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【S@MP】シャンバラ復興チャリティー音楽祭

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【S@MP】シャンバラ復興チャリティー音楽祭

リアクション





9



 さて、ここで観客席に目を向けてみよう。
 ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は音痴が治ったということもあって音楽が楽しくなってきていた。
 まだプレイヤーとして出演したいとは思えないが、音楽に合わせながらからだを動かしている。
 そしてミルディアは今までのプレイの中で一番フランツ・シューベルトのピアノに感動したようだった。
 正当音楽たるクラシック。そのクラシックの名人シューベルトが奏でる巨匠ベートーヴェンのピアノソナタ月光。
 それは正当であるがゆえに聞く者すべてに感銘を与える。ミルディアは
「ほえ〜、すごいな〜」
 とただただ感動するばかりであった。

 メモリカード 『イ・ティエン』(めもりかーど・いてぃえん)
「この経験を力にして、強力な魔道書になりたいであります!
それを抜きにしても実際にコンサートに行くのは初めてだから、誠に楽しみであります!」
 と始まる前からコンサートを楽しみにしていた。
 うちわ・鉢巻き、ハッピというちょっと間違ったアイドルコンサートの応援の仕方で音楽に乗りながら騒いでいた。
 パートナーの夢見とルークと共に。
「ねえねえ、ルーク、夢見と狭いコクピットに二人きりでどうだった? 興奮した?」
 つい悪乗りしてそんなことを尋ねてみる。
「ば、ばか。緊張しただけだよ」
 女性の相手が苦手なルークはそう言って顔を赤くした。
「ふふ、ルーク可愛い。強化人間の皆さん、楽しんでます?」
 夢見が特等席で強化人間たちに尋ねる。
「ああ、なかなかにな」
 そう答えたのはウリエルという強化人間だった。
 PINKY☆UMAの演奏が始まるとイ・ティエンはノリノリになって声援を送った。
 そしてお菓子が降ってくると手を伸ばしてそれらを掴みとる。
「素晴らしいであります。お菓子であります」
 そしてその反対側では山葉 涼司(やまは・りょうじ)、加夜、カノンたちが楽しんでいた。
「ねえ、涼司くん、私はもう大丈夫だからね。レオもいるし」
「そっか。よかった」
「加夜さんに言ったけどさ、涼司くんってあたしのお兄ちゃんだよね。だからこれからはお兄ちゃんて呼ぶから。加夜さんはお姉ちゃんって呼ぶ」
「お兄ちゃんか、照れるな」
「いいじゃないですか涼司さん」
 花音がそう言う。
 そこにベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が入ってきた。
「涼司さんは、カノンさんのお兄さんなんですから……こんなときくらい、カノンさんを甘えさせてあげてもバチは当たらないと思いますよ」
「そうだな。カノン、加夜の反対側にこい、一緒に観よう」
「うん、涼司お兄ちゃん」
 それを見て強化人間曰く。
「カノン様、幸せそうだな」
「そうだな。我らではカノン様を幸せにすることはできなかった。悲しいことにな」
「平等院鳳凰堂と山葉に任せるしかあるまい」
「そうだな」
「レオ、これからカノンをよろしく頼むぜ」
「はい」
「でもレオ、お友達からよ。あたしの恋人になるにはまだまだ未熟。まあ、操縦技術は認めてあげてもいいけどね。生身の強さもなかなかだし」
「じゃあ、どうすれば恋人にしてくれるのさ」
「騎士を名乗っているうちはまだダメよ。騎士はお姫様を守れるけど、お姫様と一緒にはなれないの。お姫様を娶りたいなら、王子様になってね」
「わかったよ……」
「そういや、ルカルカそっくりのお前はルカルカのパートナーだっけ?」
 涼司がルカ・アコーディング(るか・あこーでぃんぐ)に尋ねる。
「そうですミスター山葉。ルカに習って涼司と呼びますね。私は通称ルカアコ、またはアコ。正式名はEvangelium Secundum Lucamです。アコと呼んでください。今回は照明スタッフをやってるんですけど、ちょっと抜けだしてきました。挨拶をしないとと思って」
「そうか。よろしく、アコ」
「よろしくお願いします、涼司」
「しかしあれだな、ルカルカの新型機、ありゃすごいな」
「そうですね。異世界の産物だそうですが。今回はあれのお披露目にと思って……」
「なるほど」
「それに、ルカは平和を願う故に率先して戦い、人を殺すこともできる。その覚悟を涼司にも知って欲しかったんです」
「ふむ。その輝きは豪華絢爛。死を呼ぶ舞踏……か」
「なんですか、それは?」
「伝承だ。ナポレオンがそう呼ばれていたという。明日を呼ぶ騒々しい足音、未来へとつながる希望。戦わないものに明日を掴みとる資格はない」
「ルカは未来を掴み取れるでしょうか?」
「ああ、あの強さならな。保証する」
「ありがとうございます、涼司」
「いや、いいさ」
 涼司は、微笑んだ。
「さて、そろそろルカルカの出番だぞ」
「それでは私も照明に戻ります」
「んじゃなー」
「はい。失礼します」

 そして、S@MPの出番がやってきた。