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リアクション
コメディタイム
霧丘 陽(きりおか・よう)は受け取ったチラシを見た。
「へ〜、開店500日パーティ? 面白そう。寄ってみようかな」
その呟きを耳にし、近くでやはりチラシを貰った長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が声をかける。
「開店500日記念パーティー……面白そうなので俺らも行くつもりなんだけど。
良かったら一緒に行かないか?」
淳二のパートナー、ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)も言う。
「にぎやかな方が楽しそうですしね」
「そうだね、あ、そうだ。僕のパートナーもこういうの好きそうだし、召還していいかな?」
「もちろん」
淳二とミーナの承諾を得、陽はアイス・シトリン(あいす・しとりん)を召還した。
「いきなり呼び出されたと思ったら、カフェのパーティですか?
いいですよ、ご一緒しましょう」
カフェへ向かう途中、柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)が声をかけてきた。
「このあたりにたまカフェという店があると聞いてきたのだが……ご存じないか?」
「私達もそこへ行くの。良かったらご一緒に」
「これはありがたい」
氷藍はパートナーの真田 幸村(さなだ・ゆきむら)と徳川 家康(とくがわ・いえやす)がカフェでバイトをするといっていたので、心配して様子を見に来たのである。
(ちょっとあとでオーナーにも話を伺ってみよう。
もし何かやらかしてたら詫びなければならんだろうしな……)
黒のシックなパンツに抹茶色のカフェエプロンという、渋めの姿の抹茶ラテの家康が、案内に出てきた。
……やはり接客業というものは苦手じゃな。
何だって儂がこんな不特定多数の人間の気を伺わねばならぬのじゃ。
しかしまあ与えられた仕事はきっちりとこなそうぞ)
「お、お席の方へご案内させていただきます……」
4人はどこかぎこちない動作の家康に案内され席についた。ミーナが家康の後姿を見ながら言った。
「ここの制服、ほんとにどれも可愛いですよね。
全部ドリンクをイメージ下名前が付けられているんですって」
アイスは、制服のイメージドリンクを尋ねた。
「アイスコーヒー、オレンジジュース、ストロベリーラテ……アイスココアにメロンソーダ?
……紅茶がない!? 何故紅茶がないんだ!」
「ね、アイス、料理の勉強がてら一緒にパーティを楽しもうよ!」
陽がなだめようと話しかけるが、アイスはむっとした表情である。
「僕の好きな紅茶がないだなんて! 断固、紅茶を要求します!」
淳二はメニューを指し示していった。
「飲み物にはちゃんと、紅茶各種揃ってるぜ?」
カラーは甘めながら、ショートパンツにピンクのネクタイ、カフェエプロンというボーイッシュなストロベリーラテの制服姿の真田 幸村(さなだ・ゆきむら)が、どたどたと走ってきた。
「客人殿!本日は大変厳しい猛暑故、御ゆるりとお涼み下され!!」
メニューと水を持っているのだが、走ったせいでだいぶ水がこぼれている。見ていた氷藍は不意に不安を覚えた。
「……あの、ちょっとオーナーにご挨拶してくる」
たま☆るはちょうど、カウンター席のはじの方で、フィリップ君から店の様子を聞いていたところだった。どこから見ても、ふかふかの、和み系ぬいぐるみ……。
(……え、ちょ……これかわいい。 ……抱っこしたいっ!!!!)
「オーナー、彼処の喧しいのと偉そうなのは俺の友人なんだが…ちゃんと働けてるのか?
特に喧しい方なんて彼方此方にぶつかって器物破損とかしててもおかしくないような奴なんだが」
言いながらさりげなくたま☆るのほうへ手を伸ばしかけ、ためらい、咳払いをして、家康、幸村に大声でよびかける。
「おーい二人とも、俺とたま☆るにドリンク一つずつ、オーダー。……あと、出来れば団子も付けて」
たま☆るに向き直り、肩に手をかけて真剣な表情で問う。
「……あるよな? 団子?」
「や、野菜白玉団子ならあるんだぬ……」
「それなら結構」
氷藍の声を聞きつけ、派手に振り返る幸村。
「氷藍殿……いつの間に来ておられたのですか!?
お、おーだーですな! 少々お待ちを」
「その前に立ちはだかる家康。
「カフェというのは静かな雰囲気での安らぎを楽しむものじゃ。
真田のようにぎゃーぎゃーと捲し立てては落ち着くにも落ち着けぬ!」
「邪魔するでないこの狸爺!!」
「……漫才みたいだな」
淳二は面白そうに二人のやり取りを見ている。ミーナはうーん、と考え込んでいる。
「けんかするほど、仲がいいってことかしら」
アイスはぱっと立ち上がった。
「断固、紅茶制服を取り入れるよう申し入れてきますっ!」
「ちょ、ちょっとアイスなに言ってるの……」
あわてて陽がアイスをとめようとする。
「あほら、いろいろ難しいのかもしれないし」
「ここ、紅茶のメニューを充実させているから、紅茶で有名なのかも。
だからドリンクを制服にしたのかもしれないわ」
淳二とミーナがが助け舟を出す。
「……ふむ。そういうことでしたら」
なんとなくアイスは納得した様子で、陽はほっと胸をなでおろした。
「アイスコーヒーと野菜白玉をお持ちしました」
家康はいって、トレイから飲み物を下ろそうとする。
「氷藍殿がそんな苦いもの飲める筈が無かろう!!」
すぐ横から、アイスココアに生クリームを乗せたものと、野菜白玉を持ってきた幸村がわめく。家康も言い返す。
「おい真田、またそんな甘ったるそうな物を用意しおって!
そんな風に甘やかしているといつか奴が糖尿病になるだけじゃぞ!!」
本音は別のところにあるとしても、けんかする二人からかばうように氷藍はたま☆るをひざの上に抱き上げて抱えながら言った。
「やめんか二人とも。まったく。たま☆るさんが困っていらっしゃるじゃないか。
もういいから仕事にもどれ」
家康はすっと下がり、幸村はカウンターの端や段差にけつまずきつつ、仕事へと戻っていった。
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