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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

リアクション

桂たちがぺいゆちゃんの元へ向かっているのと時を同じくして、お城の中で遊んでいた天海 護(あまみ・まもる)高峰 結和(たかみね・ゆうわ)の二人にも魔の手が伸びていました。
無邪気に護と追いかけっこをしていた結和が、角を曲がろうとしたその瞬間。
エメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)が結和の前に飛び出して来たのです。
驚いた護と結和が何事かと足を止めると、角の向こうから飛び出してきた何かがエメリヤンに襲いかかりました。
恐らくエメリヤンが飛び出してこなければ今頃は結和がいたであろう場所。
そこに這ってきたオヤジムシに、エメリヤンは噛まれてしまったのです。
「何これ……?」
目の前で起きたことが理解できずに呆然とする護たち。
虫に噛まれて姿の変わってしまったエメリヤンを見ながら、動けないでいる二人に逃げるように促したのは天海 北斗(あまみ・ほくと)天海 聖(あまみ・あきら)でした。
「護、高峰さん、こっち!」
「その虫がいるところは危険です!」
エメリヤンを助け起こした聖と北斗に促されて、護と結和は慌てて走り出しました。
アンネ・アンネ 三号(あんねあんね・さんごう)は後ろについてオヤジムシが来ないか振り返りながら護たちを逃がします。
周りが騒がしいのを見ると、オヤジムシの被害に遭っているのは自分たちだけではないようです。
「何とかしなければ……」
三号はそう呟きながら状況を分析します。
虫を遠ざけるために攻撃してみてもあまり効いていないようです。
ということは直接攻撃する以外の方法を取らなければいけませんが、一体どんな攻撃が有効なのか、今の段階では判断がつきかねます。
とにかく結和たちを守るのが優先だと庇いながら逃げていると、何やら前方が騒がしくなってきました。
またオヤジムシかと思い足を止めかけましたが、どうやらそうではないようです。
よくよく見ると、そこにいるのは護たちのようにショタにされてしまった大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)たちのようでした。
何やらパートナーのフランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)に喚いている泰輔の傍によると、他にも何人かの少年たちが集まって絵を描いているようでした。
「何をしているんですか?」
聖が問うと、「絵を描いてるんや」と紙に向かったまま泰輔が答えました。
「それは見ればわかるけど……何でまた絵を?」
北斗が重ねて問うと、手の空いているらしいフランツが説明してくれました。
ぺいゆクレヨンを使って絵を描くとそれが実体化すること。
オヤジムシを倒すにはクレヨンで描いたもので攻撃しなければならないこと。
「なるほど、それならクレヨンを使って武器を精製すればいいんですね」
聖が頷いてクレヨンを手にします。
「思い入れのあるものを描くと強くなるようですよ」
そう教えてくれたレイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)が描いているのは、どうやら泰輔の姿のようです。
心得たとばかりに口元をほころばせた北斗はクレヨンを手にして紙に向かいました。
「人でもいいんだよね。じゃあレオンさんを描こう」
「思い入れ……調理器具でもいいかな。あ、でも包丁やすりこぎより掃除道具がいいかな」
三号も描くものを思い浮かべながら、ふと隣にいた讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)の絵に視線を向けました。
「それは……」
「ああ、これは我の恋人の姿絵よ」
そう言って顕仁はすいと視線を流します。その視線の先にいるのは懸命に銭の絵を描いている泰輔。
顕仁の描いている絵はどうやら泰輔のようです。
けれどレイチェルも泰輔の絵を描いているはず。しかもこの場には泰輔本人もいます。
これが実体化したらどうなるのだろう、という三号の疑問は、口に出されることはありませんでした。
口に出すのは野暮な気もしましたし――言ったところで気にする人間はいなさそうでしたから。
「出来た、っと」
一足先にそう声を上げたはセルマ・アリス(せるま・ありす)でした。
ぺいゆクレヨンで描かれたのは【くたびれたうさぎのぬいぐるみ】の絵。
紙を飛び出して立体になったそれに【龍鱗化】を施し、セルマはオヤジムシに差し向けました。
「流石にオヤジになるのはまだ早いしね……」
そんな恐ろしい能力を持った虫は早く退治してしまいたいと、セルマは問答無用で攻撃していきます。
そして人形を描いたのはセルマだけではありませんでした。
愛する仏蘭西人形たちを描いた茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす)は、その子たちをオヤジムシに向かわせます。
剣で斬りかかるリーズ、銃を乱射するブリストル、近くにいる虫をスタンガンで怯ませるクローリー、そしてエディンバラが怯んだオヤジムシをフォークで突き刺しました。
変わるがわるの少女人形たちの連係プレーに、ぺいゆちゃんは歓声をあげました。
「その調子でやっつけろ! ぺいゆ無理虫無理! ひにゃあああああああ!」
虫から逃げながらいいぞもっとやれとヤジを飛ばすぺいゆちゃん。
そんなぺいゆちゃんを、守りながら動向を見守る朔と貴仁。
そう、先刻朔がぺいゆちゃんに告げた『話』とは、ぺいゆクレヨンをみんなに貸してほしいということでした。
無理に趣味に付き合わせては心から楽しむことは出来ません。
同志もたくさん見つかったけれど、ひずみもこういう形になって現れてしまいました。
それではぺいゆちゃんも本意ではないはず。本当に趣味を理解してくれる人たちと楽しもう?
そう説く朔に頷いたぺいゆちゃんを笑顔で抱きしめて、朔は事態の収束の為にぺいゆクレヨンを貸し出してくれるように頼んだのでした。
ぺいゆクレヨンで描いたものは本当に実体化するだけでなく、確かにオヤジムシ退治に有効なようです。
例え描かれたものがパンツであっても。
セルマのうさぎのぬいぐるみが遠慮なくオヤジムシを蹴散らしていく横で飛び交っている様々なデザインのパンツはクド・ストレイフ(くど・すとれいふ)が描いたものでした。
パンツで斬られたり窒息させられるオヤジムシというシュールな光景の横では、正統派(?)な戦闘が繰り広げられています。
リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)の二本のヴァジュラが群がるオヤジムシを逃さず駆逐し、向かってくる虫たちは絶え間なく撃たれる東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)の銃弾が的確に撃ち抜きます。
「秋日子さん、左です!」
キルティス・フェリーノ(きるてぃす・ふぇりーの)の声に即座に左側に一発。
わずかに照準が狂いましたが掠った銃弾に怯む虫をスプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)の容赦ない一撃が斬り裂きました。
「さぁ、どんどん倒すわよ! オヤジムシを量産なんてとんでもない!」
「そうだな、これでは楽しめまい」
「それにお城もめちゃくちゃになっちゃうよね」
「何より元に戻れないじゃない!」
秋日子はそう言うと再びオヤジムシせん滅の為に銃を構えました。

