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リアクション
Scene0
波羅蜜多実業高等学校。
その廃墟の入口に彼女は立っていた。
人目を引く美少女であるが、それよりももっと人の目を引いたのは、彼女のまとう衣装が肌もあらわにボロボロで、さらに血にまみれていたからだった。
「おい、どうした姉ちゃん!?」
そんな彼女の姿に驚いた王大鋸(わん・だーじゅ)が近づいて声をかける。
「はい? 私、マレーナと申します。今は……」
「ワンちゃんってば、あのボロボロのお姉さんといったい何をお話してるのかなぁ……」
そんなふたりの様子を晃月蒼(あきつき・あお)は、廃墟にそびえる壊れた時計台の影からそっとうかがっていた。
「それに何者なの?
はっ! まさかワンちゃんを誘惑してる?!」
「それは誤解でございましょう。そんなことよりも蒼様、波羅蜜多実業高等学校に行くのは危ないと何度申し上げたら……」
蒼がパラ実へ遊びに来るのを快く思わないレイ・コンラッド(れい・こんらっど)が言うが、蒼は王たちの様子に夢中で見向きもしない。
以前、空京で王を見かけてそのファッションセンスだか髪型のセンスだかにある意味惚れ込んで以来、何かと王を追っている蒼なのだ。
「蒼様――――」
「そんなの、ワタシが許さないんだからぁ!!」
レイが何か言い募ろうとするが、聞いちゃいねぇ……
「辛かったんだろうな、それ以上言わなくていいぜ……許せねぇ。俺たちはワルだ。だが、やっていい事と悪い事があるだろうがっ!」
一方の王は、マレーナの身に起こったことを(勝手に)解釈して怒りをあらわにしていた。
「よし、俺様が仇を討ってやるぜ!!」
王は叫ぶなり集まってきていた野次馬達を蹴散らして壊れた校門から飛び出していった。
「あの、そういうわけでは……」
その後をマレーナが困ったように追いかける。
なんだか自分のせいでとんでもないことが起こりそうだ。
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