First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
■□■4■□■ 金色カンガンガニの捕獲
カニの動きが鈍った隙に、現在のプレナ・アップルトン(ぷれな・あっぷるとん)は、
ハサミを接着剤でくっつけて、安全にカニを捕獲しようと考えていた。
男の娘を宦官にするくらいならハサミも大きいはずだと考えたプレナは、
街で調達したありったけの接着剤をバケツに入れ、
固まらないようフタをして持ち歩き、モップでハサミに塗ったくるつもりだった。
プレナは、大切なモップを接着剤のバケツに突っ込む。
「忘れないよ」
プレナは犠牲になったモップを見て涙をぬぐいつつ、カニの群れに向かう。
「静香校長のためにー!
プレナ、行きまーす!」
こうして、接着剤によって、カンガンガニは身動きできなくされていく。
さらに、プレナはこうも考えていた。
(これってちょっとずつ分け、宦官になった人数分ソーセージを用意出来ないかな?
同じこと考えてる人と協力したいなー)
★☆★
一方、二人の高務 野々(たかつかさ・のの)も、カニを捕まえようとしていた。
さらに、二人の野々は、実はまだカニを食べたことがないということがわかっていた。
「え? 未来の私も食べた事がないのですか?
……となると。
そう、たしかタイムパラドックスというアレですね」
「まあ、細かい事は後で考えましょう」
「ここで食べてしまうと、
「食べた事がない」未来の私はどうなるのか。
もしくは、未来のこのときまで「食べられない」ことが決まっているか……わけがわかりませんね。
とりあえず行動です! 食べましょう!
もし私がカニを食べられない運命にあるのなら!
私は今ここに、その運命を乗り越えて、きっとカニを食してみせます!」
(現在の私……張り切ってますね)
現在の野々は、テンション高くカニの群れから金色の甲羅のものを捜索する。
(カニ……はやく食べたいなぁ……。
こうなったら適当に用意した染色剤で
金色に塗った普通のカンガンガニを用意しましょうか……。
そうすればカニが食べられる!)
カニのことで頭がいっぱいになり、現在の野々は判断力が鈍っていた。
「よしこれで!
……って、あれ。これは意味がないんじゃ?
ああっ! 逃げた!」
冷静になった現在の野々であったが、金色に染めたカンガンガニを逃がしてしまった。
「って過去の私がおバカな事をやってますね。
騒ぎになる前に、ランドリーで色を落としておきましょう……」
未来の野々は、金色のカニを洗って染色剤を落とそうとする。
「……あれ?
なかなか色が落ちない。どれだけ厚塗りしたんですか。
あ! 逃げた!」
「ああ、早く捕まえないと!
違います!
それは金色のカンガンガニじゃないんですよー! ごめんなさーい!」
二人の野々は、洗っても金色のままのカンガンガニを追いかける。
★☆★
現在のナナ・ノルデン(なな・のるでん)は、
光る箒で上空から偵察を行い、地上で光る金色のカンガンガニを探していた。
「あっ、あれは、金色の!?」
現在・ナナは、回収しようと地上に迫る。
「未来の私、これ、染料がはがれませんよ!?」
「やりました、金色のカンガンガニ確保です!」
光学迷彩で姿を消していた未来・ナナは、
現在・ナナとともに金色のカンガンガニを捕まえる。
「違うんです、それは偽物なんです!」
「ランドリーで洗ったけど染料が落ちないんです!」
そこに、二人の野々が金色のカニを追ってくる。
二人の野々は偽物だと思っているのだった。
「洗っても落ちないって、だから本物ですってば」
現在・ナナは、氷術で金色のカニを冷凍保存する。
(やりました。
これで、後はソーセージを確保すれば、
エリザベート様の下へ、黄金ソーセージを持ってまいることができます)
未来・ナナはこっそり思う。
未来・ナナは、エリザベートの忠実な配下である。
★☆★
「これで大きなソーセージを作って分け合うのは可能なんでしょうか?」
「ですから、偽物なんですってばー」
「これは染色剤なんです」
現在・ナナは、氷漬けのカニを見て言うが、二人の野々はまだ偽物だと思っている。
「プレナもそれ考えてましたー。
あと、この普通のカンガンガニを食べて何か起こらないか
試してみるというのはどうでしょう?」
プレナは周囲を見渡す。
「それって人体実験だよね、プレナさん……」
現在・静香は苦笑する。
そうやって一行が会話していると、
高台から降りてきたラズィーヤがにっこり笑って言う。
「次は泥につけこんだソーセージの争奪戦ですわね。第2ラウンド開始ですわ☆」
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last