「詩穂さん、如何ですか?」
必死に机に向かっているパートナーを覗き込んで、セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)は尋ねました。
先ほどから苦戦しつつも絵を描いている騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、もう少し、と言って手を動かし続けています。
思い入れのあるものを、と言われて詩穂が真っ先に選んだのは他でもないアイシャ・シュヴァーラでした。
一番思っているのはアイシャでしたし、絵とは言えアイシャと一緒なら何でも乗り越えられると思ってそうすることにしたのです。
セルフィーナにも、思いを込めて丁寧に描けば大丈夫だからと背を押され、詩穂は懸命にクレヨンを紙に走らせていました。
「よし、出来たよ!」
絵は得意ではないため時間はかかりましたが、思いは誰よりもこもっています。
「私も出来た!」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が描いたのも大事な大事な存在、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)です。
今日はお城には来ていないコハクですが、彼とならどんな状況も越えられる。強い思いを込めるなら彼に、と描きました。
そしてその絵は確かに効力を発揮しました。
実力のある者の絵はそれ自体も強いのですが、何よりも美羽や詩穂の思いも強いものでした。
強い思いはそれ自体が大きな力。絵とはいえコハクもアイシャもそれに応えようとしてくれます。
双槍を振りかざすコハクはオヤジムシを倒すだけでなく自然と美羽も守るようにふるまいます。
ロイヤルガード屈指の双槍使いであるコハクには造作もないことなのでしょうが、その表情は真剣そのものでした。
詩穂の描いた絵も、出来こそ手放しで褒められはしない出来かもしれませんが、セネシャルとしてメイドのことを知りつくした上で描いた愛しいメイド服のアイシャの絵です。これが強くないわけがありません。
二人でオヤジムシを掃除、もとい駆逐すべく、さっそく掃除道具を振るいます。

