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水着デートは刺激的?

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水着デートは刺激的?

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 時刻は夕方。
 美羽たちの屋台で浴衣姿になったり、黎たちの屋台で串焼きを作ったりと忙しかったバイトがようやく終わったホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)
 バイトがおわるのをじっと待っていたエル・ウィンド(える・うぃんど)はやっと一緒に遊べると、うきうきしていた。
「あれ? エルさん、口元に何かついてるよ?」
「え?」
 ホイップに言われ、口元へと手を持っていこうとするエルを止め、ホイップは持っていたハンカチでぬぐってあげる。
「ありがとう。もらったかば焼きかも」
 ホイップを待っている間、コハクにもらったかば焼きの事を思い出す。
「そうだったんだ? 気付かなかったよ」
「忙しくしてたもんね」
「うん。でもみんな喜んでくれたみたいだから、私も嬉しいよ」
 えへへ、と笑うホイップの顔を間近で見て照れてしまったのか、エルは頬をかいた。
「ところで……」
 そういうとエルはホイップの頭上へと視線を向ける。
「どうしてキミが!?」
 そこには、耳に飾られたハイビスカスとじゃわが乗っていた。
「にゅ? ぬいぐるみのふりしてたのにばれたのです。ただのぬいぐるみなので気にしないでなのですよ〜。門限の19時とホイップ殿を守るのです〜」
 それを聞いたエルは見てすぐにわかるぐらい肩を落としていたが、すぐに持ち直したようだ。
「ま、大勢の方が楽しいよね! じゃあ、さっそく波のプールに行こう!」
 こうして3人で波のプールに行くことになったのだが……。
「きゃっ!」
 プールの中に入ってすぐ、ホイップの胸のところにあったリボンがほどけ、2つの山があらわになってしまった。
 さすがにすぐリボンを結び直したがエルは直視してしまい、固まってしまっている。
「はっ!? 固まってる場合じゃない!」
 そういうと、エルはすぐに復活してまだ周りにいるクラーケンの触手をバニッシュとヒロイックアサルトの光で追い払おうとするが、全く効果がない。
 それどころか、またホイップのリボン目がけてやってきた。
 今度こそと、エルはライトニングランスで触手を切り付け、ようやく追い払う事に成功した。
 さすがにクラーケンのいるプールで遊ぶわけにもいかず、3人はプールから出る。すると、さっき急いで結んだからなのか、結び方が緩かったらしくまたもホイップの胸のリボンがほどけてしまった。
「ぶっ!」
「エルさん!?」
 またもタイミングよく見てしまったエルは今度は固まるのではなく、鼻血を出して倒れてしまった。
 そんなエルをホイップはリボンをしっかり結んでから救護室に運び、和子たちの世話になったのだった。


「さっきはみっともないところを……ごめんね」
 フレデリカの火術を浴びながら救護室から戻ると、イスとテーブル付きのスペースに落ち着き、エルがそうホイップに言った。
「ううん、気にしないで。それよりもう大丈夫?」
 本当に心配そうにエルを見るホイップ。
「うん、平気。ありがとう」
 エルはそんなホイップに笑顔で返す。
「そうだ、何か頼もうよ。すみませーん」
 エルは気を取り直して近くにいたウェイトレスの沙幸に声をかけた。
「はーい。ご注文をどうぞ」
「じゃあ、2人飲みのストロー付きトロピカルジュースと氷うし金時、それから……イチゴミルクで良いの?」
 エルがホイップの頭の上のじゃわに聞くとコクコクと頷いた。
「じゃあ、イチゴミルクも。以上――」
「それからかき氷のイチゴとブルーハワイもよろしく〜!」
「って、いつの間に!?」
 エルとホイップが驚くのも無理はない。いつの間にか茅野 菫(ちの・すみれ)パビェーダ・フィヴラーリ(ぱびぇーだ・ふぃぶらーり)が座っていたのだから。
 菫は堂々としていて、さも最初からいたかのようだ。パビェーダの方はさすがに申し訳なさそうにしている。
「だって、混んでるんだもの。別に合席しても良いでしょ?」
「うん、大勢の方が楽しいよね」
 ホイップへと上目使いで菫が言うと、ホイップは快く了承してしまう。菫は心の中でにやりとほくそ笑んだ。
「そうだ、聞きたい事があったんでしょ? ちょうど良かったじゃない、聞いてみたら?」
 堂々と居座る権利を得た菫がパビェーダへと振った。
「う、うん……その……お二人のなれ初めを聞きたいなって」
 パビェーダがほんのり頬を赤くしているのを見て、菫は満足そうだ。
 そして、パビェーダからの質問を受けた2人も顔を見合わせてちょっと赤くなっている。
 それからしばらく、出会った時の話になっていた。大きな蚊がきっかけだったことを話すと、じゃわも興味深そうに身を乗り出して聞いている。
 ダンジョンの話になったところで、注文したものが届いた。トロピカルジュースやイチゴミルク、他のかき氷も注文通りだったのだが……。
「ご注文は以上でしょか?」
「ええっ!?」
 エルの頼んだ『氷うし金時』だけは違っていた。いや、ある意味あっているのだ。本物のそっくりの氷で出来た牛の彫刻の上に金時の餡が乗っかっている。
 あまりの事にさすがにみんな凍り付いていたが、次の瞬間にはみんなで笑い出してしまっていて、注文はこれで良いと言うことになってしまった。
 そして、注文したものを食べながら、続きを話していく。
 ホイップが石化してしまったところで、菫がかき氷の器にスプーンを入れた音が響いた。
「なんか飽きた。遊ぶわよー!」
 そう言うなり菫はパビェーダを連れてスライダーの方へと歩き出してしまった。
「ええっ!?」
 いいところで席を立たざるを得ず、抗議の声を上げたパビェーダだったが、結局菫に付き合うのだった。
「じゃあ、ボクたちももう少し遊ぼうか」
「うん」
「じゃわもスライダーで遊んでみたいのです」
 こうして、3人は菫たちに追いつき、5人で19時まで遊びまくったのだった。