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リアクション
■機械化モンスター2
そのころ、別の場所では。
三船 敬一(みふね・けいいち)と
白河 淋(しらかわ・りん)が、生身で機械化モンスターに立ち向かっていた。
「生身でどこまでやれるか試してみたいし、
俺は俺にできることをやるか」
敬一が、向かってきたモンスターの群れに煙幕ファンデーションを投げつける。
「モンスターも視界に頼ってる限りは有効なはずだ!」
敬一は、ダッシュローラーで側面に回り込み、
携行機晶キャノンを撃った。
モンスターの一匹に、淋がパイルバンカー内蔵シールドで頭を攻撃した。
赤黒い液体が飛び散って、モンスターがよろめく。
さらに、淋がパイロキネシスで傷口を焼いた。
モンスターは鈍い音を立て、地面に倒れた。
「援護、しますっ!」
レジーヌ・ベルナディス(れじーぬ・べるなでぃす)が、
エリーズ・バスティード(えりーず・ばすてぃーど)とともに
クェイルに搭乗して、
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)と
ミア・マハ(みあ・まは)の
ラーン・バディとともに敬一を支援した。
百合園生のレキとミアには、男性が苦手なレジーヌも声をかけやすかった。
2機は協力して、進路を切り開いてきた。
「こ、これ以上は行かせませんっ!」
「このイコン、ビームとかでないの?」
緊張したレジーヌと対照的に、
エリーズがのんきに言っていた。
「出ませんよ。
アサルトライフルしかないんですから」
「えー、つまんないの」
レジーヌの言葉にエリーズが答えた。
レキとミアは、ヴァイシャリーを横切ってきた要塞を見過ごせずにこの戦場を選んだ。
「敵はあまりかわいくないね。
機械でもデザインは大事なんだからね」
「敵が可愛くないに同意じゃな」
レキとミアはグレネードをモンスターの群れに投げ込む。
「可愛過ぎても手が出せずに困るが。
誰が生み出したのかは判らぬが、趣味が悪いのぉ」
ミアが続けて言った。
ウサ耳ブレードが、モンスターを切り裂いた。
爆発を起こすモンスターを見て、ミアが独りごちた。
「誰も好き好んで戦争はせぬよ。
カンテミールはそれが本当の平和だと思っておるのか疑問じゃな」
「機械化モンスター達よ」
朗々と、戦場に声が響いた。
若い女のものである。
「貴方達の相手は、この私」
ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)が、
シルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)とともに、
センチネルで現れたのだった。
「その名も高き、
超無法機動銀河聖戦士宇宙海賊
グレートマスターイコンドライバー
ゼットオメガカスタム
ダークブレイカードラゴンスレイヤー
ジャスティスブラッドマキシマムキャプテン
えーっとそれから……」
口上を行いつつ、ガートルードは自分でわけがわからなくなっているらしい。
「とまあそれはともかく!
もうすぐ15歳になってしまう私ですが、
人型機動決戦兵器に乗って世界を救ったり
魔法少女になって宇宙を救ったりできるミラクル年齢である14歳の間に、
なにかレジェンドを打ち立ててやります!」
ガートルードは、センチネルのコックピットを思い切り開けた。
「いっけえ、大魔弾『コキュートス』!」
「って、生身で攻撃するのかよ!」
敬一がツッコミを入れた。
「ええ、センチネルを操縦するよりも生身で攻撃した方が効率がいいので」
ガートルードが表情を変えずに言った。
端守 秋穂(はなもり・あいお)と
ユメミ・ブラッドストーン(ゆめみ・ぶらっどすとーん)の
イーグリット、セレナイトも、
機械化モンスターを撃破していっていた。
「機械化敵より、ワイヤーが厄介すぎるー! この、うね要塞めー!」
ユメミがワイヤーを避けながら言う。
「要塞に囚われた機械類からの攻撃もあるかもしれない、気をつけて……!」
攻撃しやすい場所取りをユメミに任せて、
ビームサーベルを振るいながら秋穂が言った。
効率的に敵を撃破していたセレナイトだが、
ワイヤーに左腕を絡め取られた。
「秋穂ちゃん!」
ユメミが叫んだ。
「くっ、このままじゃ、制御を奪われる!?
なんとかしないと……ワイヤー切断じゃまにあわない……!?」
秋穂は、脱出のため、
セレナイトの左腕の切断を決意した。
「ごめん、セレナイト……!」
次の瞬間、
味方の射撃で、ワイヤーが破壊される。
セレナイトは間一髪、逃れることができた。
「ありがとうございます!」
秋穂は、
金住 健勝(かなずみ・けんしょう)と
レジーナ・アラトリウス(れじーな・あらとりうす)に礼を言う。
支柱を使って固定砲台となっていたシルバーのスナイパーライフルで、
難を逃れることができたのだった。
「無事でよかったであります!」
さわやかに笑んだ健勝だが。
今の攻撃で、味方からも視線を集めていた。
レジーナにとってはやっかいなことに、
健勝がイコンの支柱として選んだのは、巨大同人誌だったのである。
「私、戦術の事はとやかく言いませんけど……。
もうちょっとマシな物用意できなかったんですか?
恥ずかしいったらないですよ!」
「いや、その、急いでいたので近くにあったのを持ってきたらこれだっただけで……」
「巨大同人誌が近くにあるってどういうことなんですか!」
「ええと、その……」
健勝が目を逸らした。
「……私より目立ってますね」
「そうじゃのう」
ガートルードとシルヴェスターが顔を見合わせた。
「そういえば、
15歳になれば、15禁同人誌も買い放題になります。
いいこともありましたね」
ふとそのことに気がついたガートルードが、いたって前向きに言った。
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