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全学連『総蜂起!強制退学実力阻止闘争』

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全学連『総蜂起!強制退学実力阻止闘争』

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 その頃空京大学の学食にて。
 大学で起こった事件を受けて、日村教授の取った行動を良しとしないまでも、かといって実力闘争には否定的な者たち、いわゆる「穏健派」たちが、Aランチを食べながら策を練っていた。ちなみにAランチは390円、Bランチは490円である。
「まったく、日村も茜も困ったもんだね」
 そう切り出したのは空京大生の如月 正悟(きさらぎ・しょうご)だった。
「屋上に赤旗掲げて全学連って、古ぼけた共産革命運動をそのまま持ち込むとは、これじゃ道化だよ」
「でもさぁ如月さん、日村の言ってるコト聞いてると頭に来るのわかる気がするよ? 何千年も昔に文明を築いていたパラミタとサルだった人類と、どっちが高等よ? ってね」
 朝野 未沙(あさの・みさ)が横から口を挟む。
「まったくだ。日村だかヒムラーだかしらねぇけどよ、あんなのをのさばらせといちゃ地球人の恥だぜ。あと、あらかじめ言っとくが、俺はアキラじゃなくてアクィラだからな?」
「いや、誰も聞いてないってば。まだ」
 未沙のツッコミにアクィラ・グラッツィアーニ(あくぃら・ぐらっつぃあーに)は苦笑いする。
「何にせよ、私は認めぬよ? 南野茜が『解体』した私たちの自治会を」
 空京大公認の自治会、つまりは日村のバカ孫が会長を務めていた自治会のメンバーの夜薙 綾香(やなぎ・あやか)はそう牽制した。
「でもよ、日村栄作会長のアレはナシだろ?」
「私の知ったことではない。あれは会長の独断だよ」
「えーそれって怠慢じゃない?」
「ちょっとまって。私がみんなに集まってもらったのは日村名誉教授を追放しつつ、サークル棟のバリケードを穏便に解体することなの。そのためには協力し合わないと」
 宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)はなだめるように言う。
「何かいい方法はないかしらね」
「日村教授に直接文句言いに行こうよ! それで論理的に日村教授の理論の矛盾を暴き出して、徹底的にへこませてやるの」
「ダメね。日村は表向き、今回の一件と自分の優性思想を無関係だって言ってるし」
アクリト・シーカー(あくりと・しーかー)学長に直談判ではどうかな? そして自治会は私、夜薙 綾香が臨時に会長代行を勤める」
「それもダメね。学内には教授たちで構成される教授会と、大学の出資者による理事会、そしてシーカー学長がいるじゃない? 教授会には世界各国がそれぞれの思惑で学者を送り込んでるから、学長や御神楽 環菜(みかぐら・かんな)ら理事会が絶対的な人事権を持ってるわけではないのよ」
「いっそ、教授をこっちで安全に『保護』してしまうってのはどうかな」
「それは最後の手段ね……」
「じゃあどうするってんだよ? いっそ、大昔の学生運動真似て『大衆団交』ってヤツでも持ちかけてみるか?」
 アクィラがそう言うと祥子はニッと笑って、
「それ、イイかもしれない」
 と、言った。