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リアクション
■■■Nights of Reckoning(2)
35ターン。
真奈美はカードを1枚引く。
真奈美
残りライフ 1000
手札 5枚
クリーチャー
鈴木周
アルツール・ライヘンベルガー
佐野亮司
仮面ツァンダーソークー1(風森巽)
ラドゥ
残りライフ 300
手札 4枚
クリーチャー
佐伯梓(ヒーロー)
セオボルト・フィッツジェラルド(芋ケンピ2個)
リュミエール・ミエル
鬼院尋人
マティエ・エニュール
「どうやらここが正念場だな」
「さて、どうであろう」
「まずは『鈴木周』でアタックだ!」
「邪魔だ、芋ケンピを食らって消えろ!」
セオボルトの芋ケンピが2個消費されたその一瞬。
「トラップカード発動! 『それは自称設定です!』」
効果:相手のクリーチャー1体、または魔法カード1枚の効果を無効にする。
その後、相手プレイヤーは「すいません自称設定でした! てへっ☆」と言わなければならない。
「カードゲームで定番の無効化系カウンターカードですよっ。
殺伐としないようにおまけで可愛い効果付きです!」
ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)が解説してくれた。
ラドゥは屈辱に肩を震わせながら、
「す……すいません……じ、自称……設定でした! てへえっ★!」
と叫ぶ。
芋ケンピを失ったセオボルトは墓地に送られた。
真奈美は勢いに乗って次のトラップカードを発動させる!
「トラップカード『わたくしが出るまでもありませんわね』!
このカードは任意の女性クリーチャーを手札に戻す!
対象は『マティエ』、これで戦闘力への修正は失われる!!」
元々はイグテシア・ミュドリャゼンカ(いぐてしあ・みゅどりゃぜんか)の決めセリフが元になったとされるカードだが、イグテシアが使っている光景は今まで見られていない。
ともかくマティエ・エニュールはラドゥの手札に戻された。
「だが問題ない、『鬼院尋人』でブロックだ」
戦闘力 鈴木周 戦闘力6000
戦闘力 鬼院尋人 戦闘力6100
『鈴木周』の特殊効果
血闘場にいる女性(プレイヤー以外でも可)が
履いている下着について情報を1つ開示するごとに戦闘力に+500。
この効果は戦闘直前に発動でき、戦闘の直後、このカードは破壊される。
鼻血で。
「ペールグリーン」
真奈美がぼそっと言うと、興奮した周が一撃で尋人を叩き伏せた!
が、直後に周も墓地送りに(原因・出血多量)。
しかし。
「こんなことで倒れるわけにはいかない……
イエニチェリの名にかけて……!」
倒されたはずの尋人が、再び起き上がってくるではないか!
そのまわりには青い薔薇が咲き乱れている。
違う。
薔薇はあくまで幻覚にすぎない。
尋人との存在感が、まるで薔薇のように感じられるのだ。
リュミエール・ミエルの特殊効果、『青薔薇』であった。
『青薔薇』
効果:場にいる味方の薔薇学生のクリーチャーは
耽美効果で致命傷を一度だけ耐える事ができる。
「な、なんだってー!?」
動揺する真奈美だが、ここで攻めの手を緩めるわけにはいかない。
次のターンになればマティエが戻ってくる!
「『ソークー1』の変身を解除、『風森巽』に戻してアタック!」
いまこの場で最大の戦闘力を持つクリーチャーは、事実上無力化されている佐伯梓を除けば、ソークー1/風森巽の6400。
これで尋人かリュミエールを倒せれば勝利と言っていい!
「バカめ。
セオボルトが残していったのは『芋ケンピ』などではない。
きゃつのパートナーこそが最大の贈り物だったのだ。
トラップカード『串刺粛清領域』(カズィクル・ベイ)」
セオボルトのパートナー、吸血公ヴラド・ツェペシュ(ぶらど・つぇぺしゅ)の行いを記したカードである。
『串刺粛清領域』
効果:全ての場に存在する「レベル30以下」の「飛行を持たないクリーチャー」を全て破壊する。
敵の場に存在する「レベル31以上」の「飛行を持たないクリーチャー」の戦闘力を半分にする。
このカードを使用するにはこの「コントローラーのライフ」が「相手のライフより少ない状態」でしか使用出来ない。
このカードを使用したコントローラーはライフの半分を失う。
【フレーバーテキスト】
何かがおかしい……、我々の常識が此処では通用しない……。
私はどんな人間も恐ろしく無いが、悪魔だけは別だ……。
――征服帝メフメト2世
「機会を覗っていたのだがな、貴様がライフを削ってカードをドローするもので、手札に腐らせていたのだ。
しかしセオボルトにライフを支払ったことで、とうとう使う機会を得たというわけだ……!」
『串刺粛清領域』によって、風森巽は戦闘力は3200に低下!
リュミエールの光条兵器が風森巽を打ち貫く。
次のターンにラドゥがマティエを再度召喚することを考えると、これを止める手立てはない。
「参りました」
35ターン、ラドゥ・イシュトヴァーンの辛勝であった。
「おぬしならきっとやれると、わらわは信じておったぞ」
悠久ノ カナタは満足気に頷いた。