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世界を再起する方法(第2回/全3回)

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世界を再起する方法(第2回/全3回)

リアクション

 
 
 イルミンスールの森の奥深くに、かつてブルーレースと呼ばれていた聖地があった。
 今はもう無い。
 ブルーレースは地脈の溜まり場である”力場”ではなくなったのだ。

 山火事の痕も未だ痛々しく残り、”柱”のあった場所は、焼け野原のまま、しかしその合間から、新芽が小さく顔を出している。
 森は力場――聖地の役目を失っていたが、再生を始めようとしていた。
 その、柱のあった場所に、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)のパートナー、ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が花を供える。
 柱と共に消え、聖地を――世界を護る為に命を捧げた、守り人インカローズを悼む花だ。
「インカローズ」
 小声で、ジュレールはインカローズに語りかける。
「……世界は救われた。後は残された者でうまくやっていくようにする」
 頭の中で色々考えていたのに、口にできたのはそれだけだった。
 俯いて、すまない、と、心の中で呟く。
 カレンならきっと、もっと上手く語りかけることができるのだろう。
 だが自分にはこれが精一杯だ。
「ジュレ。そろそろ行こっか」
 カレンに声を掛けられて、ジュレールは顔を上げた。
「村、どの辺に引っ越したんだろうね。探さないと。
 ジュレの選んだ絵本、子供達が喜んでくれるといいね!」
「……うむ」
 差し延べられた手を取り、ジュレールは頷く。
 ああ、そうか、と、理解して、カレンに感謝した。
 インカローズに見せなくてはならないのは、俯く自分ではなく、前を見て、進もうとする自分だと。


「――と、まあ、外の世界も何とかうまくやってるぜ」
 カレン達よりも少し時を遅くして、鈴木周、緋桜ケイ達もそこに辿り着いていた。
 役目から解放されたインカローズに、少しでも楽しい話を聞かせてやりたいと、周は少しの間、心の中でインカローズに語りかけ、そう口に出して、その話を締めくくった。
「ていうか、あんた大丈夫なのかよ、本当に!?
 『腐蝕』の治療を放ってこっちに来ちまってよ?」
 止めても止まらないと結局ここまで来てしまったわけだが、ケイが半分心配、半分呆れたように声をかける。
「大丈夫に決まってんだろ! これしきの怪我になんか構ってられっかよ。
 ブルーレースの美女ヴァルキリー達が俺が来るのを待ってるんだぜ!」
「愚か者は死ななくては治らずの典型であろうよ」
 冷たくカナタが突っ込んだ。
 「周くん……本当に大丈夫?
 何かあったらちゃんと言ってね。
 取ってきて欲しいものがあったら無理しないであたしに言ってね。
 重いものとか、持っちゃだめだよ?」
 パートナーのレミが色々と気を遣おうとするのだが、周は不気味そうな目でレミを見た。
「……ちょっと、何でそんな、怯えてるの?」
「……お前何か企んでねえよな?」
「失礼なっ!」
 折角心配してあげてるのに! と起こるレミに、ケイは溜め息を吐き、カナタは目を据わらせて笑みを浮かべ、
「乙女心の解らぬ奴め。とどめを刺してくれようか」
と手刀を構えて
「待てまてっ! 抑えて抑えて!」
とケイに押し留められた。
 とにかく、と話を戻して、ブルーレースを護っていた一族の村が何処に移ったかを、手分けして探すことにする。
「電波が届かないしな……携帯が通じるように、パートナーを交換して二手に分かれようか」
ケイの提案に、
「なるほど、名案であるな」
と周を見てにやりと笑みを浮かべたカナタに、ひいっと周が悲鳴を上げた。

 集落は、さほど苦労せずに見付けることができた。
 やはり、元の場所をそう遠くは離れられないのだろう。
 ただ、以前のように、樹木を利用して木々の上に集落を作るにはまだ日が浅いのか、仮住まいだろう家々が、地上に点在している。
 ケイや周達が到着した時、集落で、子供達に絵本を読み聞かせているジュレールの姿を見付けた。
 ジュレールもケイ達に気付いて顔を上げる。
「おっ、かわいい機晶姫のお嬢ちゃん、ひょっとしてお仲間かな。
 今度お茶でもどう」
 声をかけた周の言葉に、ジュレールは、何を言っているのか解らない、というように首を傾げた後、ふいっと顔を逸らして、ケイ達に
「皆も、”結晶”のことで来たのか」
と訊ねる。
「うむ。おぬし、パートナーはどうした」
 カナタが問いを返し、ジュレールは集落の奥の方を見た。
 カレンは、込み入った話の真っ最中だ。

