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四季の彩り・ぷち~海と砂とカナヅチと~

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四季の彩り・ぷち~海と砂とカナヅチと~
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リアクション

 
 
「ルミーナさん、ちょっと外に出ませんか?」
 家族での夕食も終わり、冷たいお茶で寛ぐ時間、風祭 隼人(かざまつり・はやと)ルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)を誘って外へ出た。歩きにくそうにしている彼女の手を取って、先へ進む。
「足元は危ないから、気をつけてくださいね」
 辿り着いた先は――
「ここは……」
 そこは、ちょっとした高台だった。人家の光も電灯も何も無い、自然に在るものだけが静かに息をする場所。
 静かに凪ぐ海に、瞬く星と月が映っているのが見えた。
 空を見上げれば、全く同じ星と月が浮かんでいる。
 自然に出来たシンメトリー。
 ――否、揺れる波に白い影も揺れるから本当のシンメトリーとはいえないけれど。
「……綺麗、ですね……」
 潮風に流れる長い髪を押さえながら、ルミーナは呟いた。
「この景色を、ルミーナさんと一緒に見たかったんだ」
 そう言って、隼人はさり気なくルミーナの肩を抱く。途端、驚いたように彼女は彼を見返した。その瞳に、一瞬の迷いが生まれる。
「隼人さん、私は……」
「いいんだ」
 隼人は海を見ながら、穏やかに言う。分かっている。次に続く言葉はきっと――まだ、自分の望む言葉ではない。だけど、想いを伝えるのは、自由だから。
「ようやく、ルミーナさんと一緒に過ごせる日常を取り戻すことが出来た。俺はこれからも、改めて楽しい思い出を沢山作りたいと思ってる」
 ――だからこれからも、退くことはない。
「俺は昔も今もこれからも、ルミーナさんが大好きだから」

              ◇◇◇◇◇◇

 砂浜に設置されたテーブルの1つで、博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)リンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)と夜のひとときを送っていた。中央に置かれた大きめのトロピカルジュースを挟み向かい合い、1日の思い出を振り返っていた。
「そんなこともあったねー。博季くん、よく見てるなあ」
 博季の話に、リンネは楽しそうに頷き返す。その笑顔を見ながら、博季は思う。海岸で過ごす、何でもない時間。だけどとても貴重な時間。1日思いきり遊んで、難しい事とか全部忘れさせてあげたかった。……何か変な生き物とか巨大ワイバーンとかも居たけど、それは忘れよう。
 彼女のことだけ考え、彼女だけを見て、とにかく、笑顔を絶やさずに面白そうなことをは端からやってみて、遊びつくす。
 こういう時くらい、彼女を普通の女の子でいさせてあげたい。
 普通の女の子の幸せを、味わって欲しい。
 ――リンネさん、楽しんでくれたかな?
「海で出来ることは大体やったよね。水かけっこして、たくさん泳いで……」
「貝殻を拾ったりもしましたね。それで、波打ち際でいろいろと落書きしたり」
「ねー、あ、そういえば、朝は博季くん、よくきょろきょろしてたよね。何か面白いものでもあったの?」
「あ……は、はい。面白い遊びはないかなーって」
 聞かれて、博季は少し慌てる。
 今は普段着でキャミソール姿だけれど、太陽の出ている時間、当然ながらリンネは水着姿で。それが目に焼きついて離れなくて、しばらく直視できなかった。どうやら、彼女にはバレてないみたいだけど。
「どうしたの? 顔赤いよ?」
「そ、そうですか? あ、でも……リンネさんもちょっと、赤いですよ」
「え? そうかな?」
 そう、流石に昼間の熱は引いているけれど、リンネの頬はほんのりと赤くなっているような気がする。
 リンネは、急ぐように残っているジュースを飲み始めた。博季ももう1本のストローに口をつけ、一緒に飲む。
 空になったグラスの中で、氷がからん、と鳴った。

「朝から楽しかったよ。こんなに遊んだのは久しぶりかな」
 帰り道。リンネは博季のローブを肩にかけ、サンダルを手に引っ掛けて裸足で歩いていた。風も砂も、夜は冷える。
 7月初めの1日も終わり、今は、2日。
(……そういえばリンネさん、日焼けとか大丈夫かな……? 日焼け止めきちんと塗ってあげたし……大丈夫だといいな)
 そんなことを考えながら並んで歩き、しばらく。
 2人の歩みは、徐々に遅くなる。
 帰る場所は、一緒。でも……この1日をまだ終わらせたくない。そんな気持ちが、どこかにあったのかもしれない。
「博季くん……」
「リンネさん……」
 やがてお互いに足を止め――2人は砂浜で見つめあった。ゆっくりと、キスをする。
 唇を離し、リンネは博季に笑いかけた。
「今日はありがとう。……こうやって、これからも季節毎の楽しいこと、一緒にやっていこうね」
「……はい。これからも」
 これから、ずっと。
「また明日から頑張ろう」
 眠って朝が来たら、また忙しい毎日が始まる。




                                  (END)
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

この度も大変お待たせしてしまい、本当に申し訳ありません。
マスターページでイベシナで遅刻したらまずいと思いますとか書いておいて何日遅刻してんだよ、と本気でもう猛反省しております。重ねて、申し訳ありませんでした。

そして、本文ですが……。
イベシナということはお忘れください(汗
コメディというジャンルもお忘れください(汗

なんだろうこの文量……。
まあ文量は兎も角、ジャンルに関しては、海とかではやっぱりはっちゃけるより日常を過ごしたいのかなー、という印象を受けました。今回初めて公式NPCを登場可にしてみましたが、こちらもこれまで全然関わっていなかった蒼フロのキャラ世界にも関われて新鮮な気分で書くことが出来ました。(普段はイルミン蒼学しか書いてないので^^;)

今後の予定については、様々な面でまたじっくりと考え、後日マスターページにてお知らせしたいと思います。

今回、個別コメントは称号、質問返信など連絡事項がある方のみにつけさせていただきました。私信等、ありがとうございます。いつも、心がほっこりします。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!