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リアクション
流れるプールで何やら小さい子どもが水中を泳いでいる。うまく潜水をしていて、女性に触りはしないが、遠く離れることもない。
(いやぁ、水中の眺めは良いぜ)
潜水をしているのは新田 実(にった・みのる)だ。実は小人の小鞄を取り出し小人に水着の紐を引っ張ってもらっては、女性の体を眺め楽しんでいるようだ。
(普通に監視員の仕事してたんじゃつまらないからな。っと、あそこに良い感じの紐ビキニが……)
実はそっと紐ビキニの人に近づくと、小人に紐を引っ張ってもらう。
(うひょー! 良い眺め! って、ん!?)
引っ張った拍子に実は腕を掴まれ、水中から無理矢理出されてしまった。
「誰だ! ミーの邪魔するやつは!」
「ほほう……楽しそうな事してるじゃないか」
腕を掴んでいたのはメイコ・雷動(めいこ・らいどう)だった。今日は珍しくイルミンスールの指定水着を着ている。
「いや……あの……えーと……水中から要救助者を探してたんだよ! 文句あっか!」
「あれは明らかに紐を引っ張って女性を辱めてただろうが!」
「ちげぇーって!」
実の叫びもむなしく、メイコにプールから出されてしまい、床に正座させられてしまった。
「だーかーら! 水中から小人たちにお願いして、ちゃんとみんなの事を守ってたんだって! 紐が外れたのは単なる偶然! ハプニング! 不慮の事故!」
「信じられるか!」
「本当だって……って、おい! この続きはあとだ!」
「おい、逃げるのかっ!?」
実が血相変えて向かった先はプールで本当に溺れている子どものところだった。それを見たメイコも実のあとを追ったのだった。
一方その頃、波のプールではマコト・闇音(まこと・やみね)が紐ビキニを着て、浮き輪と保健体育の教科書を持って仁王立ちしていた。プールを見て、教科書の泳ぎ方の部分をにらむ。
「大丈夫……なハズ!」
そう言うと、マコトは浮き輪ははめてプールの中に入っていった。浅いところでぷかぷかしてみる。
「これは……泳いでいるとは言わないよな」
マコトは濡らさないように器用に持った教科書をもう一度開いて、眺める。そして、さらに深い場所へと向かってみた。
「……?」
教科書を見ても泳ぎ方がいまいちわかっていないようだ。首をひねっていると、白いものがマコトのそばへと近づいてきた。
「何奴!」
しかし、気付くのが遅く、あっという間にトップスの紐を外されてしまった。
「おのれ破廉恥な! しまった剣がない! 浮輪でソニックブレード! って、浮き輪が!!」
浮き輪でクラーケンの触手をぶった切ったまでは良かったが、浮き輪がそれに耐えきれず破裂してしまった。泳げないマコトはそのままぶくぶくと水の中へと落ちていく。
息がなくなりかけ、意識を失う寸前、誰かの手がマコトに伸びてきて、水の上へと引き上げてくれた。
「大丈夫ですか!? すぐにプールから出ますから!」
助けたのは狭山 珠樹(さやま・たまき)だ。珠樹はマコトの恰好を見て、マコトを落とさないように気を付けながら自分のロンTを片腕ずつ脱ぐ。脱いだロンTをマコトへと渡し、胸を隠すように指示をする。
プールから上がると、マコトは律儀にロンTを返そうと畳んで差し出した。
「それは差し上げますわ。女性なのですから、ちゃんと隠さないと」
にっこり笑って言われ、マコトは頷くとロンTをしっかりと着た。
「助かった……すまない。我はどうにも泳げなくて……」
「それなら、泳ぎの練習にお付き合いしますわ」
「良いのか?」
珠樹はやわらかく笑い、マコトの手を取ったのだった。
クラーケンが倒された、夕方。
メイコと実、珠樹とマコトは一緒に夕食を食べていた。
メイコと実はちゃんと救助することが出来、そこで意気投合したようだ。マコトは珠樹にみっちりと泳ぎを教えてもらえ、満足そうだ。
珠樹の作ったクラーケンの焼きイカは鍋でボイルし、さらにキュアポイズンまでかけて焼いているので美味しく焼けている。
メイコと実は流れるプールでやっていた屋台のうなぎラーメンを人数分持ってきた。
そんな中、マコトは自分でぶった切ったクラーケンの足を生のまま食べていた。
「うーん、土産にもらったサルミアッキに似てるな……いける」
生で食べられるのはきっとマコトくらいだろう。
4人は今日あった事を話しながら夕食を楽しむのだった。
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