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狙われた乙女~別荘編~(第3回/全3回)

リアクション公開中!

狙われた乙女~別荘編~(第3回/全3回)
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リアクション


○    ○    ○    ○


「いやホント、ぽに夫さんマジすいませんでした。オレの勘違いで喧嘩吹っかけちゃって……。まぁその……水に流して貰えれば嬉しいッス」
 ゴキを払い落とすメカダゴーン(めか・だごーん)と荒れ狂う人々を背に、死の淵から生還したは最敬礼で平謝り。
 なんだろう、意識を失う前はもっと平和だった気がする。
「あ、いえこちらこそ。すいません。人違いでした」
 ぽに夫の方も、陣と自分にヒールをかけ、炎が立ち上る中、陣にへこへこ頭を下げた。

「ごめんなさい……っ」
「申し訳ない」
 クライスは、ローレンスや助けに来た友人達に諌められ、自分がとんでもない誤解をしていたことに気付き、コウにローレンスと共にひたすら謝罪をしていた。
「あんた達のお陰で、未知の生命体が逃げ出した。もう少し会話をしたかったんだけどなー。他にも会話がしたかった奴等もいただろうなー。契約が出来た者もいたかもしれないなー」
 コウは腕を組んでじと目で呟く。
「ご、ごめん。みんなも、ごめんーっ」
 クライスは真っ赤になって、事態収拾に走り回っている仲間達に頭を下げる……が、誰もきいちゃいない。場は大混乱中だ。
 コウはくっと小さな声を上げて、笑顔を浮かべる。
「また会えるだろ。彼女達は目覚めたのだから……」

「別荘さん、どうか安らかに眠って下さい……。いえ、まだ安らかに眠れる状態じゃないですけどぉ〜。きっと、きっと平穏は訪れますぅ……」
 混乱の極みにある別荘の残骸を背後に、シャーロットは涙を拭いながら、木の枝を立てて、別荘の墓とした。
 側には、トメが作った「カレン」「ジュレ」の墓と、ファルが作った、「ネズミさん」の墓もある。
「……ん? もう一つお墓があるですぅ〜。お墓? お墓でしょうかこれ? まあ、いいですぅ。お花をお供えしておくですぅ」
 最後の墓標には『とうまのばか』とだけ書かれている。

「……帰ろう」
「うん……」
 アイリスは瀬蓮の手を取って、歩き出した。もう振り返ることさえしない。
「ああああっ! ミルミも大事なこと思い出した。ヴァイシャリー家のハロウィンパーティーに出ないと! 白百合団として騎士の子孫として、絶対外せないっ。さあ、帰ろうミクルちゃん、ラザン! 葵ちゃんもエレンディラちゃんも行くよ!」
「とりあえずここだけでも片付けようか……」
 エレンディラは、急いで休憩用のテントの片付けを始める。
「集落寄って、お菓子沢山買って、お土産も沢山持ってかえろうね。ミクルちゃん怖い思いしたから、沢山食べていいんだよ」
「……ありがと、ミルミちゃん」
 2人が微笑みあったその時。
「ウフフ、キャッキャは俺が許さん! クライマックスは俺が登場してからにしてもらおうかっ!」
 声が響き、現れたのは巨大な熊――きぐるみを脱いだイオマンテの肩に乗り、腰に手を当てて仁王立ちする美少年だった。
「あの……」
 何かを言おうとするミクルに、ふっと甘い笑みを見せた後、その美少年は体を覆っていたマントの端を広げ、お嬢様式のお辞儀をする。
「それでは、皆さん御機嫌よう」
 マントの下には何も纏ってはいない。
 隠されていた裸体、下半身が百合園生の前に露になる。
「き、やああああああああーっ」
「へんたーーーーーーーーい!」
 悲鳴が次々に上がり、物が投げつけられる。
「いかにも!」
 堂々と言い、男は巨大な熊と共に高らかに笑いながら去って行く。
「黙って盗めばいいものを〜、予告するのは裸を見せたいからよ〜、僕は変態怪盗舞士〜♪」
 去りながらの歌のような男の言葉により、今、ようやく全ての謎が解けた――。
「ぐぐっ、怪盗舞士グライエールは露出狂だったんだっ。早く、早くヴァイシャリーに戻ってこの事実を公にしなきゃー!」
 喉を嗄らせながら、ミルミ馬車に向かって駆け出す。
「そんなことはどうでもいいー!」
 どどどどどどっと、仲間の手厚い治療で回復したカレンが鬼のような形相で駆けてくる。
「どこに鏖殺寺院がいるってぇぇー!?」
「きゃーっ、ミルミ知らない、何も知らないんだらー!!」
「まだ言うかーっ!」
「ミルミはミルミじゃないんだよ、ミルミは3人いるんだから! ね、葵ちゃん」
「えっ……?」
「そっちが本物のミルミ・ルリマーレン!?」
「いや、そのえっと。とにかく逃げよう!」
 葵とエレンディラも走り出す。

