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リアクション
【2】チェックメイト
『勝ったッ!』
「……あはは、アハハハハッ」
綾瀬が笑う。
『……何が可笑しい!?』
綾瀬の笑い声にエレクトロンボルトが怒声を上げる。
「あら、分からないのですか? 貴方が勝ちを確信したその瞬間、“負けた”のですわ」
『戯言を、負け犬の遠吠えとはまさにこの事だな』
「勝利を確信した瞬間に、貴方様は勝利を投げ捨てた。
『私達三人を確実に止めるため、全てのイコン機を余分に操った』、
『勝ちを確信して慢心し、私との会話に乗ってきた』等、敗因は数多くありますが……。
もっとシンプルな敗因は『私達を本気にさせた』、でしょうか?」
『先ほどからペラペラと癇に障る言葉を――!?』
「見えましたか? ええ、そうですわ。それが貴方に敗北を届ける者達ですわ」
勝ちを確信したエレクトロンボルトが見た者達。
それは、一度は退けた三機の姿。
『やめろ、来るな、来るんじゃなあああい!!』
「正義の猟犬はね、一度喰らい付いた獲物は仕留めるまで追い続けるんだ!」
涼介が、ソーサルナイIIのカナンの聖剣を抜き放ち頭部を跳ね飛ばす。
「力によって弄ばれる運命なんて、私は甘んじて受け入れる気はありません! 抗います! 最後まで!」
ソフィアが、ユノーナ・ザヴィエートのファイナルイコンソードで胸部から腰部にかけて、滅多斬りにする。
「切札を、切らせてもらう!!」
そして真司が己が持つ全ての力をゴスホークの持つ神武刀・布都御霊に宿らせて、グラヒトリへと振り下ろす。
『バカな、こんなことが!
ありえん、ありえんありえんアリエンアリえんあリアンアリえンああああああああああああああああああ――――』
「この一撃に全てを賭ける!
一刀! 両断ッ!!」
ザンッ――――!
それは、最後の一撃にしてはとても静かな音だった。
だが確かに、全員が目に焼き付けた。
露わになった金色のイコン、グラヒトリが真っ二つになった光景を。
ドガァァァアアアアアン!!
グラヒトリが爆発する。遂にエレクトロンボルトを撃破した。
全イコン機が協力し、イコン部隊【ザ・シールド】のトドメにより、
破壊を振りまいた金色のイコンを倒すことに成功した。
機動要塞、そしてエレクトロンボルト及び搭乗イコン『グラヒトリ』は倒された。
グラヒトリに操られたイコンは全て敵イコンだった。
最早この戦場で戦おうとする者はいない。
誰の目から見ても分かる、契約者達の『完全勝利』で戦いは幕を閉じた。