空京

校長室

終焉の絆 第二回

リアクション公開中!

終焉の絆 第二回
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リアクション


エピローグ


グランツ教教祖アルティメットクイーンに奪われていた
最初の女王器は無事、取り返された。

そして、アルティメットクイーンは生存したまま
シャンバラ政府に再び拘束されたのだった。

一方、空京に迫っていたグランツ教の機動要塞は陥落。

最高幹部エレクトロンボルトのイコン・グラヒトリの大破と
アルティメットクイーンの敗北を受け、信者たちは投降、あるいは逃亡したのだった。

空京を蹂躙していたモンスターたちも排され、
その爪痕の残る街並みが残された。


弔いと修復が進められ始めた雨の空京。
シャンバラの民は二つの報を聞くことになる。

邪悪な世界樹アールキングが無事討伐されたこと。
そして、ラズィーヤ・ヴァイシャリーの死。


希望は繋がれているのだと知る一方、
言い知れない不安を誰もが感じているのだった。


■シャンバラ宮殿

(アルティメットクイーンは危険だ。
 彼女の能力は我々の予想を遥かに上回っていた……。
 もはや、我々の知り得る技術では、彼女を拘束、制御することはできまい)
 
空京大学学長、嵐を起こすもの ティフォン(あらしをおこすもの・てぃふぉん)の言葉は、つまり、
アルティメットクイーンをすぐに処刑すべきなのだろうということだった。

「彼女を殺す必要はないわ……!」

西シャンバラ代王、高根沢 理子(たかねざわ・りこ)が言う。

「アルティメットクイーンには、もうパラミタを滅ぼす意志は無いから、かな?」

言ったのは、唐突に現れたソウルアベレイターのリーダーイマだった。
すぐに彼を叩き潰そうとしたティフォンを理子が止める。

「報告は聞いてるわ。今のあなたは、私たちの味方。そう思って良いのよね?」
「まあ、それで間違っていない。光条世界を打ち倒すには、そうする必要があるからな」

言って、イマは続けた。

「“自らが世界を救うことで世界から愛されたかった”女は、もう居ない。
 アルティメットクイーンの野望は自身の意志が折れ、『光条世界から見放される』ことで潰えた。

 それに、運命は変わった」

「……運命?」

「これまでに得た情報からの、予測混じりとなるが――
 
 創造主は、終焉を防げず、全てが無となった世界の、君たち契約者自身だ。
 彼らの意志と力は、一つの集合体となり、時間の曖昧な光条世界へ飛び、創造主となった。

 創造主は終焉を防ぐため、滅びと創世のサイクルを安定させようとしていた。
 それさえ叶っていれば、魂の循環によって、また大切な人たちと出会える可能性を保てるからだ。

 しかし、結局、大陸は生き延び、世界は歪んだ。
 飽和した命は“滅びを望むもの”として淀み、終焉の危機が訪れることになった」

イマは一度、言葉を切ってから改めて続けた。

「殺し(大陸を滅ぼし)、また出会う(新たなサイクルを産み出して、魂の循環を保つ)か。
 全てを失う終焉か。
 それが“この世界に定められていた運命”だった。

 そこへ、滅びでも、終焉でもない、世界の新たな選択が現れた」

(この世界を保ちながら、
 飽和した命“滅びを望むもの”を用いて、全く新たな世界をもう一つ産み出す……世界産みか)

ティフォンが言う。
創造主から切り離された一部とウゲンが融合した少女カケラが提唱したものだ。

イマは頷き、続けた。

「だが、この選択は非常に危険だ。
 
 “滅びを望むもの”は、何度も産まれることを拒否され、
 やがて、自身を含め『生きる』ことを否定するようになった赤子のようなものだ。
 
 世界産みは、“滅びを望むもの”という赤子を
 何の運命も決まっていない世界、新たな空へと産まれさせる、というもの。
 
 『産まれ、生きる』ことに絶望しか感じていない赤子は、
 世界産みを拒絶し泣き喚く、その時に生じる力は、終焉を決定づけることになるだろう」

「でも……それしか選択が無いのならば、何か方法を探すしかないわ!」

「問題はもう一つある。

 創造主にとって、『終焉』は最悪のトラウマだ。
 なりふり構わず、世界産みを止めようとするだろう。
 
 感じるだろう? 既に、この世界に奇妙な狂気が滲み始めている。
 創造主は、過去の絶望に苛まれ、狂い始めているんだ。
 
 最早、“滅びを望むもの”の強制洗浄、新たなサイクルの大世界樹の準備……
 そういったものを捨て、次のサイクルが不完全なものになってしまうとしても、
 創造主は、大陸の滅びを急ぐだろう」