「――貴方達も、来たのですか」
 声に振り返れば、カレンと、1人のヴァルキリーの少女が歩いてくる。
「カレン。話は済んだのか」
「途中だよ〜。また誰かが来た、って言うから、見に来たの、に、付き合い」
と、カレンはヴァルキリーの少女を見る。
「あれっ、イネスちゃん、久しぶり!」
 周が手を上げた。その少女は、守り人インカローズを慕っていた、イネスだった。
「元気? 今度お茶しない?」
「……何をしに来たのです」
 呆れたように、イネスは訊ねる。
「あ、ああ、俺達は……」
 周を押し退けたケイが、理由を説明しようとする。
 手を上げて、イネスはそれを制した。
「”結晶”でしょう」
「やっぱり、あるの!?」
 カレンが訊ねる。
 集落を訪れ、カレンは、ブルーレースが失われることになった『ヒ』達の正体や、それにまつわる一連の出来事の顛末全てを語り、その後で、今自分達が抱えている、女王器や神子についての説明をした。
 ケイ達が来たという報せが入り、場が中断されたのは、”結晶”について、何か知っていることはないか、と、訊ねたちょうどその時だったのだ。

 インカローズはブルーレースの”守り人”だったが、村の”族長”は他にいるようだった。
 そしてその族長が、様子を見に行くというイネスと何やら言葉を交わしていたのを見て、残って待つのではなく、一緒に来ることにしたのだ。
 イネスはカレンをちらりと見て、
「あります」
と答えた。
 懐を探って、手を差し出す。
 その手の上に、親指ほどの大きさの、青い水晶のような石が乗せられていた。
「それが……」
 ケイ達も目を見張る。
「あ、あのね。それ、良かったら貸して貰えないかな。
 奪ったりは絶対にしない。ちゃんと返しに来る。
 少しの間、貸して欲しいんだ」
 カレンの頼みに、イネスは”結晶”を再びしまった。
「断ります」
「えっ、何でだよ!」
 言いかけた周は、イネスが携えていた剣を抜き払うのを見て驚く。
「欲しかったら、私を倒して、腕ずくで奪いなさい」
 イネスは冷たく言い放ち、カレン達は驚いて、イネスを見た。
「ちょっと、待ってよ!」
「断っておくが、私を甘く見ないで下さい。
 これでも、インカローズ様に次ぐくらいの力は有しているつもりです」
 カレンの言葉も耳に貸さずに、イネスは剣先を彼等に突き付ける。
 ずきり、と、周の、見えない傷が痛んだ。
 痛みというよりも、ぎしりと身体の中で何かが軋むようだった。
 痛んだのは頭だ。
 まるで、何かが浸蝕してくるようだった。





 ――――――ピシ。

 その音は、忘れた頃に、微かに響いた。
 小さく、小刻みに、常にもがき続けていたその抵抗に、ついにセメントが負けたのだ。
 小さなヒビが、どんどん大きく広がって行く。
 やがてボロボロに砕け散り、ゴーレムは穴から這い出した。
 既に、ゴーレムを操る者は死んでいた。
 それでも、ゴーレムは歩き出す。――ツァンダに向かって。 
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

