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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

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「散歩してたら目の前が真っ白になったから、びっくりしたよー」
 ドラゴンに乗って空中散歩をしていたノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)
 突然、目の前が真っ白になったことに驚いた彼女は近くの浮遊島に足を下ろしていた。
 そこでみたものは暴れまわるバルクの姿。
「これは、大冒険の香りがぷんぷんするよ!」
 ちなみに彼女の保護者である御神楽 陽太(みかぐら・ようた)は別途仕事中のため、不在である。
「空中散歩してるといろんなことに出会えて楽しいなぁ!」
「……だれ」
「わわっ!? あ、あなたこそ誰!」
「小さい子、危ない」
「む、あなただって小さいじゃない!」
「そう」
「……むむ、『野生の感』がうずく! うずくんだよ!」
「ルニちゃーん! と、また別の小さな子が」
「だからちっちゃくなーい! ワタシはノーン・クリスタリア!」
 ルニとノーンのところへ朱里とアインが走り寄ってくる。
「そろそろ戦闘も佳境だな」
「その通り。……ルニちゃん。あなた、バルクを助けたいのよね」
「……」
 こくりとうなずくルニ。それを見た朱里とアインはお互いに笑う。
「私達が援護するから、あなたがバルクを助けなさい」
「私が?」
「そう。他の人にもそう言ってあるから」
「狙いはあの頭部の機晶石だ。あんな目立つところにあるのだ、かなりの硬度が予想される」
「だからルニちゃんの大斧で思いっきり割っちゃおう。あれを割れば何とかなる気がするの。女の勘で」
「わかった」
「ワタシも! ワタシもお手伝いする! ワタシの勘がルニをお手伝いしなさいって囁くんだよ!」
「そう、なら一緒にやっちゃおう、ノーンちゃん」
「うん!」
 ノーンと朱里が同時に『ホワイトアウト』を繰り出し、辺り一体は先ほどよりも濃い白一色、白銀の世界へと表情を変えた。
「これで敵に見つからずにバルクのところへいけるわ」
 白銀の世界でもバルクの位置だけはわかった。
 彼の頭部に埋め込まれた緑色の機晶石の鈍い光は、白銀の世界でよく映えるからだ。
「……ありがとう」
 一言だけ礼を言い走り出したルニ。

バルクまでの距離、残り100メートル。

「来たね、主役が。さあ全力で援護するよ、クナイ」
「心得ました」
 ルニが走ってくるであろうラインにスタンバイしていた清泉 北都(いずみ・ほくと)クナイ・アヤシ(くない・あやし)が行動を開始。
 北都はルニに気付きそうな敵へ事前に『しびれ粉』を撒いておいた。
 だが住人も黙っているわけはない。
 闇雲に、がむしゃらに辺りを移動し始め、しっちゃかめっちゃかに魔法を撃つ、攻撃をし始めたのだ。
「狂喜乱舞、だね」
「北都、ルニ様が起こしになられましたよ」
「そう、それじゃしっかりエスコートしなきゃね」
「そうですねっ」
 ルニの前へいきなり飛び出たクナイ。何故。
 それは狂喜乱舞した住人たちの一人が偶然にもルニが走るラインへ割り込んできたからだ。
「……!」
「このような形でのご挨拶で失礼します。ルニ様、気にせず走り抜けてください。ここは引き受けますので」
「わかった」
「さて、そこなあなた様。バルク様ですが、頭に付いている機晶石を破壊すれば元に戻りますか?」
「知らないわよ!」
「では、質問を変えましょう。あなたはあの機晶石を守れ、と言われていますか?」
「……バルクを守れとしか言われていないわ」
 その言葉に『嘘感知』が反応する。
「嘘ですね」
「なっ!?」
「ルニ様、この方たちは機晶石を守れと何者かに言われています。つまり、あの機晶石を壊せば何らかの進展があるはずです」
「……」
 無言で頷きクナイを横を走り去るルニ。
「さあて、クナイに負けないように僕も頑張ろうかな。ルニちゃん、そのまま全速力で走っていくんだ」
 言われずもがな、ルニは鈍く光る緑色の地点へとひたすら走るだけ。
 程なくしてルニと北都がすれ違う。その一瞬、北都はルニへウィンクした。
 疑問に思うルニだったが足を止めることはなかった。
「よーし、行ったね? それじゃ発動ーっと」
 融合機晶石【ライトニングイエロー】を使用して体中に電気を纏う。
 一面銀世界の中で一際目立つ光。
 みるみるうちに北都の周りに住人たちが集まってくる。
「釣れた釣れた。大量だね」
「なるほど。囮ですか」
「ルニちゃんが主役だからね、ついでにもう一つ『ホワイトアウト』」
 更に視界が限定される。銀なのか、灰なのかの区別すら付かないほどに。
「さあ、周りは見えない。見えているのは僕らだけ。なら最初に始末しておいたほうがいいと思うけど?」
 その挑発にまんまと乗った住人たちが二人に襲い掛かる。
「あとは任せたよ、ルニちゃん」