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サルサルぱにっく! IN南国スパリゾート!!

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サルサルぱにっく! IN南国スパリゾート!!

リアクション

「彩蓮という犠牲が出てしまったわけですが……」
「誰のせいですか、誰の」
 一条の言葉に、口笛を吹いて誤魔化すルカルカ。
「金さんの着替えはどうしましょうか……」
 美緒がそう言った直後、
「ふぅーっ」
「ひゃ!?」
背後から突然耳に息を吹きかけられ、美緒が驚き振り返る。
「あ、亜璃珠さん!?」
「はぁい、美緒のお姉様、亜璃珠さんよ♪」
 ひらひらと手を振りながら現れたのは崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)だった。
「み、耳に息を吹きかけるのはやめてくださいとあれほど言ったではありませんか! そ、それよりどうしたのですか!?」
「いえね、何やら面白そうな事をしてそうだったので来てみたのよ……あら、珍しい格好ですわね金団長?」
「ああ、色々あったのだよ」
「ふむ……悪くはありませんわ。いい身体していらっしゃる」
 亜璃珠が言うと、一条とルカルカが鋭峰の前に立つ。
「団長をいやらしい目で見ないでいただけますか?」
「あら、そんな目をした憶えはないのですが……所で着替えないのですか?」
「生憎着替えが無いのだよ」
「あらあら、困りましたわね……仕方がありませんわ。美緒、これを食べなさい」
 そういうと、亜璃珠は何処からかバナナを取り出した。
「……あの、何故バナナを?」
「生憎手持ちはこれしかないの。こうなったら現状で出来る事は一つ……」
 カッと目を見開き、亜璃珠が言った。
「金団長のアレにバナナの皮を被せるしかないわね!」
「……はぁ」
『まーた始まった』という眼でラナが亜璃珠を見る。こうなったら止められないのを良く知っている。
「美緒、これしか手は無いの。仕方ないのよ。さあ、早く食べなさい?」
「あ、あの、亜璃珠さん?」
「簡単に噛み切っちゃ駄目。こう、両手で握ってお口で咥えるのがポイントよ。さぁ、やって御覧なさい?」
「ちょ……こ、怖いですよ亜璃珠さん!」
 迫り来る亜璃珠に美緒が身を引くが、それでもぐいっと迫ってくる。
「乙女はいつか淑女になるものよ。それは自然な事、何も怖くないわ。ほら、お口いっぱいに咥えて……上目遣いを忘れては駄目よ?」
 そろそろ止めるべきか、とラナが思った時だった。
「「ちょっと待ったーッ!」」
 一条とルカルカが我慢できないとばかりに、亜璃珠に突っかかる。
「あら、何かしら?」
 二人は目を見開き、亜璃珠に言った。
「「団長のアレがバナナの皮如きで隠せるわけがないでしょうが!」」
「あら、そんなに凄いの?」
「当たり前じゃないですか! 団長ですよ!?」
「それはもうグレイツだよ! 決まっているじゃない!」
 一条とルカルカがまくし立てる。 
「あら、それじゃ確認する必要がありますわね。金団長、ちょっと失礼……」
「ってどさくさに紛れて何しようとしてんですか!?」
 
「……あの、ラナ? 何故耳を?」
「美緒、貴女だけは私が護りますから……護りますから……!」
 この場でせめて美緒だけは清い乙女でいてもらいたい。美緒の耳を塞いだのは、そんなラナの親心だった。
 
「大体ですね……団長、どうしました?」
 一条が鋭峰の様子が変わったことに気づいた。
「……何か来る」
 突如、気配を察知した鋭峰が呟く。
 その言葉通り、ドタドタと走る音が聞こえてきた。
「美緒ーッ!」
 現れたのは、ブルタ・バルチャ(ぶるた・ばるちゃ)だった。
「「撃てぇーッ!」」
「ぎゃあああああああッ!」
 そして即座にルカルカと一条の集中砲火を浴びせられた。
「殺ったか!?」
「い、いきなり何をするんだ!」
「ちぃッ! しぶとい奴です! 団長、下がっていてください! 速やかに敵を殲滅――」
「ボクは敵なんかじゃない! それに、用があるのは美緒にだ!」
「わ、私ですの!?」
 いきなり話を振られ、美緒が驚く。
「あの、一体どのようなご用件で……?」
「あ、ああ! ボクが来たからにはもう安心だ!」
「安心? あの、一体何の話……」
「ボクが君の水着代わりになる!」
「……は?」
 ブルタの言葉に、美緒は首を傾げた。
「あの、一体何の話かと……」
「美緒が赤モンキーに水着を盗まれたと聞いたときは、それはそれは驚いたよ!」
「えぇ!?」
 ブルタの言葉に、美緒は驚く。どうやら、ブルタは美緒が水着を取られたのだと勘違いしているようであった。
「そ、それは私では……」
「ボクの身体は今魔鎧だ。美緒の水着になる事に造作はない!」
「あ、あの……ですから私は……ら、ラナ……どうしたらいいのでしょうか?」
 全く話を聞かないブルタに、困った顔で美緒がラナに視線を送る。ラナは溜息を吐いた。
「ふぅ……いいですか? あのですね……」
「君のその身体に合う水着を探すのは大変だと思う。しかし魔鎧ならばその心配は無い! 美緒の身体にフィットするようカスタマイズできるからね!」
「いえ、ですから魔鎧は……」
 ブルタは全く話を聞いていないどころか、ドンドンと暴走は加速を続ける。
「身体を失った時は流石に落ち込んだけど、こんな展開になるなんてボクは今感動すら覚え――」
「ちょっとは話を聞きなさい」
「ぶふぉっ!」
 亜璃珠がブルタを蹴り飛ばし暴走を止めた。
「い、いきなり酷いじゃないか!」
「話を聞かないからよ。ラナが困っているじゃないの。ほらラナ、言ってやりなさい」
「あ、あの……ブルタさん、ですか?」
「な、なんだ?」
「美緒は水着を無くしていません。無くしたのは金さんです」
「……え?」
 そこで漸く、ブルタは美緒が水着を着ていることに気づいた。
「それにですね……魔鎧というのは、他のパートナーの魔鎧は装着できない仕組みになっているのですよ?」
「……え? ど、どういうこと?」
「いえ、ですから。美緒の場合は私がいますので、貴方を装着する事ができないのですよ」
「な、何だと……!? そ、それじゃ、ボクは一体何のためにこの身体になったというんだぁーッ!」
 ブルタは吼えた。そして呪った。運命というか、設定とやらを。
 そんな彼を見て、鋭峰は思案顔になる。
「……ふむ、魔鎧か。ならば、私の――」
「「それだけはさせません! 今すぐ着替えは買ってきますから先走らないで下さいッ!」」
 鋭峰の言葉を遮るように、ルカルカとアリーセが叫んだ。