九道雷

▼マスターコメント

 
ハルカ「1ヶ月くらいのごぶさたなのです! 今回もご参加ありがとうなのです!」
ラウル「どうも。2回目にして早くも終盤の展開、の、はずだけど、何だかそういう雰囲気がないねえ」
ハルカ「旅行楽しいのです」
ラウル「殆どメインストーリーに関わっていないよね。
 まあ我々にそれを期待している人はいないと思うけど」
ハルカ「コハクは神子じゃなかったのですね?」
ラウル「みたいだね」
ハルカ「はかせ、無責任なのです」
ラウル「そんなこと言われてもね。
 かも、って言ったよ。かも、って」
ハルカ「まったくしょーがないはかせなのです。
 ところではかせ、NPC登録されたのですね?」
ラウル「そのようで」
ハルカ「マスターも登録に気がつかないうちから関連を付けてくれた人がいてびっくりなのです。はかせ、おれいなのです」
ラウル「よろしくね」
ハルカ「はかせ、騎士なのです?」
ラウル「違うけど。私の職業クラスが無いしね。
 機工士が一番近い感じかな」
ハルカ「もしかしたら、後でデータ直してもらえるかもしれないので、皆その時はよろしくなのです」
ラウル「何がよろしく?」
ハルカ「数値データ化してもらえたら、みんなとキャラクエ行けるのです」
ラウル「………………はあ」
ハルカ「面倒くさがらないのです。
 ハルカレベル1だから、キャラクエ行けなくて羨ましいのです」
ラウル「まあ……それより、君のネタ自由設定も、いい加減普通に直したら? 
 誰も信じてないと思うけど、もしも信じる人がいたら可哀想だよ」
ハルカ「ハルカめんきょかいでんなのですよ?」
ラウル「そもそも君、ヒロイックアサルトを勘違いしてるでしょう。……っていうかこれは、勘違いしてる、っていうネタなんだね。解りづらいけど」
ハルカ「地震が起こせるのです」
ラウル「アクション講座を良く見ましょう。
 ヒロイックアサルトは『攻撃力を上げる』スキルだよ。特殊能力系じゃないの」
ハルカ「? ? 何です?」
ラウル「地面が揺れたり嵐が起こせたり幻覚を見せたり素早さが上がったり鋼の肉体に変身したりアルテマウエポンを召還できたりする能力じゃないの。
 自身の攻撃力が上がるシチュエイションを、自由に設定していいよ、っていうスキルなんだよ」
ハルカ「…………地面が揺れて攻撃力アップなのです」
ラウル「往生際が悪いよ」
ハルカ「うう〜、む、難しいのです……」
ラウル「そもそも君、そのスキル使えないんだから」
ハルカ「……わかったのです。近日中にプロフィール画面を修正しておくのです」
ラウル「プロフィール画面といえば、アクションを送る際にも注意事項があるよ」
ハルカ「ハルカはアクション送らないのです」
ラウル「まあそうだけどね。
『関連付けしている人達とホニャララする』というアクションは要注意」
ハルカ「どしてなのです?」
ラウル「とても大勢の人と関連付けしてる人なんかもいるしね。
 これだけだと、具体的に誰とホニャララするか分からず、マスターが混乱を招きかねない。
 そうならないように、GAを組むか、アクションを手抜きしないで、一緒に行動する人の名前を書く方がいいだろうね。
 描写そのものをスルーされる場合もあるかもしれないし。
 ちなみに、『同コミュニティの人とホニャララする』はセーフです。相手の名前を書くのが完璧だけどね」
ハルカ「いっぱいコミュニティに入ってる人は、どのコミュニティの人達とほにゃららするのか、コミュ名もしっかり書くのですね」
ラウル「そうそう」
ハルカ「じゃあ『ハルカのめんきょかいでん技について詳しくは、はかせの自由設定参照』というのはどうなのです?
 ハルカの自由設定欄、今ギリギリなのですけど、はかせの自由設定欄は、文字数余ってるのです」
ラウル「うーん、その人が同じシナリオに参加しているとかならともかく……それはまず見ないと思った方がいいね」
ハルカ「つまりスルーされちゃうのですね」
ラウル「アクションに使っていればね」
ハルカ「シビアなのです……!」
ラウル「ま、それはともかくとして、早くも次回で最後だね」
ハルカ「もう終わりなのですね……。
 折角また皆と会えたのに、何だかあっという間なのです」
ラウル「そんなわけで、次回のNPC対談は放送拡大バージョンでお届けする予定です」
ハルカ「何か、質問とかあったら、どしどしくださいなのです!
 それから、エンディング用アクションも大歓迎なのです!」
ラウル「最終回はできることも少なそうだから、そうやって水増ししようという算段だね」
ハルカ「そういうことを言ったらだめなのです!」
ラウル「もう言っちゃった。それでは、また次回」
ハルカ「まったくしょーがないはかせなのです。
 ではまた、お会いできたらよろしくなのです!」