を拠点の一つとする、宇宙刑事のマブダチで、なななは小さな頃から宇宙意思のオペレーターとして彼らと共闘を……」
 なななが追いかけていって、壁のポスターを叩き、ヒーローについて説明をしだす。
 シャウラもポムクルさんたちも、うきうきわくわく目を輝かせながらなななの話を聞く。
「なるほど元祖宇宙刑事、ウルトラ刑事といったところか! よし、アイテムを沢山仕入れて帰らないとな」
「そうだね!」
 そしてお店に飛び込んで、人形や変身アイテムや、文具やお菓子まで、様々なヒーローグッズを購入するのだった。

 沢山の戦利品を手に入れて、勝利宣言をした後は……。
「ゼーさん、足下気を付けてね」
「大丈夫だよ。なななの方こそ気を付けてな」
「うん。でもなななは小さいころからよく乗ってたから」
 2人は互いを気遣いながら、川舟に乗り込んだ。
 倉敷川では川舟に乗って、倉敷の街並みを見ることができる。
 舟はゆっくりと進む……。倉敷の風情のある白壁の街並みをなななは懐かしげに、シャウラは感動しながら眺めていた。
「前行った大阪もいろいろ凄かったけど、倉敷も別の良さがあって良い所だな」
 今回はシャウラにとって2度目の日本旅行だった。
 なんだか不思議な感覚に陥る……自分の故郷ではないけれど、懐かしいような。
「タイムスリップできそうな気がしてきたぜ」
「……うん。なななも。なんか昔の世界に来た気がしてたよ。隣にゼーさんがいて、ちょっと不思議なカンジ」
「そうか? 俺はタイムスリップした先でも、なななと一緒なイメージしかないぜ」
「ははははっ、それじゃ、なななが宇宙刑事の仕事で大昔の世界に飛ぶことになった時も、ゼーさん一緒にきてくれる?」
「もちろん! 時空をまたぐ任務か、燃えるな!」
「うん!」
 舟が木の下に差し掛かった。
 街を歩く人々からも、街並みからも見えない場所。
 ゆっくりゆっくり進む舟の上で、シャウラはそっとなななを引き寄せた。
「ゼーさん」
 笑顔を向ける愛しい妻の唇に、シャウラはそっと自分の唇を重ねた。
「ずっとずっと、家族皆で幸せまみれで行こうな」
「うん! 楽しく楽しく頑張っていこーね。
 幸せいっぱい、ありがと、ゼーさん」
「うおっ」
 舟は木陰から出て、街から見える場所に差し掛かっていた。
 なななは周りを気にせずに、シャウラに抱きついていた。
「俺、すげぇ幸せだよ……」
 目頭が熱くなるほどの幸せを感じながら、シャウラはなななを抱きしめる。

 舟から降りたあとは、手を繋いで。
 そろそろ目を覚ますだろう子供たち……幸せの宝石箱のもとに、帰っていく。