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リアクション
一方、目玉焼きの食べ方論争チームは本気のケンカに発展し、次第に疲れが見えていた。滝上のフラッグを目の前にしたとき、エリーズなどは今までの罵り合いで体力を使い果たしたのか、ぐったりしてしまう。
「うう、箒に乗ってる奴が目の前に見える…ずるい」
「とにかく、最後までフラッグを目指しましょう」
ナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)は順調にフラッグ一番乗りを目指していた。
移動はバーストダッシュで素早く行い、ワームやゴブリンは倒せそうだと判断した場合、ハウスキーパーで掃除し、倒せなさそうな場合には「戦略的撤退」と迂回した結果、他の生徒たちより少しだけ早く進む事ができたのだ。しかし、ナナは
「時間を稼ぐため、妨害してくるという可能性も無きにしも非ず、です」
と、少し遠巻きにフラッグを観察していた。
ロブ・ファインズ(ろぶ・ふぁいんず)とアリシア・カーライル(ありしあ・かーらいる)もフラッグを早々に奪取することで、不穏分子をあぶり出すプレッシャーを掛けようと、滝上を目指していた。
油断無く周りを警戒し、ワームやゴブリンにもロブはシャープシューターを使用したアサルトカービンでの銃撃でアリシアの援護を行い、アリシアが前に出てスウェーを利用し、近接攻撃を行ってきた。
「ロブ、もう少しでフラッグですわ」
「ああ…だが、ここまでフラッグに対する動きがなさ過ぎる…もう少し歩みを遅らせてみるべきだな…」
そのロブの勘は当たる事になる。
一ノ瀬 月実(いちのせ・つぐみ)とリズリット・モルゲンシュタイン(りずりっと・もるげんしゅたいん)はひたすらフラッグを目ざし、滝上に駆け上がっていた。
「訓練なんて嫌いなのよ。だいっ嫌いなのよ! もう、肌は荒れるし。だいたい私のキャッキャウフフでアハハな学園生活はどこいったのよ。こんな訓練を受けるために私はシャンバラに来たんじゃないのよ! カムバック私の青春時代ー!! カロリーメイト食べたいー!」
リズリットは月実のお守りにぐったりしている。
「とりあえず害はないし、動き出すまでは放っておきたかったのに、月実が暴走しちゃうから…」
クリスとアクィラは滝を目ざし、側道を昇っていたが、急にクリスが「女王の加護」を使い始める。
「どうしたんだい、クリス」
「アクィラ、何か危険が迫っていますぅ!」
「なんだって?」
二人はその場を素早く離れる。その時、ゴリゴリっと機械音が遠くからしたかと思うと、凄まじい音がして四輪走行の直立型ロボットが走り去る。
「あれは! 教導団の防衛システム、監視哨じゃないか!」
「なんであんなものが!」
監視哨はジグザク走行を繰り返すと、ぐるんと向きを変え、生徒たちのほうへ暴走してきた。
その時、昴 コウジが現れて、監視哨の頭部の部分をシャープシューターで打ち抜こうとする。
おそらく不穏分子は監視哨のシステムを改竄し、生徒たちを狙わせ、その隙を狙って何か行動を起こすはず、と踏んでここまで追ってきたのだ。
しかし、シャープシューターは監視哨の装甲板に阻まれ、コウジをも吹き飛ばして暴走を続けた。
「ぐあ!」
コウジがもんどり打つ。
再び、ぐるりと一回転して、再度、コウジに突き進んでくる監視哨。その瞬間、コウジは覚悟を決める。
そこに輝寛が軍用バイクで突っ込み、そのままの勢いでバイクの前輪で監視哨を押し返し、後ろに乗ったナディアが飛び降り、コウジを安全な方へ連れて行く。
「大丈夫!?」
リズリットがそこに素早く駆けつけ、ヒールを施す。
「くそ…あの頭部を打ち抜かないかぎり、暴走は止まらないであります…!」
コウジは悔しそうな顔をして、呟いた。
フラッグを目指していた一色 仁(いっしき・じん)はミラ・アシュフォーヂ(みら・あしゅふぉーぢ)も、監視哨の暴走に気がつく。仁は味方を守るために、ディフェンスシフトを展開する。
「これも不穏分子の仕業か!」
ミラがチェインスマイトを繰り出すが、監視哨を止めることが出来ずにいる。
そこにガートルードとシルヴェスターも現れた。
「遅かったようですね…」
「親分の就職活動には、ちぃとタイミングがズレたかもしれんな!」
そう言いながらも、ガートルードはリターニングダガーを構え、シルヴェスターは爆炎波で監視哨の破壊にかかる。
ナナもその様子を見て、仕込み竹箒を構えて走ってきた。
近くにいたロブとアリシアにも、監視哨が迫る。
「ぐ!」
とっさにロブはコンバットアーマーを使い、監視哨との衝突を避けるが、その衝撃は凄まじいもので、横に吹き飛ばされかける。
「ロブ!」
アリシアがとっさにスウェーを使ったため、ロブはかろうじてぐっと踏みとどまることが出来た。
「大丈夫ですか、ロブ」
「ありがとう、アリシア…それにしても、なんてやり口だ。ただの不穏分子とは思えない」
ロブは監視哨を止めるべく、シャープシューターで頭部を狙う。何発か、頭部に当たり監視哨は動きはゆっくりとなってきたが、まだ、活動停止にまでは至らず、ギギギ、と音を立てながら、動き続けていた。
「あーもう!! 邪魔よそこの機械!私が先に進めないじゃない!!」
「月実! 危ない!」
そのとき、イライラした月実がリズリットの制止も聞かず、監視哨に向かってランスを投げつける。と、月実のイライラが凄まじい集中力と怪力へと昇華されたのか、その槍先が見事、監視哨の頭部に命中した。
「やった!」
「無茶をするなっていうの! バカ月実!」
はしゃぐ月実をしかり飛ばすリズリット。
監視哨はしばらく、ビビ、ガガ、と言う機械音を出し、四輪をガタガタ動かしていたが、最後に頭部が派手な爆発音と共に吹き飛び、ようやく制止したのだった。
「…監視哨まで操るとはな」
仁がゆっくりと立ち上がるとミラたちと、コウジの元に駆けつけた。
「こんな手荒な手口、ただの教導団の生徒ができるとは思えない」
仁やコウジ、ロブの意見は一致していた。
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