「くっ、貴様は私たちに諦めろとでも言いたいのか!?」

東シャンバラ代王セレスティアーナ・アジュア(せれすてぃあーな・あじゅあ)が強く壁を叩く。
そちらを見ることもなく、イマは続けた。

「運命は変わった。
 この世界には用意されていたなかった運命によって世界の歪みは加速し、
 終焉あるいは滅びを、より近いものとしている。
 
 もはや、今この時は終末と呼ぶに相応しい。
 
 だが――同時に、君たちは、
 かつて終焉を迎えた契約者たちが、持ち得なかっただろう力を手にし始めている。

 この終末において、見い出した創世の力
 巡る命が無数の繰り返しと選択を経て、運命を変え、
 異なる魂の結び付きが辿り着いた、自らの手で願いを叶えるための力だ」




「……え……ラズィーヤさん、が……」

ラズィーヤ・ヴァイシャリーの死と遺体消失の報を受け、
桜井静香は愕然としていた。

空京病院のベットの上。

突如、猛烈な苦しみに襲われた静香は
病院に運ばれていたのだ。

「いや、妹はまだ“生かされている”よ」

見舞いの花束を脇に置いたラズィーヤの兄フィローズ・ヴァイシャリーの言葉に
静香は目を瞬かせた。

「ラズィーヤが完全に死んでいれば、
 君のパートナーロストはこんなものではなかった筈だ。
 今日にも退院できる見込みなんだろう?」
「……じゃあ、ラズィーヤさんは……?」
「ラズィーヤの身体は消えた。光条世界が関与していると考えて間違いない」
「そんな……ラズィーヤさん……僕、どうしたら……」
「しっかりしたまえ。君は、百合園女学院の校長なのだろう?」

フィローズの言葉に、静香は情けなそうに俯いたのだった。


■6月20日 追加エピローグ

 もう一つの地球、アナザーへ向かった契約者たちは、
 “滅びを望むもの”をその身に宿すリファニー・ウィンポリア(りふぁにー・うぃんぽりあ)を、この世界へ帰還させることに成功した。


 シャンバラ宮殿、バルコニー。

『……これで、“世界産み”を行うためのキーは揃いました』

 かつて創造主の一部であった光の少女カケラは、
 赤子姿から元に戻ったばかりのシャンバラの女王ネフェルティティにそう告げた。

「私たちが、新たな世界を産み出す……。  滅びと終焉を防ぐために、新たな空を――――」

 ネフェルティティは、世界にじんわりと渦巻く創造主の狂気を感じながら、しかし、強く空を見上げたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

蒼フロ運営チーム

▼マスターコメント

『蒼空のフロンティア』運営チームです。
グランドシナリオ『終焉の絆 第二回』のリアクションをお送りします。

今回のシナリオは以下のマスターが担当しています。

【1】空京の戦い:流月和人、夜光ヤナギ
【2】グランツ教機動要塞との戦い:流月和人(6月14日 ※担当を誤記しておりましたため、修正いたしました)
【3】シャンバラ宮殿の戦い:森水鷲葉
【4】その他・プロローグ:村上収束
 エピローグ:『蒼空のフロンティア』運営チーム
※特定の番号でかけられていても別の番号のアクションと判定され、そちらで描写される場合もございます。

 主な結果は下記の通りとなりました。

・シャンバラ宮殿は守られ、ネフェルティティの結界も、数度の危機(?)はあったものの維持された。
・『最初の女王器』はシャンバラ側に取り戻された。
・グランツ教機動要塞は陥落、エレクトロンボルトは倒された。
・ネフェルティティが朱里・ブラウ(SFM0005833)さんをうっかりお母さんと呼んでしまうようになった。
・アルティメットクイーンは倒されたが、殺されず、シャンバラ側に拘束された。

・アールキングが討伐された。(ペリフェラルシナリオ『【終焉の絆】禍つ大樹の歪夢』)
・ラズィーヤ・ヴァイシャリーが行方不明となった。(ペリフェラルシナリオ『【終焉の絆】時代の終焉』)
・“滅びを望むもの”を宿すリファニー・ウィンポリアがパラミタに帰還した。(ペリフェラルシナリオ『【終焉の絆】滅びを望むもの』)

 最終回のグランドシナリオのタイトルは『創空の絆』となります。


 今回グランドシナリオへご参加頂いた皆様には、記念アイテムと称号をプレゼントいたします。
 ※配布は6月19日、配布を行わせていただきました。



 次回、蒼空のフロンティア最終回のグランドシナリオとなります。
 何卒よろしくお願いいたします!