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ヴァイシャリーの夜の華

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ヴァイシャリーの夜の華

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第5章 迎える朝

「ご来場有難う御座いました。夜道には気をつけてお帰り下さい」
 イルミンスールの織機 誠(おりはた・まこと)は、最後まで残り会場の片付けを手伝っていた。
「明日、生徒会のメンバーでやっておくから大丈夫ですよ」
「いえ、こういうのは男がやった方が早く片付きますので。本来此処は男子禁制ですものね」
 生徒達と通りかかった神楽崎優子の言葉に、誠はそう応えてパイプ椅子を一度に複数抱えて持ち運ぶ。
 そうして全ての来場者を見送り、片付けを終えた後、いくつかゴミ袋を空飛ぶ箒に括りつけ、誠も百合園女学院を発った。
「ココは女も街も綺麗で良いトコだけど、俺みたいな日陰者には眩しすぎんだよなぁ……」
 夜のヴァイシャリーはまだ輝いていた。
 校長の桜井静香やラズィーヤ、生徒会のメンバーはまだ校門前に残っている。
 誠の姿に気付き、静香が手を振ってくる。
「桜井校長、招待ありがとな。良い夢だったぜ」
 手を軽く上げて応え、笑みを残して誠はイルミンスールの方へと飛んでいく。

「イロイロ大変だったけど、楽しかったなー!」
 パラ実の魅世瑠は身体をぐーっと伸ばした。
 奇抜すぎる服装では入れないということで4人とも『普段着』で向かい、王 大鋸(わん・だーじゅ)シー・イー(しー・いー)も一緒に、パラ実のスペースで仲間達と馬鹿騒ぎを楽しんだ。
 飲食物も無償だったし、お土産も沢山もらったため、カツアゲに走るものもいなかったようだ。
「楽しかったなー、わんちゃん♪」
「久し振りにダチにも会えたしねぇ、わんちゃん」
 魅世瑠とフローレンスが、同時に王 大鋸(わん・だーじゅ)に声をかけた……が、勿論。
「だれが、わんちゃんだぁ!?」
 ヤバイと口を塞ぐももう遅し!
「ま、まて」
 慌てて言い訳を始める。
「は、話せば解る、きんちゃ……いや、わん、じゃなくて、キング様!」
「そう、ちょっと犬が通りかかっただけで!」
「先にキマクに帰ってろやぁぁぁ!!」
 聞く耳持たず、王は隠し持っていた釘バッドを取り出し、魅世瑠とフローレンスを立て続けにホームラン!

 見事2人の女性は夜空の華と散りました。
 そうして、ヴァイシャリーの夜にパラ実の華も激しく咲いたのでした。

○    ○    ○    ○


 数日後、百合園女学院の掲示板に、花火観賞会の写真が飾られた。

 シャンバラ教導団の制服を纏い、完成から発動まで長期間に渡り花火の設置を手伝う教導団の生徒の姿。
 『LOVE OUR パラミタ』の上りを立てて、イルミンスールの素材から作ったかき氷を配る少女達の姿。
 薔薇の学舎の校章と、『世界平和』という文字の仕掛け花火。
 花火をバックに沢山の人々が集まって撮った、集合写真。全員の胸に、小さな花の造花が飾られている。
 最後にヴァイシャリーの夜空に咲いた、パラ実の華2輪。

 会場で学校関係なく楽しむ若者達の姿。
 花火を肩を寄せ合い見る人々。
 そこは、争いなんて無縁の世界に見えた――。

 写真を提供したのは、主に蒼空学園のエドワードだ。
 百合園女学院から他の学校にも写真が送られ、しばらくの間、全ての学校の掲示板に飾られていたという。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございます、担当の川岸です。
皆様が花火を楽しむ様子に、私もとても癒されました。
また来年も、全ての学校の生徒で集まって、こんな場をもてたらいいなと桜井静香と共に私も思っております。

【お知らせ】
川岸の次のシナリオは、9月18日(金)に、『狙われた乙女〜別荘編〜(第2回/全3回)』(コメディ)を予定しております。
どうぞよろしくお願いいたします。