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【歪な侵略者】鏡の国の戦争(第2回/全3回)

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【歪な侵略者】鏡の国の戦争(第2回/全3回)

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鏡の国の戦争 0


 兄弟達とは、一言も口を交わした事はない。
 仕方ない。もしも何かエラーが発生した時、それが伝染しないようにするためだ。
 兄弟と話をする事ができるのは、ここが本当にもう一つの世界であり、故郷と再び接触できないと判明し、そして眼下の青い星に降り立つ事ができた時だ。
 ああ、それにしても何もする事がない。
 今できる事は、ただ漫然と青い星を眺める事だけだ。
 それにしても、それにしたって、人間という生き物は変な生き物だ。
 必ず、どこかで戦争をしている。
 彼らが戦っているのは、異なる生物ではなく、人間だ。同種同士で殺し合いを続ける奇妙な生き物だ。
 何か致命的な、根源的に取り除けないエラーでも抱え込んでいるのだろうか。
 ―――。
 ――。
 ―。
 あ、そうか。
 あれは演習なんだ。
 ああやって、殺し合いの練習を重ねて重ねて、いずれくる侵略者に備えているんだ。
 そう考えれば、あんな貧弱な肉体なのに、武器をどんどん進化させ多様化させているのも納得だ。そんな立派な武器なんかなくったって、人間を殺すのは彼らにとっても簡単なはずなのに。
 だとしたら、彼らが備えている侵略者って誰なんだろう。
 僕達のことを知っているのかな、いいや、知っているわけがない。
 まぁ、いいや。
 せっかくだし、僕もやってみようかな。
 暇だし、ね。