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リアクション
●C−Dayに便乗する者達
「いやぁ〜〜!! 胸マッサージするのやめてぇ〜!!」
「やめてと言われてやめたら、エロ神は要らないのじゃ! マッサージしてマッサージしてマッサージしまくってやるのじゃ! わらわはエロ神! わらわの前後にはエロしか無いのじゃ!」
その頃、郁乃と買い物に来ていた秋月 桃花(あきづき・とうか)はC−Dayの混乱の中、彼女とはぐれてしまっていた。
「そこのきょぬ〜!!」
と声を掛けたのは、医心方 房内(いしんぼう・ぼうない)だった。
一瞬、噂のきょぬー狩りと思って身構えた桃花だったが、前髪ぱっつんロングで可愛らしい房内の姿に安心し、胸を撫で下ろした。
しかし、警戒を解いたのが良くなかった。
気が付けばここは路地裏だし、鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)と常闇 夜月(とこやみ・よづき)、鬼龍 白羽(きりゅう・しらは)に半ば囲まれていた。
得も言われぬ気配に桃花が思わず後退ろうとするより早く、房内は彼女の豊かな胸にダイブしていたのだった!
「これはええ乳じゃ。そなた、子を授かったら良い母乳が出るぞ。その時もっと出が良くなるよう、わらわがたんとマッサージしてやろう」
「ひゃぁああん!? まだ母乳なんて出ません〜。桃花の胸をマッサージしていいのは郁乃様だけなんですぅ〜」
「良いではないか良いではないか〜。わらわはエロ神! 伊達や酔狂で名乗ってる訳じゃないのじゃ!! このままそなたを高天原の頂へと登らせてやるのじゃ♪」
「はぁああぁぁ……ふぁひゃぁん……」
強弱を付け、リズミカルにマッサージする房内。
最初は嫌がっていた桃花も、頬をさくらんぼ色に染め、目は潤み、顎を反り上げて熱い吐息を漏らす唇は唾液が糸を引くようになっていた。
「エロ本……すご。気持ちいいとあんな表情になっちゃうんだ……」
「きょぬー狩りがあると聞いて、エロ神様が興奮していましたからね。たまにはストレス解消させたげないと……と思っていましたが、マッサージだけでこれ程とは……エロ神様の実力は相当のもののようですね。幸い命に別状のある行動を取ろうとしている訳ではないみたいですし」
白羽も年頃(?)の女の子。房内が雑談のように話すエッチな話は苦手でも、それ自体には興味津々だった。
房内と桃花の艶姿に手で顔を覆いつつ、指の隙間からこっそりのぞき見していた。
一方、いつものように房内に弄られている貴仁は慣れっこで、いつもはある程度自重している(とうそぶいている)房内の実力を知りたがっていた。
「それにしても……立派な方って結構いるんですよね。私には無いのに……」
夜月はちんまりした自分の胸と、房内の手の中で弾む桃花の胸を交互に見比べていた。
「どうすれば大きくなれるのか、聞いてみたいです。望みは……あるかもしれません」
「そんなの決まっておるのじゃ。毎晩のように主様に、この女子(おなご)のようにマッサージしてもらえばいいのじゃ♪」
「こ、こらエロ神様、夜月ちゃんに余計なこと吹き込まないで下さいよ」
夜月に余計なアドバイスをする房内を、貴仁は慌てて遮る。
「ひゃぅうんっ……桃花はぁ……桃花はぁ……」
「高天原の頂は目の前のようじゃな♪ 逝くがよい、高天原の頂へ! わらわの前にはエロしかなく、後ろにもエロしかないのじゃ!! 良い子にも悪い子にもちっぱいにもきょぬーにもわらわのマッサージの前には等しく高天原の頂へ登り詰めるのじゃあアア!!!!!!」
「も、もう……ゆ、許して……あ、あう!!」
桃花がうわごとのように首を激しく左右に振る。
その表情、仕種、声音、そして桃花の全身から立ち上る汗が混じった甘酸っぱい体臭。
房内その全てに満足した。
「お前ら! そこで何をしている!?」
駆け付けた橘 恭司(たちばな・きょうじ)が見たものは、肩で息をして全身弛緩し、房内に身体を預けている桃花の姿だった。
恭司は空京にある“(株)特殊配送行ゆるネコパラミタ”本社に向っている最中だった。
路地裏から女性の悲鳴が聞こえて駆け付けたところ、房内達を見つけたのだった。
「先程から公共の電波をジャックして『ちっぱいの敵に鉄槌を!』を叫んでいるのはお前らの仲間か!? まったく……女性は胸ではなく、如何なる時も寄り添っていけるかどうかだろうに。これ以上女性の尊厳を踏み躙らせる訳にもいかん」
恭司はウルクの剣を二刀抜いて両手に構えた。
「鉄槌か、そんなに下したいなら俺が下してやるよ……お前らにな!」
一気に肉薄し、房内に迫る!
貴仁が悪霊狩りの刀で、白羽がイーグルフェイクで、2人掛かりで恭司を止めた。
「エロ神様が勘違いさせて悪いけど、俺達はちっぱい教でもきょぬー狩りでもない」
「ごめんね恭司、エロ本が調子に乗っちゃってさ。反省してる」
「白羽!?」
白羽は“(株)特殊配送行ゆるネコパラミタ”のメンバーの1人だ。
知り合いの姿に、恭司は驚きを隠せない。
「あぅ……たっぷりと胸を堪能されて……気持ちよすぎてお花畑が見えちゃいましたけど……桃花は穢されちゃいました……」
「と言っているが?」
「エロ本のマッサージだし、同性だから穢されてないわ、ノーカンよ、ノーカン」
「分かった。実際にちっぱい教に狩られるよりは幾分マシだろうからな。この娘は俺が責任を持ってパートナーに届けるよ」
恭司はウルクの剣を鞘に収めると、桃花と白羽の言い分を聞いた上で、貴仁達を見逃すことにした。
桃花をおんぶすると、表通りの方へ向かって歩き出した。
この後、恭司がちっぱい教の同志達を張り切って狩ったのは言うまでもない。
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