「待てーッ! 逃がすかーッ!」
 大混乱の中。
 ゴキブリも不良も踏み潰す勢いで、少女達の鬼ごっこが始まったのだった。

――狙われた乙女〜別荘編〜全3回、大いに謎を残してすっきりすぱっとこれにて完!――

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

 担当マスターの川岸です。
 皆様、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
 今回のみ参加の方も、落選続きでようやく参加された方も、抽選で落ちてしまった方もホントありがとうございました。
 ……なんだか、物語が終わってない気がしますが、きっと気のせいです。
 ……なんだか、謎が明らかになっていない気もしますが、気にすることではありません。ええ。
 気になる方は、ヴァイシャリー編の方でも読んでみて下さいませ!

 今回は皆様の行動に随分と笑わせていただきました。
 この楽しいアクションの数々を、上手く、もっと楽しく描写できる能力が本当に欲しいです!

 ところで、今回は名前さえ出てこなかった元リーダーのブラヌ・ラスダーですが……多分彼はドーナツの中にいます。

●GA【地の底へ伸ばす助け手】様
 意欲的なグループアクションを、ありがとうございました。
 今回はアクションに理解が出来ない点、そのまま採用できない設定がいくつかあり、また多重行動キャラも多かったため、上手く物語化することが出来なかった場所が多々ありました。
 相談時間が短いため大変かと思いますが、またグループを組まれる際には、分担して(アクションは1人1つで)、連携行動に出来るだけ矛盾を出さないよう努めていただけると非常に助かります。
 今回はちょっとGAの目指すところがわからなかったのですが、もし仲間同士全員で和気藹々楽しみたいという理由でGAを組まれる場合は、皆で同じ場所で一緒に1つのことをすると良いかと思います。シーンごとに違うPCと絡もうとすると、多重行動判定により絡んだ方のアクションも上手く採用できなくなってしまう可能性があるかと思います。
 楽しいアクションありがとうございました。上手く表せなかった部分に関しては、ごめんなさいっ。

●GA【人降って地固まる】様
 逆に、不確定要素はあるもののメンバーの行動がまるで軍隊のように(いえ、大多数が軍人PCでしたがっ)ビシッと決っていて、決りすぎていて、リアクションという面で楽しんでいただけたかどうか少し気掛かりでした。楽しんでいただけましたでしょうか。
 ともあれ、最初はどうなることやらとほんのちょっぴり心配もありましたが、最後まで協力的な物語を楽しくするアクションを、本当にありがとうございました!

 別荘編、とても楽しませていただきました。
 また機会がありましたら、皆様と一緒に物語を築きたいです。
 貴重なアクション欄を割いてのメッセージありがとうございます。
 イラストなども楽しく拝見させていただいております!

 川岸の次のガイドは11月半ばを予定しています。構想が間に合えば、キャンペーンに関係のあるシナリオ(ノーマルorイベント)になると思います。