「描けた!」
そう満足げに声を上げたヴィータ・ウィステリア(う゛ぃーた・うぃすてりあ)が描いていたのはぺいゆちゃんでした。
「私も描けた。ヴィータの描いたぺいゆちゃんが乗れるようなドラゴンだよ」
鷹野 栗(たかの・まろん)が己の描いたドラゴンを指し示します。
「わぁ、マロンおねえさんの描いたドラゴンすごい上手だね!」
「ふふ、ドラゴンだいすきだからね。がおー」
「強そうだね! ぼくの描いたぺいゆちゃんも、クレヨンを剣みたいにしてたたかうんだよ!」
「それはすごいね! それじゃあそのぺいゆちゃんをさっそくドラゴンに乗せてあげて?」
ヴィータが頷いてイラストのぺいゆちゃんを乗せると、ドラゴンはすぐに虫たちをなぎ倒していきます。
ぺいゆちゃんも虫に臆することなくクレヨンの剣を振るい、オヤジムシに攻撃します。
「さすがぺいゆカッコイイ!」
思わず逃げる足を止めて興奮する本物のぺいゆちゃん。
「ショタを守る英雄来た! 行け! ぺいゆ行け!」
圧倒的なオヤジムシ狩りに優勢と見たのかやいやいと応援し始めるぺいゆちゃん。

その応援の甲斐もあったのか、ほどなくしてみんなが目の前の虫を全部倒し終わりました。
クレヨンで描かれたぺいゆちゃんがドラゴンから飛び降りざまに最後のオヤジムシを退治すると、役目を終えたとばかりにクレヨンの絵たちが消えていきます。
虫が消えたことを残念がる者、オヤジにならなかったことにほっとする者、様々な反応がありました。
もう一度クレヨンで描いた絵を実体化させてほしいという願いもありました。
が。
ぐうううう。
そんな空気を打ち消すようなおなかの音。
今度はぺいゆちゃんのおなかの虫が泣き声をあげました。
殆ど休みなく遊び回っていたので当然でしょう。オヤジムシがいなくなった安堵も手伝っているのかもしれません。
とにかくぺいゆちゃんのおなかの音で、みんなも苦笑しながら自分の空腹にも気付いたようでした。
「ひと段落したところでお茶にしましょうか」
ちょうどよくかけられた真のその一言で、みんなでお茶にすることにしました。
先ほど博季たちが作ったおにぎりや食事、そして真が淹れてくれたお茶が樹のセットしたテーブルに並べられます。
それをありがたくみんなでいただきながら、ぺいゆちゃんは抱きしめそこねていたショタたちを抱きしめたり、あーんしてもらったりと再び堪能するのでした。
みんなが食べ終わる頃にはぺいゆちゃんもすっかり満足したのか、いつの間にかみんな元に戻っていました。
使用人も戻った姿に安堵しながら手伝ってくれたみんなに礼を言っています。
恐らく逃げてしまった国民も少しすれば事態の収束を知って戻ってくるでしょう。
「ああ、戻っちゃった……」
「よかったああああああ! 元の姿が一番だよ!」
「何か新しい扉を開いた気がする……」
「ぺいゆちゃん、楽しかったよ〜また遊んでね!」
「今度は元の姿のままで頼むな」
「いい写真が撮れたわ〜」
「是非またゆっくりとショタについて語りましょう」
戻ってしまったみんなの姿と、十人十色の反応を見ながら、虫が出ない程度ならまたショタ祭りを……などと考えているぺいゆちゃんの内心を知る者はいませんでした。



担当マスターより

▼担当マスター

奏哉

▼マスターコメント

ぺいゆ絵師様、イラスト500枚突破おめでとうございます!
素敵なイラストをいつも拝見していましたので、この度は記念シナリオを書かせていただけて光栄でした。
皆さんのアクションも素敵なものが多く、見ているだけでほのぼのしました。
私もぺいゆ王国に行って皆さんと遊びたいな、なんて思いました。
ショタっ子は可愛いですね。そして可愛いは正義!
今回も楽しい執筆でした、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。